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「できる・できひん」じゃなくて「するか・せえへんか」ユーザーが満足すればいつか返ってくる【TONE株式会社代表取締役社長 矢野大司郎氏:TOP interview】

図面など引いたことがなかったという矢野大司郎氏だが、配属されたのは電動工具の開発であった

TONEは自動車関連だけでなく、重工業分野、航空、鉄道プラント、鉄骨建築さらにはDIYまで

「TONE」は、AMW読者には馴染みのある四文字であるだろう。スーパー耐久、スーパーGT、鈴鹿8耐など、四輪・二輪問わず「TONE」のロゴを見かけるはずだ。ちなみに読み方は「トネ」。社名は利根川に由来している。大阪創業の企業なのにどうして関東の河川の名前が由来なのかは後述するとして、今回のTOP INTERVIEWは、TONE株式会社の代表取締役社長である矢野大司郎氏だ。製造部門で入社してその部長を務め、その後営業部門の部長も経験した異色の経歴の持ち主である。

矢野大司郎氏のクルマの原風景

このインタビューではまず最初に「クルマの原風景」から尋ねることにしているが、矢野氏の場合は、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』のワンシーンのような、昭和ノスタルジーなエピソードから始まった。

「今は時効や思うから話しますけど、1番最初にクルマを運転したんは、小学生ぐらいやと思います。うち、家業が運送業してたんですよ。それもあって小さい頃から結構クルマが好きで。で、うちの運転手が荷物を運んでいくという時に、『ぼくも乗っていくー』言うて、横に乗って連れて行ってもろたことがありますわ。

ある日、運転席の横に乗っとるだけやなく、運転したくなったんですね。で、『ちょっと運転させてくれー』とお願いしたことがあったんです。そしたらうちの駐車場で、足は届けへんので『ハンドルだけ持たせたる』言うて、運転手がペダル操作してくれて、クルマを動かしたんが初めてですわ。4トンだったか3トンだったか、三菱のジュピターというトラックでしたわ。

実際に免許取ったときに、1番最初に乗ったのもトラックなんですわ。免許証取れたばっかりの時に、運転手が休みだったかなんかだったと思うんですよ。それで『ちょっと運転してきてくれ』と言われて、荷物を運んだ記憶があります、免許取り立てでいきなり。だからガックーンとエンストして(笑)。ふそうの4トンのトラックやったですけど、なかなかギアが入らへんのですよ。『(クラッチを)2回踏むんや』とかなんとか言われて。今思うと、うちの親父、免許取り立ての私をよう行かせよったなぁ、と。それで岡山かどっかの市場にブドウを持っていきましたわ。最初にクルマを運転したという記憶は、トラックばかりですわ。

そんで乗用車はというと、家にあったコロナ マークII 1900 ハードトップGSSです。ルーフにレザーみたいなんを張ったやつです。その親父のクルマに乗っててよく言われたんが、『俺はガソリン入れる係か』と。ガソリン入れたら私が乗って行って、空になったら返してという……。

それからあとに乗ったのは、軽自動車のアルト。その頃はもうTONEに勤めてて、よう帰りにおじさんとこに寄って帰ってたんです。そしたら『暇やったらちょっとうちの息子の勉強見てくれへんか』言うて、それでちょこちょこ甥の勉強を見とって。そしたら『しょっちゅう来るの大変やからクルマ買うたるわ』って。これがアルトやったんです。で、それは割と乗ってたんですけど、アルトの思い出言うたら、パンクをようしとったんですわ。むかしね、道も悪かったんで。で、タイヤ交換はしょっちゅう。1日に2回パンクしたこともあります。会社に行く時と帰りとで。パンクしてスペアに替えて、スタンドにパンクしたタイヤ入れといて、帰りにスタンド寄って、スペアを外して……。そしたらまた帰りにパンクして。だから、タイヤ交換は抜群に早かったですわ(笑)。

