ランボルギーニ、イタリアの「トップ・エンプロイヤー」に認定
ランボルギーニは2025年1月16日、12年連続でイタリアの「トップ・エンプロイヤー」に認定されたと発表しました。これは従業員の幸福、包括性、成長に対する同社の取り組みが評価されたもので、職場環境の改善と従業員の幸福に対する継続的な取り組みを実施してきた証です。ランボルギーニ本社で実施されている従業員に対する取り組みを見ていきます。
従業員が心身ともに健康な状態で働けるような活動を行う
「トップ・エンプロイヤー」は、人事分野のベストプラクティス調査で求められる高い基準を満たした企業に授与される。この評価は、人事における6つのマクロ領域をカバーし、人材戦略、職場環境、人材獲得、学習、多様性、公平性および包括性、健康など20のトピックを詳細に分析し、それぞれのベストプラクティスを評価するものだ。
ランボルギーニにとって2024年は、新製品の発売や優れた販売実績だけでなく、画期的なイノベーションによっても特徴づけられた年であった。こうした展開はさらに包括的な職場環境の改善を目指して、技術革新と数多くの社会的革新の取り組みを組み合わせる方法を反映している。
2021年に開始されたウェルネスプログラム「ランボルギーニ・フィールソフィー」は、身体、心、目的という3つの柱を基盤としており、今もなお、従業員中心の企業文化の中心にある。このプログラムは、フィットネス、瞑想、予防医療から心理的サポート、企業の社会的活動に至るまで幅広い取り組みを通じて、360度全方向のウェルネスを推進している。
多様性、公平性、包括性への取り組みは、専用のトレーニングプログラムや、男女平等に関するIDEM認証およびUNI/PdR 125:2022認証の取得によって実証されている。これらの取り組みは、職場における差別を禁止する方針や、社会を反映する言葉の力について意識を高め、固定観念や偏見に立ち向かうための言語に対するキャンペーンによって支えられている。
さらに、管理職向けの「コーチ・アンド・ケア」プログラムでは、健全で意欲を引き出す職場環境を育むうえでリーダーが果たす重要な役割を強化している。こうしたサポートは、企業価値を実践に移し、能力と責任を高めるうえで不可欠である。フィールソフィー・プログラムは、2025年にはさらに強化され、継続的な改善の機会を積極的に形作る従業員からのフィードバックが反映されることになる。
2023年から約1000人の新規従業員が加わった
また、2025年初めに導入された新しい労働協約で、就業時間の再編成によりワークライフバランスが大幅に改善された。これには、生産部門における週4日勤務と5日勤務の交代制など柔軟なスケジュールや、オフィス勤務者については月に最大12日間のリモート勤務を可能にするなど、リモート勤務のサポート強化が含まれている。さらに育児休暇中の経済的給付の増額、ひとり親や障がい児を世話をしている従業員には最大100%の給付金を支給するなど、子育て支援策も導入された。
同社は過去2年間で、約1000人の新規従業員を迎え入れ、2024年だけでも600人以上が加わった。これは、外部環境が良好であったことも後押しした結果である。これらの新規採用者はチームを強化し、会社の成長を支え、組織を豊かにするポジティブな文化交流を促進した。会社の価値観に沿った新しい体系的なオンボーディングプログラムにより、新規チームメンバーは迅速に溶け込むことができ、多様な経験や視点の共有が奨励されている。さらに、従業員の離職率が大幅に減少していることは、これらの政策の成功と、従業員が会社に強い帰属意識を持っていることを反映している。
ランボルギーニはクルマの性能だけでなく、人々の成長と幸福に重点を置くという点でも、依然としてベンチマークであり続けている。業務のあらゆる側面に浸透している卓越性への同社の取り組みは、今後もブランドを際立たせ、ユニークな魅力を維持しながら将来の課題に成功裏に取り組んでいくことだろう。
AMWノミカタ
ランボルギーニの最高人事・文化・組織責任者ウンベルト・トッシーニ氏は、
「人口動態の変化、知識社会における意識の高まり、失業率の低い地域における起業家精神の活性化により、経営手法やプロセスを再考する必要性が生じています。革新的で大胆な選択のみが、グローバルな環境における仕事の質と企業の競争力を維持し、高めることができます。あらゆるビジネスの成功は、従業員のモチベーションと幸福度にかかっていることは明らかです」
と述べている。ランボルギーニのあるボローニャの失業率は全国平均の半分以下の2.9%と低く、GDPもイタリア国内で2位にランクされる経済的に豊かな都市である。ヨーロッパ最古のボローニャ大学もあり、きっと意識の高い人々も多く集まるのであろう。そんな激しい競争のなかで優秀な人材を集めるためには、ここまでやらなくてはならないこという現実を示しているようである。またトッシー二氏は「起業家精神の活性化」という言葉を使っているが、優秀な人材の流出も大きな課題となっていることがうかがえる。
しかしながら、「企業の成功は従業員のモチベーションと幸福度にかかっている」と断言する人事責任者のいる会社の未来は明るい。12年連続でランボルギーニは「トップ・エンプロイヤー・イタリア」に認定されてきた。そと並行して2011年から昨年まで(2020年は除く)10年以上も販売を伸ばしてきた。きっとその企業風土はこれまでのブランドの成功にも大いに反映されてきたのであろう。
