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推定10億円オーバーで秘密裏に落札!? 世界限定50台のマセラティ「MC12」が放ったシールドオークションでの底力

RMサザビーズ「Sealed July 2026」オークションで無事落札された2005年式マセラティ「MC12」(シャシーNo.#17558)2026 Courtesy of RM Sotheby's

推定10億円オーバーで秘密裏に落札。世界限定50台のマセラティ「MC12」が放つ圧倒的オーラ

ここ何年かでの国際的なコレクターズカー市場で開催される機会が増えたのが、「シールド(Sealed:封かん)」と銘打ったオークションである。多数のバイヤーを対象に公の場で競売を行う通常のオークションに対して、ごく一部の限られた顧客と条件のもとで行う非公開の取引スタイルである。2026年7月16日を入札締め切りとして行われたRMサザビーズの「Sealed July 2026」に出品されたのは、世界限定50台と言われるマセラティ「MC12」のホモロゲーションモデルだ。おそらくシールドオークションを大いに盛り上げた。

FIA-GT1覇権のために作られた“エンツォの骨格と心臓”を持つ特別な一台

マセラティ「MC12」は、マセラティとフェラーリの歴史にまたがる特別なバックボーンを持つモデルである。フェラーリは1999年にマセラティの完全所有権を取得。ロードカーとレースカーの両分野にフェラーリの高度なエンジニアリングと生産ノウハウを活用することで、「トライデント」の栄光を復活させようとしていた。

このコラボレーションの集大成となったのがMC12だ。2002年にデビューした「エンツォ・フェラーリ」のカーボンモノコックや6リッターV型12気筒「F140」系エンジンを共有。サーキット専用モデルを除くエンツォが公道走行を前提に開発されたのに対し、MC12はマセラティを「FIA GT選手権GT1」クラスの頂点へと押し上げる目的で生み出されたのである。

生産台数は、FIA-GT1ホモロゲーション基準を満たすためのわずか50台に限定され、2004年と2005年に均等に分けて製造された。公称399台が生産されたエンツォよりも、はるかに希少な存在と言える。

5mを優に超える長大な全長や全幅の広いボディカウルは、優れた空気抵抗係数と強大なダウンフォースを得るための緻密な仕掛けである。全長を伸ばした超ロングテール形状とリアウイングの相互作用により、高速領域における空力安定性はベースとなったエンツォ・フェラーリをも凌駕するレベルに達していた。取り外し可能なハードトップを備え、フェラーリ「F50」のようなオープンエアの興奮をも提供する構造となっている。

サーキットを完全制覇しマセラティブランドを再興させた本気のロードバージョン

公道仕様のMC12ストラダーレは、フェラーリ顧客層からの不興を買わないよう最高速度や加速性能が控えめに抑えられ、ブレーキも鋳鉄製とされていた。しかし、サーキットという極限の環境においては圧倒的な強さを証明した。

2005年のFIA GT選手権では、レース仕様の「MC12コルサ」がGT1クラスで優勝し、コンストラクター部門タイトルを獲得するとともに、フェラーリのほぼ2倍という莫大なポイントを獲得した。マセラティは2005年から2010年にかけて6年連続でチーム選手権を制覇し、2006年から2010年までのFIA GTにおいて6度のドライバー部門チャンピオンシップを獲得する偉業を成し遂げている。

サーキットでの圧倒的な成功は、21世紀におけるマセラティのブランド価値を一気に高めることに貢献した。レーシングカー直系のホモロゲーションモデルとして作られた歴史的背景こそが、今日の市場における高い評価の基盤となっているのである。

オドメーターわずか2024kmを示す奇跡的コンディションを保つ逸品

今回RMサザビーズのオークションに出品されたマセラティMC12、シャシーナンバー「#17558」は、2005年モデルの第2ロット(最終部類)として生産された41番車である。

アジアのVIPコレクターに割り当てられたこの個体は、「マセラティ・フランス」を介して新車納車された直後、香港の初代オーナーのもとへと輸送された。記録によると2006年3月時点で新車からわずか1375kmしか走行しておらず、公式カタログ掲載時点のオドメーターが示す「2024km」の大部分は納車後1年以内に刻まれたものとなっている。

香港では2008年から2020年にかけて毎年定期点検が実施され、2020年1月には美しさを保つためフロントバンパーおよびカウルの再塗装が行われた。2024年にドイツへ輸入・登録された後、2025年3月にはフェラーリ正規サービスセンターの「ゴーム・ベーブリンゲン(Gohm Böblingen)」社にて年次点検を受け、2026年にはオランダの「フランコ・オート(Franco Auto)」社にてクラッチアッセンブリの新品交換が行われている。大切に維持されてきた低走行の1台であり、コレクターにとって最高のお手本と言える極上の状態だ。

秘密裏に行われた競売でのハンマープライスは10億円オーバーか!?

今回のオークションは入札者が相互の提示価格を知ることができない「シールド・ビッド(封かん競売)」形式で行われ、推定落札価格も非公開とされていた。2026年7月に競売が終了し無事に落札されたものの、公式なハンマープライスは公表されていない。

しかし近年のコレクターズカー市場において、1990年代半ばから2000年代初頭のGT1レース車両およびそのロードカー(ホモロゲーション・スペシャル)は絶大な人気を誇っている。「マクラーレンF1」や「ポルシェGT1シュトラッセンバージョン」、「メルセデス・ベンツCLK GTR」と並び、世界選手権優勝車をベースとするMC12の価値は高まり続けている。

実際、2026年5月に米国インディアナポリスで開催されたミカム・オークションでは、走行距離約500kmのマセラティMC12が946万ドル(約14億8522万円 ※1ドル=157円換算)で落札された実績が存在する。これらの市場動向を鑑みると、今回出品されたシャシーナンバー「#17558」のMC12にも、日本円にして10億円以上の評価額がついた可能性が極めて高いと言えるだろう。

※為替レートは1ドル=157円(2026年7月時点)で換算

■ 2026年7月オークション マセラティ MC12の注目ポイント

エンジン:6.0L V型12気筒 DOHC
(エンツォ派生。現代では絶滅危惧種の「自然吸気V12」最高峰)

出力 / 車重:630ps / 約1335kg
(カーボンモノコックによる驚異的な軽量ボディ)

生産台数:世界限定50台
(フェラーリ・エンツォの400台より遥かに希少)

出品オークション:RM Sotheby’s “Sealed”
(招待制・非公開の超高額クローズドオークション)

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