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ランボルギーニ「レヴエルト」の走りは「アヴェンタドール」を完全に過去のものにする! 長距離試乗でわかった実力をレポートします

ランボルギーニ レヴエルト:空力も向上しており、フロントで33%、リアで74%のダウンフォース増加を果たしている

アヴェンタドール以前のランボルギーニを「過去」にする

ランボルギーニ「アヴェンタドール」の後継となるV12プラグインハイブリッドスーパースポーツ「レヴエルト」を、東京から京都まで長距離試乗しました。その想像を超えたパフォーマンスは、アヴェンタドール以前を全て「カウンタック」にしてしまうほどです。

街中では寛容で実用的なクルマに

オーバー1000psのV12プラグインハイブリッドスーパースポーツ。まずはランボルギーニのフラッグシップモデルとして申し分のない“見出し”だろう。同時に電動化によるパフォーマンスの向上は、我々の想像を超えていた。

はっきりと言っておこう。レヴエルトの性能はアヴェンタドール以前を全て「カウンタック」にしてしまった、と。そしておそらく、レヴエルトと姉妹車の関係にある「テメラリオ」は、「ウラカン」を置き去りにする、どころかアヴェンタドールさえ遠い過去の性能だと思わせることになるだろう!

ランボルギーニは全く次元の違うパフォーマンス領域へと踏み込んでいる。事実上、第三の創業を迎えたようなものだ。電動化時代を迎えていっそうの高みを走り始めるテクニカルアドバンテージをモノにしたと言っていい。

シザードアを開けて乗り込む。座ってしまえば十分なスペース、というのはカウンタック以来の伝統だが、レヴエルトはさらに広い。タイトな圧迫感がまるでない。緊張感に乏しい。着座位置は低く、まるで路上に座っているかのようだから視線もそうとうに低い。

バッテリー駆動で静かに走り出した途端、身体と車体とが目に見えぬコードでつながったような錯覚に見舞われた。

アヴェンタドールに比べると乗り心地が段違いに良くなった

チッタモード=EVとして走る。街中ではフロント2モーターのeアクスルによる前輪バッテリー駆動だ。それでも走行フィールにFFを駆っているような違和感はない。重量配分と駆動制御の妙なのだろう。電動スーパーカーかくありき、といった感覚だ。

街中での静かな走りはやはり、嬉しい。心のなかで周辺の住民たちに謝りながらエンジンを掛ける必要がないからだ(深夜の帰宅も然り)。

交通量の多い幹線道路に入ってからドライブモードをストラーダに変えた。大きなサウンドを響かせて新開発のV12エンジンが目覚める。電動で出発したので、エンジンはまるで暖まっていない。走りながらしばらく暖機運転になる。あったまる頃には高速道路入り口だろう。

アヴェンタドールに比べると乗り心地が段違いに良くなった。前後をeアクスル化するにあたって、レヴエルトはよりコンベンショナルなマルチリンクサスペンションを採用している。さらにより軽量で高剛性のボディ骨格、バッテリーの最適配置なども功を奏して、ウラカン EVOより心地よい。

さらに驚いたのが前輪の軽やかな動きだ。交差点も片手でスイスイ曲がっていける。自由自在に動かせるという感覚はアヴェンタドールにはなかった。車体の重さを感じることもない。ボディサイズも気にならない。これらは立ち上がりの良いモータートルクのおかげだろう。街中ではとても寛容で実用的なクルマになっていた。そして、暖まったとしても街中ではエンジンの出番などほとんどないだろう。

ワインディングロードを攻め込んでも汗ひとつかかない

東名高速に入る。料金所を通過し路面が安定したところを見計らって、アクセルペダルを踏み込んだ。もちろんフルスロットルではない。完全に目覚めたエンジンのご機嫌をうかがってみようと少し踏み込んだだけだった。

驚くべき加速をみせた。低回転域からモーターの圧倒的なトルクに助けられたのも束の間、エンジンのNAフィールを感じた時にはすでにとんでもない速度域に達しようとしていた。ストラーダモードではそれほどサウンドに迫力がないため速度感を失ってしまったのだ。裏を返せばそれほどこの新しいボディ&シャシーはよくできている。おそらく1500psくらいまでは対応できるのだろう。

制限速度周辺でクルージングしていてもレヴエルトの持ち味を堪能することはできる。エンジンと電気モーターのコンビネーションは驚くほどスムーズで、しかも十二分に力強い。余裕は常に十二分で、いつ何時でも好きな速度域まで行けるという自信があるから、ゆっくり落ち着いて走っていても気分がいい。

「どーぞどーぞ、追い越してってくださいな。その気になればいつでも追いつけますから」

という感じだ。

試しにスポルトモードに入れてみる。エンジンのキャラが変わったことはラウドに激しくなったサウンドでわかるのだが、それでも扱いづらそうな印象はない。獰猛になったというのに従順なまま。なんだこの違和感は!

そう、レヴエルト全般についても同じことが言える。1000kmに及んだテストの間、この明らかな矛盾=洗練と野蛮が同居する背反的なパフォーマンスのありかたに感心することしきりだった。この感覚こそがランボルギーニが新時代において目指すパフォーマンスであることがわかった。おそらくはテメラリオも、もう少しスポーツ寄りだとしても、そうだろう。

休憩することも忘れるほどに快適なグランドツーリングを楽しむ。ミッドシップの12気筒スーパーカーでこれほど安楽だったことは過去にあっただろうか? 否、あった。1970年代の、タイヤがまだ太くなる前のスーパーカーは安楽だった。よくできたGTカーだったのだ。

ホームワインディングではクルマが喜んで曲がっていく

スーパーカーで京都を目指す。しょっちゅうだ。たいてい京都インターを降りた時にホッとする。無事に帰ってきたという安堵に浸る。ところがレヴエルトは違った。ワインディングロードにノーズを向けようと思ったのだ。そんなことは、かつての「マクラーレン GT」以来のことだった。

ホームワインディングに入る。もちろんモードはスポルト。V12エンジンの咆哮が山間にこだまする。驚くべきはそのコーナリングスピードで、速度を上げていけばいくほどノーズは内を向き、クルマは喜んで曲がっていく。ドライバーの技量はそこそこで良く、それよりも勇気が必要だ。クルマをとことん信じるという勇気……。

車重が2トンに達するとはとてもじゃないが思えない。アヴェンタドール SVJよりも圧倒的に軽快に走ってくれるからだ。そして、ワインディングロードをどんなに攻め込んでみても汗ひとつかかない自分にさらに驚く。脇の下ににじみがない。

なんと恐ろしいパフォーマンス領域に達したことか。ようやく休憩する気になってクルマから降り、少し離れて背筋を伸ばす。スタイルは確かにランボルギーニ、それもドアを開けた姿はカウンタックの末裔だ。けれども中身にはもうカウンタックらしさは、12気筒エンジン以外に残っていない。レヴエルトに比べればアヴェンタドールだってカウンタックに思えてきた!

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