あと、クルマの思い出言うたら、セリカカムリで島根県に行った時のことですかね。走ってたらビューッと水温が上がってきたんです。会社のメンバーと行っとったときで、『あれ、水温計が上がってきたわー』言うたら、『よう、そんなん見てんなあ』と言われて。『いやいや、ここに水温計ついてんねんから見るでしょ』言うて。で、ガソリンスタンドに入れて診てもろうたら、『水漏れてるわ』言われて。どうしてもその日に鳥取行かなあかん用事があったんで、ペットボトルに水入れて、水温が上がり出したら停車して、ラジエターに水を足しながらの繰り返しで、そんで鳥取まで行きましたわ。帰りもそれをしながら帰って、『直しに行かなあかんなあ』と思いながら車庫に置いとったら、翌朝には水が全部抜けとって、危ないとこやったなぁと。セリカカムリは12〜13年乗っとったんですけど、エンジンは本当に調子良かったんですよ。それで非常に愛着あって。セリカカムリを手放す時は、ドナドナの歌の気分になってもうてね。連れて行かれたなぁ、潰されんのやろうか、可哀想やなぁ、と。1台のクルマを結構長い間乗るんで、クルマに対して愛着が湧く性格なんでしょうね」

若手でも企画を出せる自由な風土

パンクした際のタイヤ交換では純正の車載工具を使っていたそうで、とくに工具にこだわっていたというエピソードは残念ながらない。そもそも矢野氏は自動車整備に使う工具ではなく、電動工具の設計でTONEに入社。学生時代には材料系が専門だったので、熱処理関係でTONEで役に立ちたいと思っていたそうだ。まったく図面など引いたことのない矢野氏は、いかにして電動工具の新製品を生み出していったのだろうか。

「新人で4月に入社して一月ぐらい現場に入って、5月から図面書き出したんです。その時、先輩がやっている製品の耐久試験をかけるのを担当したりしました。その時から絶えず、自分やったらこういうふうにやるかなーとか、いつも考えてました。30歳過ぎた頃、うちのメインのシヤーレンチというのがあるんですけど、それを自分で設計して、その時の事業部長に『こんなんできますわ』、と提案したんです。重量もこんだけ軽くなるし、外径も小さいし、全長も短いし、スピードも今の回転よりも25回転早くなるし、完全に業界トップになるようなスペックを出したら、『それ面白いな、やってくれ』って言われて。

その時、電子イジェクターというのを初めて採用したんです。社内の耐久試験もクリアして、素材もチタンやマグネシウムなどいろいろ試してみたんです。製品自体は結構良かったんですけど、販売したら燃えるという話になったんですよ。なんでかなー思うたら、調べていくと、社内だと商用電源で試験してるんですね。現場では発電機でやってるんで、電気の流れが乱れたようなやつになるんで、それが悪さをして、燃えたりしたんです。

それで電子式を、もういっぺん、バネ式に変えなあかんと。その時に1000台ぐらい回収しました。帰ってきたやつを自分で修理しながら、図面描かなあかんし、そりゃもう、大変でした。それでもある程度形ができて、マグナムシヤーレンチというんですけど、それが結構ベストセラーになりました。その当時楽しかったんが、割と何でもかんでもやらしてくれたんです、勝手に。そんな自由度の高い社風やったから任せてもろうて、できたんでしょうね」

一緒にものづくりをすることがポイント

「あとね、外注先の社長さんのとこに行ってね、夢を語るんですよ。仕事を依頼したときに『そんなんできへん』言われたら夢を語るんです、その製品の将来性について熱う語るんです。そして『一緒に作りましょー!』って。そしたら、『よっしゃ、やろうー』と。で、今までだったら2週間から3週間は最低でもかかるのに、1日、2日で作ってくれました。

たとえば、ある時ボルトを締める試作機を携えて、ゼネコンさんの技術の人に渡したら、『こんなんあかん、こんな重いのはアカン、使いもんにならん』言われて。そこで、『一回現場に行かせてください、現場だけ見たいんで。この試作機持って現場行っていいですか?』とお願いしたんです。そしたら『一緒についてったるわ』と一緒に現場に連れて行ってもろうて。そこで現場の人に渡したら、『お、これ軽いなぁ』と。技術職には重うても現場の人にとっては軽い。さっそく現場の人に使ってもろうたら、『にいちゃん、これだめ、全然締まってへんやん』と。『え、今ので締まりましたよ』って言うたら、『なに言うてんねん、こんな一瞬で締まるわけないやろ』と。それでトルクレンチで確認してもろうたら、『これ締まってるやん、便利やなぁ、これ置いていけえ』言われて。みんなに使わせてみるということで、試作機ですけど2台置いていったんですよ。

そしたら、一週間くらい後に電話があって、『壊れてしもうたから大変なことになって、現場の人間があれなかったら仕事にならへんってうるさいから、はよう直してくれ』と。その試作機がないともう仕事にならないからと、2、3日で修理をお願いされて、そんなときに夢を語って、特急で作ってもろうて、あらためて納品して。こういうことの繰り返しを何回かしとって。

