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左ハンドルのヨタハチや世界に20台のクラウンキャンパーもあるスイスのトヨタ博物館が誇る狂気のコレクション

トヨタ スポーツ800:沖縄向けの左ハンドル仕様。ロサンゼルスの法規に合わせた美しい姿

幻の左ハンドル仕様ヨタハチを発見!スイスの山奥にたたずむトヨタ博物館

フランスのマニクール サーキットで開催される「クラシックデイズ2026」の取材ツアーの一環として、スイスのチューリッヒ郊外にある「スイス トヨタ博物館」を訪れました。愛知県豊田市に本社を置くトヨタ自動車の歴史的な名車たちが、アルプスの大自然のなかにひっそりと、しかし熱烈な愛情をもって保存されている驚きの光景と、心温まる現地レポートをお届けします。

スイスの山奥で遭遇した休館中の博物館と心温まるサプライズ

今回は、4月最終週にフランスのニエーヴル県にあるマニクール サーキットで開催される「クラシックデイズ2026」をメインに、スイスからフランスにかけての自動車博物館を巡る弾丸ツアーで訪れた博物館をいくつか紹介します。第1回となる今回は、スイスのチューリッヒ クローテン国際空港からクルマで2時間ほどのブレイル ブリーゲルスにある「スイス トヨタ博物館」です。

いつものように訪問する博物館をネットでチェックしていて、じつは同博物館は現在、冬季休館中であることがわかりました。これじゃ取材にならないなぁと思っていたところ、毎週木曜日にスタッフ有志が集まって、再開オープンの準備を進めているともありました。うまい具合に木曜日の朝にチューリッヒに到着するフライトを確保できたので、伺いたい旨をメールで知らせたところ、歓待しますとの返事をもらい、空港からレンタカーを走らせました。

じつはこの日は、午前中にチューリッヒに到着し、別の博物館を1件取材してからスイス トヨタ博物館に向かう予定にしていました。しかし、空港に荷物が届かない、いわゆるロストバゲッジ(航空会社に預けた手荷物が紛失・遅延するトラブル)に遭い、その手配などでドタバタしたので、結果的に同博物館が今回のツアーで最初の博物館となりました。

これまで長い間、それこそ沢山の博物館を取材してきましたが、再開に向けて作業を進めている博物館を取材するのは初めての経験で、普段の取材とはまた別の興味が湧いてきました。フォルダーライン河岸にある同博物館では、ペッペ コンラッドさんが作業の手を休めて歓待してくれました。そして収蔵車両を1台ずつ丁寧に紹介してくれたのです。

左ハンドルのヨタハチから幻のキャンパーまでお宝がひしめく

たとえば建屋の入り口正面に並んでいるトヨタ「コロナ マークII」とトヨタ「クレシーダ」。コロナ マークIIはコンラッドさんの大のお気に入りだとのこと。

「トヨタ セリカはまだパーツが手に入るのだけど、クレシーダとコロナ マークIIは簡単には手に入らないんだ」

その後方に並んだトヨタ「クラウン」。4代目の通称“クジラ クラウン”のハードトップ(センターピラーを持たないスポーティなボディ形状)です。

「これは珍しく大阪府門真市に本社を置くパナソニック製のフリーザー(車載冷蔵庫)がオプション装着されているんだ」と少し自慢げなコメントに。さらにその後方には、クラウンのステーションワゴンがベースのキャンパーが目に入ります。

「トヨタで20台造ったもので、10台は台湾に渡っている。これはオーストラリアで見つけて買ってきたものだ」

と、これも嬉しそうに紹介してくれました。

1階の一番奥には深紅のトヨタ「スポーツ800」、いわゆる“ヨタハチ”が鎮座していましたが、「これは300台ほど造られた左ハンドル仕様で珍しいだろう。沖縄に駐留していた米兵が帰国する際に買って持ち帰った1台で、ロサンゼルスの法規に合わせているからフェンダーのウインカーが省かれているのが特徴だな」とのこと。

螺旋階段を登って2階にも多くのトヨタ製の旧車が収まっています。なかでもレアな1台が、トヨタ「MR2」をベースにしたトヨタ「MRスパイダー」です。これも外部で製作したものではなく、トヨタテクノクラフト(現在のTRDの前身)で100台足らずが生産された特装車で、「スイスには2台しかない」と強調します。

レアという点では、赤いボディカラーのトヨタ「カローラ リフトバック」もそんな1台です。2T-G型エンジンを搭載したトヨタ「カローラ レビン」のリフトバックはよく知られていますが、これは珍しく「3K型エンジンを搭載しているから、型式名だとKE45になるのかな」とコンラッドさん。

博物館は、20世紀初頭に水力発電関係の建屋として誕生したものを2006年に購入したもので、中二階のある三層二階建てで、2階にもアクセス路が用意されているからクルマの搬入にはもってこいですが、何せクルマの台数が半端ないからスペース的には厳しいものがあります。そこでライン河の対岸に新たに倉庫を購入し、こちらを展示ホールに改装するプランもあるそうです。

現在は本館に収まりきらないクルマを収納していますが、こちらにもレアなモデルが少なくありません。まずは初代クラウンの北米輸出仕様ですが、ヨーロッパでは「たった2台しかなくて、ローマン ミュージアムとうちだけなんだ」とやはり自慢気なコメントがありました。そしてトヨタ「コロナ」のカルテット(多彩なラインナップ)です。2ドアハードトップと4ドアセダン、3ドアエステートは3代目のRT40系としてよく知られていますが、その一世代前のRT30系にラインナップされていた2ドアピックアップのトヨタ「ティアラ」も収蔵されていました。

ほかにも沢山の驚きと疑問符が満載で、これらすべてに手を入れて、そして新館のリニューアルも、となると本格オープンがいつになるのか心配になってきます。コンラッドさんも「若いスタッフというかサポートメンバーもいるのですが、彼らは普段の仕事を持っていて夕方とか週末しか活動できないのが悩みですね」と言います。

ホンダやスバルも集結! 若きサポーターたちが語る日本車愛

この日は定例の活動日とあって、午後の5時を過ぎた辺りからサポートメンバーが三々五々集まってきました。じつは、彼らのクルマにも驚かされました。とある世代のトヨタ「スープラ」はトヨタの博物館関係者ということで納得ですが、スズキ「ジムニー」やスバル「インプレッサ」、ホンダ「S2000」に乗るオーナー達が続々とここトヨタ博物館に集結したのです。ここはどこの国なのか、と錯覚するほどさまざまな日本車に乗って若いスタッフたちが集合しました。

そして、バーベキューを楽しみながらクルマ談義で盛り上がります。しかし彼らの言葉の端々からは、トヨタや日本車に限らず、さまざまなクルマへの深い愛が感じられました。

スイス トヨタ博物館は現在、定期的な一般公開はしていませんが、冬季閉鎖の期間も終わって今後はイベントに関連してオープンの予定です。気になって連絡をしたなら、間違いなく「WelCome」と温かい答えが返ってくるはずです。

■スイス トヨタ博物館/Swiss Toyota Museum

7158 Breil/Brigels, Switzerland.
E-Mail= info@toyotamuseum.ch/https://toyotamuseum.ch/
Phone= +41(0)794230107

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