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スズキ現行「アルト」だけのワンメイクレース「HA36カップ」最終戦を制したのは!?「SUGOの魔物」で波乱の展開…漁夫の利を得たのは?

スズキ HA36型 アルト:1クラス優勝の314号車 筧 拓実

軽自動車だけのレース「東北660」シリーズは2025年も開催

15年という歴史を持つ軽自動車レース「東北660シリーズ」のなかで、もっとも新しいレースのカテゴリーが「HA36カップ」です。車両がスズキHA36型「アルト」のワンメイクであることに加え、改造範囲が他のレースに比べ大きく制限されており戦闘力の差が少なくないため、必然的にドライバーの技量、またセッティング能力が勝敗のカギを握ることになります。2025年も開催されるこのHA36カップ、どんな戦いが繰り広げられているのでしょうか。

2024年第3戦 1クラス:冷えた路面で過酷な展開に

スズキの現行HA36型「アルト」だけのワンメイクレースである「東北660・HA36カップ」。2024年12月1日に宮城県のスポーツランドSUGOで行なわれた、同年の最終戦となる第3戦の模様をレポートしよう。

まずMTの1クラスは963号車 岡部皓輝がポールポジションを獲得。この数年というものほぼ全戦にエントリーしており、練習にも通っているため地元勢と勘違いされがちだが、じつは京都から毎回のように自走しているドライバーだ。レース本番だけじゃなく練習も熱心に通い、試行錯誤しながら着々とタイムを縮めてきた。その努力が見事に実ったポールポジションといえるだろう。

なお2番手は岡部のチームメイトである314号車 筧 拓実。東北660選手権でチャンピオンに輝いた実力派で、2024年の開幕戦は体調不良で惜しくも欠場したものの、以降は安定したタイムと順位を記録し続けている。3番手には歴代のシリーズチャンピオンたちが乗り継いだ、オートリサーチ米沢のデモカーを駆る311号車 熱田行雲が食い込む。

決勝は12月の冷えた路面でスピンやコースアウトが続出、熱田もそんなコースコンディションの犠牲になってしまう。2回のリスタートを経てトップでチェッカーフラッグを受けたのは、2番手に32秒もの大差を付けた筧でファステストラップもマーク。準優勝には大ベテランの888号車“姉・珍”、ポールポジションの岡部は3位でレースを終えた。

狙っていたポール・トゥ・ウィンこそ叶わなかったが、岡部にとっては初めてのポールポジションだったし、過酷な決勝を文字どおり生き残り表彰台に立ったのは、貴重な経験。今後に向けての糧となるに違いない。

2024年第3戦 1クラス:最後まで安定したラップを刻み大逆転で優勝

続いてAGS(Auto Gear Shift)の2クラス。ポールポジションはHA36カップで優勝の経験もある47号車 椎名栄一郎で、タイムも2クラスでは唯一となる1分57秒台をマークした。2番手は、こちらも愛知から毎回のように遠征する575号車 高橋康平で、椎名とのタイム差は約0.2秒と十分に逆転を狙うことが可能な位置。ポイントリーダーの113号車 阿部優翔は3番手で、無理せず表彰台に乗り逃げ切る作戦だろうか。

ところが決勝はクラス1と同様に波乱の連続となり、椎名も高橋も「SUGOの魔物」に喰われてしまう。上位2名が姿を消し漁夫の利を得たといえるのが阿部で、ファステストラップは後続のドライバーに及ばないが、最後まで安定したラップを刻み大逆転で優勝を飾った。

準優勝はNAや耐久にもエントリーする361号車 高松正雄、3位はHA36カップではデビュー戦となる390号車 佐久間航平。タイムに勝る上位のドライバー次々に姿を消していくという、最後まで生き残ることの大切さを改めて痛感するレースだった。

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2025年もHA36カップは、6月29日にエビスサーキット東コース、9月7日にスポーツランドSUGO、10月26日にエビスサーキット西と、計3戦のシリーズが組まれている。東北660のなかでもっとも難しく、接近戦が楽しめるHA36カップ。この熱さと楽しさをぜひ現地で味わってみよう。

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