でもね、すべてがヒットしたわけじゃないです。ほんならその社長に『すんまへん、夢語って作ってもらいましたけど、思うたように数は出ませんでした』って、謝るんです。そしたら『いや、一緒に夢見ただけでも楽しかったわー。そんで矢野さんだけや、あかんかった時にも報告してくれんのは。また、一緒に頑張っていいもん作ろうな』言うてもろうてね。製造部門での印象深い思い出ですわ」

現場の声を大切に、そして行動「する」こと

TONEの自由度の高い社風は、いろいろと自分でやりたい人間にとっては好都合の社風だと語る矢野氏。技術職といえば、普通は閉じこもって図面を引いているというイメージが強い。しかし、矢野氏は工具を使う現場に出ていって現場の声を製品づくりへとフィードバックすることこそ大切だと語る。

「表にいっていろんな情報を聞きながらお客さんに合ったもんを提供していく。それが自分は技術屋や思うてる。だから営業いうか、会話もできなあかんし、話す以上に聞くのが大事やね、よう言いますやん、耳二個で口一個やから倍聞けって。だからそういう技術者が自分はいいと思うんですよ。それで、頑固でなくて、柔軟で、一回始めたら最後までやると。

加えて自分がよう言うてんのが、『できる・できひん』じゃなくて、『するか・せえへんか』なんですよ、結局。それと自分の今日に最善を尽くして、できるかできへんかじゃなくて、『する』なんですよ。だいたい、『できません』じゃなくて、やらんうちからできませんはないし、やったらできるんですよ。人間って自分はそうや思うんです。なんでもやればできるんやなぁ、そう思いますよ」

TONEというブランドをもっと知ってもらうために

ソケットレンチを日本で初めて製品化したTONEであるが、主力製品は工場や建設現場でのプロ仕様のものがほとんど。そのため、歴史はあるのに一般ユーザーから認知されるようになったのは実は2015年以降だ。どうして、いまプロ向け工具のメーカーが、自動車整備などのアフターマーケットへ積極的にアピールするようになったのだろうか。

「もともとTONEは工場中心に製品を納めていたんですよ。で、自動車整備のところはほとんどできてなかったんですね、何故かいうと、先輩から聞いた話ですけど、戦後の重厚長大の時代に製鉄やそうしたところの工場で使う工具の開発と製造で精一杯だったみたいですわ。自動車メーカーもこれからというときで、まだ大したことなかった。そん時に自動車整備の方の代理店も来たみたいですけど、うちは忙しくてできへんからと断ったと聞いてます。いまの世の中は逆ですよね。自動車整備の工具に関しては、そんななかでの再スタートみたいなもんで、さて、どうしようかな、と。

TONEは日本で1番最初にソケットレンチの製造販売した会社なんです、というんが営業の枕詞なんです。でもね、パナソニックさんなら、二股ソケットを作ったメーカーです、とか、松下幸之助がどうのこうのと言わなくても、パナソニック言うたら誰でもわかるやろ、と。そんでうちも『TONEです』と言うたらわかってもらえるようにしよう、いうことで。

それで1番最初にジェットスキーからはじめて、その後オートバイ、最後に四輪へと広げていったんです。モータースポーツやることによって、1番最初、スーパーGTやったかな、工具セット持って回ったんです。その時は完全にアウェー状態ですわ。うちはどっちかいうと、開発主導の会社なんで製品では負けへんという自負があるんです。あと1番の宣伝は製品やと思うてるんです。なんぼ一所懸命宣伝しても、TONEって書いてある製品が壊れたら、『なんやこれ、TONEって書いてあるんはだめや』言われたらしまいですからね。

そんでなぜモータースポーツとかに力入れているのかと言うと、ユーザー心理になった場合に、工具を買いに行った時に、『TONEってどっかで見たな。ほんならこっち買うか』とかね。価格的にもTONEが安かって、尚且つTONEを知ってたら絶対に買ってもらえますからね。そういうふうになりたいなぁとは思ってます。

あと電動工具やってて良かったのが、作業工具しかやってないところと材料のレパートリーが違うんです。熱処理の方法とかも色々持ってますから。以前、あるところから特殊な箇所でつかうソケットを依頼されたことがあるんです。ソケットがナメたり割れたりするんで、TONEでええもんを考えてきてくれへんか、と。それで材料も熱処理も変えて作ったら、これがうまいこといったんですね……なんですけど、後日、販売店さんからクレームが入ったんですよ。なんのクレームかと言うたら、耐久性が良すぎてオーダーが入らへんようになった、言うんですね。

