アストンマーティンの美を映し出す光彫刻作品
アストンマーティンの新型「ヴァンキッシュ」の光彫刻作品が2025年2月21日、米国・ハリウッドで公開されました。この光彫刻作品は、光と幾何学的要素を駆使して無限の美を映し出しています。魅惑的なアート作品が生まれる背景には、どのようなストーリーがあるのでしょうか?
クルマとアートが交差する瞬間
アストンマーティン新型「ヴァンキッシュ」の光彫刻作品「Reflections of Speed(リフレクション オブ スピード)」は英米を拠点とするアーティストのアンソニー・ジェームズ氏によって制作され、米国・ロサンゼルス最大級のアートフェア「フリーズ・ロサンゼルス」に先駆けてハリウッドで公開された。
ロサンゼルスにあるジェームズ氏のスタジオで1年にわたって制作されたこの光彫刻作品は、5.4m×2.6mの巨大なサイズで、光と魔力、そして現代の素材の融合を通じてヴァンキッシュの美しさを表現している。このコラボレーションは、最小のカーブからもっとも精密なディテールに至るまであらゆる要素が緻密に設計されており、ヴァンキッシュそのものが持つ芸術的価値を映し出している。
この作品は、アストンマーティンのカリフォルニア・コミュニティやアート界のゲストを招いた特別なイベントで、格式高いホテル「シャトー・マーモント」のプールサイドで披露された。
売上金の一部はLAアーツコミュニティ火災救援基金へ寄付
ジェームズ氏は、光と幾何学を融合させて宇宙の無限性を表現する独特な光彫刻で知られるアーティストである。彼の作品は、ガラスとLED照明を組み合わせ、光を無限に反射させる手法が用いられる。並行または角度をつけたミラーによって光源を何度も反射させることで、無限に続く光のトンネルのような視覚効果を生み出す。今回の光彫刻作品もモジュール式ではなく、一体型のオブジェとして設計されており、その重量は2721kgにもおよぶ。
ジェームズ氏は幼少期から1970年代~1980年代の映画やモータースポーツ文化に影響を受け、これまでにも自動車デザインと芸術の融合をテーマとする作品を数多く発表してきた。2007年以降、彼の創作活動の中心はこの領域にあり、自動車の持つ美学を芸術的な視点で探求している。
この作品は、ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館で一般公開され、その後販売予定となっている。売上金は博物館とLAアーツコミュニティ火災救援基金へ寄付される予定である。
AMWノミカタ
今回作品に影響を与えたヴァンキッシュに限らず、アストンマーティンのモデルはどれも美しい。同社のチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライクマン氏は、
「ヴァンキッシュは単なるクルマではなく、まさに“動く彫刻”です。そのプロポーションの完璧さ、鍛え上げられたボディ、ワイドなスタンス、流麗なカーブ、そして印象的なシルエットが、現代的なエレガンスを体現しています。純粋な興奮を生み出すことに情熱を注ぎ、この新型ヴァンキッシュは大胆な創造性と人間の英知の結晶として誕生しました。そのフォルムは感情を呼び起こすようデザインされており、まさに芸術作品と同じく、人々を魅了しインスパイアすることを目指しています」
と語っている。まさに人々をインスパイアして生まれたのがこの彫刻であろう。重量が2721kgもあるこの作品を日本で見ることはできないと思うが、芸術として人々の心を豊かにするだけでなく、ロスの火災の救援基金としての人々の生活を支える役割を果たすというアイデアは素晴らしいものだと感じる。
