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V8と電気、究極の2択!新型「G580」と「G63」を乗り比べて分かった決定的な違い

メルセデス・ベンツ G580:富士山を背にたたずむGクラス初のEV。四角い無骨なフロントマスクは従来型をそのまま受け継ぐ

3トン超の巨体をものともしない軽快さと静粛性が、G580を新たなGクラスへと変えた

V8サウンドやディーゼルこそGクラスらしい。そう思っていた常識が、電気で走るゲレンデに乗った瞬間に揺らいだ。メルセデス・ベンツ「G580 with EQ Technology Edition1」は、587psを4輪に振り分けながら、3トンを超える重さを感じさせずに走る。同じカラーのAMG G63と乗り比べて見えてきた、現代のGクラスが向かう2つの方向性を伝える。

メルセデス・ベンツ「G580 with EQ Technology Edition1」はどんな電気自動車なのか

G580は、45年を超える歴史を持つGクラスに初めて設定された電気自動車(BEV)である。試乗したのは、内外装に特別装備を加えたローンチモデルのEdition1だ。外観は従来のGクラスとほぼ変わらない。四角い無骨なスタイリングはそのまま受け継がれている。

最大の違いは駆動方式にある。4輪それぞれに交流同期電動機を配置し、4基のモーターで各輪を個別に駆動する。1基あたりの最高出力は108kW(147ps)、最大トルクは291N・mだ。これらを合わせたシステム最高出力は432kW(587ps)、システム最大トルクは1164N・mに達する。ガソリンV8ターボのAMG G63が585ps/850N・mであることを踏まえると、数値の上ではG63をも上回る。

蓄電池にはリチウムイオン電池を採用し、一充電走行距離はWLTCモードで530km、交流電力量消費率は同モードで262Wh/kmとなる。車両重量は3120kgと、Gクラスのなかでもとくに重い。この重さは、AMG G63の2570kgより550kgも多い数字である。それでも走りが鈍重にならない点に、このクルマの技術的な面白さがある。

3トン超えのG580に試乗して感じた加速フィールと静粛性

走り出した瞬間に、EVならではの良さが伝わってくる。乗り込んだときの操作感は従来のGクラスとほとんど変わらない。運転席まわりのレイアウトにも大きな違いは感じない。EQだと実感するのは、やはり走り出してからだ。

アクセルを踏み込むと、そのパワーを4輪がしっかりと駆動する。587psを遺憾なく発揮し、3トンを超える車両重量をものともしない軽快さを見せる。もともとGクラスはイメージ以上に静かなクルマだが、G580ではより深い静けさが感じられる。エンジン音が消え、質感の高さが際立つ格好だ。

いっぽうで、アクセルを戻したときの減速フィールには慣れが必要かもしれない。アクセルオフで回生ブレーキが効き、しっかりとスピードを落としていく。この感覚は、EV車に乗り慣れていないとわずかにギクシャク感を覚える場面がある。同じメルセデスのEVでも、マイバッハはアクセルオフ時のフィーリングがとてもマイルドだった。キャラクターの違いによるセッティングの差なのだろうが、普段使いではマイルドなほうが走りやすいと感じた。

G580の乗り心地はAMG G63とどう違うのか

乗り比べて印象に残ったのは、乗り心地の良さだった。シートのフィーリングも良く、なんといっても快適性が光る。G63に比べて550kgもプラスされた車重が、そのマイルドさを生み出している。重さがネガではなく、乗り味の落ち着きへとつながっている点が興味深い。

足まわりには20インチのAMGアルミホイールを装着し、タイヤサイズは前後とも275/50R20だ。4基のモーターで4輪を個別に駆動するシステムにより、走破性は高い次元でまとめられている。最低地上高は250mmを確保し、Gクラス本来のオフロード性能もしっかりと残している。

充電まわりの造りにもGクラスらしさがある。通常のフューエルリッドを開けると、その内側に充電システムが現れる。充電に使うケーブル類は、Gクラスのイメージに欠かせない後方のボックスに収納される。スペアタイヤを思わせるあの位置に機能を持たせている点が、伝統と最新技術の橋渡しになっている。

G580とAMG G63、現代のGクラスはどちらを選ぶべきか

今回は偶然にも同じカラーリングで用意されたG580とAMG G63の2台に試乗できた。乗り比べて感じたのは、現代のGクラスに求められる方向性が二分してきたということだ。かつてのようなオフロード一辺倒ではなく、タウンユースでの使い勝手や所有する満足感が重視される時代になっている。

それでもメルセデス・ベンツは、現代のエッセンスで仕上げたG580にも、Gクラス本来のオフロード走破性をしっかりと植え付けている。都会で静かに走らせても、悪路へ踏み込んでも応えてくれる。ここに、このメーカーの底力がある。

V8サウンドの高揚感を取るか、静けさと圧倒的なトルクを取るか。どちらを選ぶかはオーナー次第である。G580は、Gクラスらしさを損なうことなく電動化を成立させた1台だ。電気で走るゲレンデは、伝統を裏切るのではなく、別の魅力で伝統を延長している。乗り終えたあとに残るのは、そんな静かな驚きだった。

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