そりゃ販売店さんは数ださなあかんし、ユーザーさんは長持ちした方がええし。ひょっとしたらメーカーとしても、何回も買うてもろたほうが嬉しいんですけど、そしたらよそと一緒やなって。そやからTONEのやつは強いね、となると嬉しいですわ。自分で自分の首を絞めてるいうたら絞めてるんかも知らんけど、ユーザーさんが喜んでくれていたらそんでいいかなと。それで、どっかで返ってくると思うんですよ、そういうのは。ひょっとしたら、他の工具もTONEにしたろうか、とかね」

耐久性の高さは安心・安全につながる

TONEは、安心・安全を標榜するNAPACで唯一の工具メーカーだ。その妥協なきものづくりは、まさにNAPACの目指すところとリンクしている。

「最初はレーサーの方から紹介を受けて、会員にさせてもろたんですよね。そんでいい関係を築かせてもらってます。NAPAC会員は、個別で仲良くなってるもんがあるかも知らんけど、メーカーも結構入ってますから団体の中で情報のやり取りが活発になると嬉しいですね。マフラーのメーカーさんとか色々あるんで、『こんな工具をTONEで作れへんか』とかご意見いただけると嬉しいですね。そん時は、メーカーとメーカーだから、特別の価格でいこうよ、とかね。そうして作った製品をどこかで売るわけではないんで、一緒になって業界を伸ばせればいいと思うんですよね。

そういえば映画『OVER DRIVE』の劇中で整備のシーンで使う工具はTONEがええとNAPAC会員の人が言うてくれたらしいんですね。監督さんが、非常にこだわる人みたいで、『日本の工具だとどこがいい?」って、NAPAC会員の人に尋ねたみたいです。そんでTONEを推してもろうたらしいですわ。うちはありがたいことやなぁと思います。その関係で、ほかにもTONEを使ってもらえるようになったところもあって、お付き合いした人みないい人ばっかりで、本当に恵まれてるなぁと思うてます」

モータースポーツの現場では、当初、他所者だったと自認する矢野氏であるが、いまでは逆に顔を出さないと「体調でも悪かった?」と心配されると言う。製造にいたときも、営業にいたときも一貫して「お互いに一緒にやろう!」というスタンスを崩さない矢野氏は、モータースポーツの世界においても当然その姿勢を崩さなかったことで、だれからも受け入れられたのだろう。

* * *

さて、冒頭でTONEの社名が利根川に由来していたことを述べたが、それは利根川の別称が「板東太郎」であることにある。「板東」とは昔の関東平野の呼び方。その関東平野を流れる利根川は日本一の流域面積を誇り、灌漑、水運など人々の生活にさまざまに役に立っている河川である。昔は大きな河川を地名と人名にたとえて呼ぶ習慣があり、日本最大の利根川は板東太郎と呼ばれていたというわけだ。ちなみに「太郎」は長男のことを指し、九州の筑後川が「筑紫次郎」、四国の吉野川が「四国三郎」と呼ばれている。

創業者の前田軍治氏が、商標を考える際に日本一の板東太郎の名が浮かび、日本一を標榜する意味で利根川のトネを取って、TONEと名付けたという。もちろん、そこには、日本一だけでなく、利根川が色々な分野で人々の生活と切っても切れない存在であるということも含まれていたであろう。

いまや建設現場や工場だけでなく、モータースポーツのシーンでも切っても切れない存在となったTONE。矢野氏が語るように、一度使ったら「TONEでなければ」と思わせるのは、妥協なき品質だからこそ。次ページでは、そうした現場になくてはならない工具の最新アップデート版を紹介しよう。

トラックのタイヤ脱落事故をなくすために製品化

TONEは、設立当初のソケットレンチの製造から始まり、作業工具全般、収納具、エアー工具、電動工具、トルク管理機器と取扱製品を拡大し続けることで総合工具メーカーとして成長してきた経緯がある。なかでも様々な手段・機能を備えたボルト締結の課題解決手段を幅広くラインアップすることで、ユーザーのものづくり環境、社会発展を支えてきたのは、矢野氏のインタビューからでも伺い知ることができる。

