サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

隠れ家のようなスイスのボーデン湖畔にある自動車博物館で見つけた偶然からの眼福コレクション!

ラルト RT3:1979年にデビューし、1980年代前半のF3を事実上のワンメイク状態へと押し上げた傑作マシン

スイスの博物館で発見! マニアックなF3と希少な名車たち

スイス、ドイツ、オーストリアの三国国境に位置するヨーロッパ屈指の避暑地、ボーデン湖。その近郊にあるスイスのサン・ガレン州にあるレーメンシュビル村にあるのが「レーメンシュビル自動車博物館」である。この博物館はこぢんまりとしているが、実は訪れてわかったことは自然に囲まれたガレージ風の建屋に「知られざる名車たちが収蔵」されていたこと。20世紀序盤に全米7位の規模を誇った米国車から、1980年代のF3界を彩った超マニアックなレーシングフォーミュラまで、偶然の出会いがもたらした眼福のコレクションをみなさんに紹介したい。

なんの因果か、ボーデン湖畔に佇むガレージ風の自動車博物館を訪問

ボーデン湖畔でFFA博物館とザウラー博物館を撮影取材した後は、一度国境を越えてオーストリアに入り、前夜と同じホテルに連泊した。クルマで走るのを厭わなければ、スイスに比べて比較的物価の安い、オーストリアなどの周辺国に宿泊するのはお薦めだ。

予約サイトで見つけた今回の宿はセルフチェックイン方式で、予約番号と氏名を入力してカードキーを発券するシステム。幸いなことに、ホテル近くのマダムが手伝ってくれ、スムースに発券できたから、今後は一人でも慌てることなくチェックインできると思う。翌朝は早めにチェックアウトし、再度国境を越えボーデン湖畔を目指してショートドライブとなった。

面積は約536平方キロメートルで、横浜市と横須賀市を合わせたのと同等なサイズとなるボーデン湖。対岸のドイツ領内でも同様だが、ボーデン湖畔のスイス領内でも多くの自動車博物館が存在している。この日も、最初に訪れた博物館はネットで調べた通り休館日だった。休館を確かめていたところ、通りかかったマダムが「今日は休館日よ。でもこの近くには自動車博物館はいくらでもあるから、他を回ったら」と教えてくれた。日曜のみ開館と分かっていたこともあってすぐに諦め、次に予定していたレーメンシュビル自動車博物館(Automuseum Lömmenschwil)を訪ねることにした。

グライダーやボート、そして20世紀序盤の米国車から欧州の大衆車まで多彩な名車を所蔵

ボーデン湖畔から丘を登った場所にあるレーメンシュビル自動車博物館は、豊かな自然に囲まれるなか、両隣を自動車修理工場に挟まれたガレージ風の建屋の中に多くのクルマと何台かのスピードボートを収蔵展示している。吹き抜けの高い天井から吊られる格好で、軽飛行機(グライダー)も数機展示されていた。

エントランスから一歩足を踏み入れると、まずはダイニングルームがあり、左手のドアを開けた向こうに展示スペースが拡がっていた。小ぶりな体育館程度で、サイズ感としてはバスケットコート2面分といったところか。その中に新旧さまざまなロードゴーイングカーと競技車両が並べられていた。

展示ホールへの入り口から近いところにあったのはサクソン「シックス」。20世紀序盤の米国車で、文字通り6気筒エンジンを搭載したツアラーである。じつはサクソン社のクルマとはこれが初対面だ。以前にドイツのシュパイヤー技術博物館で「サクソネット」とよく似た名前の、自転車に補助エンジンを搭載したモペッドに出会ったことはあったのだが、こちらはドイツ製で時代もずっとあとの別物。

サクソンは当時米国で7番目のメーカーとなり、サクソン シックスが登場した翌年には年間2万8000台近くが生産されたようだから、これは決して小さくない数字だ。未知なるクルマとの出会いを求めての博物館巡りだけに、ここでは取材の好スタートを切ることになった。さらにほぼ同時期のオースチン「12/6」やフィアット「514」、シトロエン「5CV」、ルノー「10CV」なども車体を連ねていた。

1980年代の過渡期のF3マシンなどマニア垂涎の競技車両はまさに眼福!

2列の通路を挟んで収蔵車両が4列に並んで展示されている展示ホールで、最後の列にはレーシングフォーミュラが並べられていた。戦後に発展したF3レース用に開発されたのが、ロイヤル・エンフィールド(世界最古のオートバイメーカー)製の2気筒500ccエンジンを搭載したゲッテン(Göttgens)は初対面でかなり筆者的にも興味を惹かれたが、何よりも近年のF3マシンたちが勢揃いしていたのに驚かされた。

たとえば、1979年に登場しその性能の高さからF3レース界を一気にほぼワンメイク化してしまったラルト「RT3」や、カーボンモノコックを採用してF3界を制覇したダラーラの1989年モデル「389」などは、もしかするとレース通でなくてもご存じの方もいるかもしれない。

1980年代のF3は、従来のアルミツインチューブやアルミハニカム構造から、現在の主流であるカーボンモノコックへと移行する激動の過渡期であり、各コンストラクターが独自のハイブリッド構造を模索していた技術的にも非常に興味深い時代であった。

またマルティニ「MK45」やアルゴ「JM10」などもF3ファンにはお馴染みのモデルだが、アンソン「SA4」となると、知っていたなら超F3マニア級となる。さらにもう1台、スイカ「387(Swica 387)」という超マニアックな1台も発見。モータースポーツ専門誌の編集部にいた頃はF3担当者として、アルゴの広報写真をお宝コレクションとしているほどの超マニアックなF3ファンを自称する筆者でも、スイカ387はこれが初対面であった。いやぁ、まさに眼福。

最初に予定していた博物館が予想通りの休館で、その近くにあるレーメンシュビル自動車博物館の取材も早々に終えることになり、午後は初日のトラブル(ロストバゲッジ)で行きそびれていたルツェルンにあるスイス交通博物館(the Swiss Museum of Transport)を訪れることにした。異国の地で偶然が重なり出会えた名車たちの余韻を胸に、次なる自動車文化の探求へと足を進めたのである。

詳しくはこちら

■レーメンシュビル自動車博物館(Automuseum Lömmenschwil 別名Hürlimann Oldtimer=ヒュルリマン オールドタイマーと呼ばれ、ヒュルリマンはスイスを代表する伝説的トラクターメーカーで「トラクター界のロールスロイス」と呼ばれるほど)

住所: Romanshornerstrasse 109, 9308 Lömmenschwil, Switzerland(スイス ザンクト・ガレン州 レーメンシュビル)

公式サイトURL: http://www.huerlimann-oldtimer.ch/

モバイルバージョンを終了