対象となる分野も幅広く、自動車関連をはじめとする一般産業工場、整備工場にとどまらず、重工業分野、航空、鉄道プラントや、鉄骨建築、橋梁、さらにはDIYに至るまで、様々なニーズに対応することで、それぞれに必要な能力・強度・耐久性・手段・機能を研究開発し、数多くの製品がリリースされている。

AMW読者にもっとも関係する自動車分野においては、標準的な製品から自動車専用に至るまで様々な作業工具をラインアップするとともに、近年増々ニーズが高まっている締付けトルク管理機器製品を幅広くラインアップしているのが特徴だ。

これには、TONEオリジナルのメカニカル機構のデジタルトルク表示部を設け、直接数値を読み取ることでミスなくトルク設定ができる「プレセット形トルクレンチ」や、デジタルタイプ、アダプタータイプなどのデジトルクシリーズも充実してきている。

このラインアップに、2023年11月に「トルク表示機能付きコードレス電動タイヤレンチ」が加わる。2000年前後に多発したトラックのタイヤ脱落事故を受けて開発された電動タイヤレンチのいわば進化モデルである。

TONEだからこそのアップデート

電動タイヤレンチは、あらかじめレンチのトルク設定ダイヤルにて締付けトルクを設定することで、繰り返し高精度なトルク締付けができるのが利点であるが、このトルク制御がTONEの得意とするところ。長年研究開発し、工場や建築分野で多くの実績を持つナットランナーの技術が水平展開して搭載されており、高い耐久性と信頼性を誇っているのだ。

そしてトラック用の電動タイヤレンチに求められるもっとも大きな要件は、コードレス化である。大型トラックでは各タイヤまで取り回すために長いコードを引き回さなければならず、コードレスでなければ作業効率がすこぶる悪くなるのだ。これには、TONEの柱の一つである建築分野の電動レンチにおいても同様のニーズがあり、「シヤーレンチ(トルシア形高力ボルト締付け電動レンチで世界シェアNo.1製品)」、「ナットランナー(トルク法締付け電動レンチ)」および「トルシャット(ナット回転角法レンチ)」のコードレス製品のノウハウがしっかり受け継がれているのである。

こうしてコードレス化によって、これまでの電源課題を克服したことでニーズが高まっているのだが、ユーザーからの声をすぐさま売れ筋製品にもフィードバックするのがTONEならではだ。新たに様々な要望を取り入れて、更に高機能化された最新の「トルク表示機能付きコードレス電動タイヤレンチ」に要注目である。

「トルク表示機能付きコードレス電動タイヤレンチ」の機能・特長

■従来機能・特長
・36Vリチウムイオンバッテリー搭載で優れた機動性を発揮。電源コードを気にせず、自由に移動して締付け作業が可
能。
・300~800N・mまでのトルク設定が可能。設定トルクでレンチは自動停止するので、習熟度や個人差の影響を受
けず、均質な締付けが可能。
・左右両回転対応(右ねじ・左ねじの締付けおよび緩め作業が可能)
・インパクトレンチではなく打撃機構がないので、低騒音&低振動での作業を実現。
・JIS方式(6穴,8穴)、ISO方式(8穴、10穴)に対応した出力ユニットをご用意。

■2023年11月発売 追加機能・特長
・本体に締付けトルクデジタル表示機能を追加。締付け結果をその場で確認することで、締付け不良を防止。右締付け、左締付けの両方に対応。
・トルク設定方法を、これまでのトルク調整ダイヤルでの設定に代わり、デジタル表示を見ながらボタンでの設定に変更。
・ポカヨケ(締付け本数カウントダウン機能)を追加。最大999本まで1本刻みで設定可能で、締め忘れ防止に対応。例えば、10穴の場合は、カウント数を10に設定すると、締付けが完了するごとに1本ずつ減算するので残り締付け本数を確認でき、カウントがゼロになることで1ホイールの締付け完了を確認可能。
・エラー検出機能を追加。自動停止する前の締付け途中でのトリガOFFによる締付けエラー、バッテリ残量不足などを検出し、締付け不良を防ぐ。

■その他特長
・TONE特許の「クイックフィットソケット」を使用することで、ナットへのソケット装着が容易に行なえ、素早い作業をサポート。
→ダブル6角(12角)ソケットの山の部分を1山おきになくすことにより、ナットへ嵌めやすくしたもの。締付け・緩め作業は通常通り行える上、ソケットとナットの山を完全に合わせずラフにセットしても素早く嵌合できるようになっている。
→ホイールナットに適合する二面幅32mm(ISO)、33mm(ISO)、41mm(JIS)などをラインアップ。

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