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ロータス「エリーゼ」が約311万円で落札!純正コンディションの真価とは

1万5750英ポンド(邦貨換算約311万円)で落札されたロータス「エリーゼ」(C)iconicauctioneers

スポーツカー史に輝く名車ロータス「エリーゼ」

日本国内でもCSディスカバリーチャンネル「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」の名でカーマニアから高い人気を博している英国のレストア番組「Wheeler Dealers」。2025年6月1日に、英国の新興オークションカンパニー「アイコニック・オークショネア」社をパートナーとして、これまで同番組やスピンオフ版「名車再生!ドリームカー大作戦」などで取り扱ったクルマの同型車を中心に販売するオークション「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」を開催しました。今回はそのなかからスポーツカー史に冠たる名作ロータス「エリーゼ」を紹介します。

ロータスを救い、ライトウェイトスポーツカーの終焉を飾った歴史的傑作とは?

ロータスが、一時的にイタリアの「ブガッティ」傘下となっていた1995年のフランクフルト・ショーでエリーゼはショーデビューを果たす。翌1996年から発売されたエリーゼは、接着成型の総アルミ軽合金製バスタブ型フレームなど、今なお最新の航空機テクノロジーに端を発する超ライトウェイト指向な設計により、最初期モデルでは車両重量700kg未満を達成した。

あっという間に世界のエンスージアストを狂喜させたのち、じつに四半世紀後の2021年までまったく旧態化することなく生産が継続され、まさしくスポーツカーの歴史に燦然と輝くとともに、「ライトウェイトスポーツカー」という概念の終焉を飾る存在となった。

大ヒット作となったエリーゼは、2001年には「シリーズ2(S2:日本ではフェイズ2)」へと進化を果たす。初期のS2モデルは、リアミッドにシリーズ1と同じく1795cc「ローバーK」直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載し、120psを発揮。車両重量わずか756kgで、5速マニュアルトランスミッションを搭載したこの小さなロータスは、時速60マイル(約96km/h)までわずか5.6秒で到達した。

そして、2010年からは、新しいマスクをもつシリーズ3(フェイズ3)へと進化。しかしエリーゼS2は、もともとワンメイクレース用の「スポーツエリーゼ」に端を発する「エキシージ」を筆頭に、少なくとも1ダース以上にも及ぶ高性能モデルや限定版の派出モデルを生み出すことになる。その一方で、初期のスタンダードS2はその純粋なデザインと機械的なシンプルさ、あるいはサーキットでも週末のドライブでも楽しめる気楽なキャラクターから、ヤングタイマー・クラシックとなった現在のマーケットにおいても、もっとも人気のあるエリーゼとして認知されている。

もっとも安価なスタンダードS2でも、すでにコレクターズアイテムの仲間入り?

アイコニック「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」オークションに出品されたロータス・エリーゼは、「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ」シーズン10(2013年)にて、番組初代のメカニック「エド」がレストアしたのと同じ、第2世代にあたるシリーズ2の1.8Lモデル。

2002年3月14日に初めて登録され、現オーナーのもとでは4年間の所有を経て、今回のオークション出品に至ったとのことである。

番組内でのエドは、英国の走り屋から「トラックディ」と呼ばれるサーキット走行イベント用にフルチューンを施したが、このオークション出品車は新車時のオリジナルを残したフルノーマル車両。純正カラー「ルビーレッド(Ruby Red))」の輝くようなペイントが新車時から施されており、オークション公式カタログ作成時点では3万1318マイル(約5万km)の走行距離を重ねていながらも、非常に良いコンディションを維持している。

現状に至るまで計13回のメンテナンス記録が残されており、直近のメンテナンスは2024年9月11日に2万9903マイル(約4万8700km)の時点で実施されている。

エスティメイト超えのハンマープライスで落札!

販売に際して車両に添付されるメンテナンス記録ファイルには、メーカー保証書とテクニカルマニュアルを含むオリジナルフォルダーにくわえて、すべての登録書類、オリジナルスタンプつきメンテナンスブック、純正のキー番号ステッカー、過去のMoT車検記録および2025年9月まで有効で「注意事項なし」と記載された現在のMoT検査証明書が含まれているとのことであった。

このオークション出品にあたり、アイコニック・オークショネア社では1万2000ポンド~1万5000ポンド(邦貨換算約238万円〜297万円)という、現況のエリーゼS2としても比較的リーズナブルと思われるエスティメイト(推定落札価格)を設定した。

そして、ビスタ-・モーションの特設会場で行われた競売では、ギャラリーたちに見守られるなかビッド(入札)が順調に伸び、終わってみればエスティメート上限を超える1万5750英ポンド。現在のレートで日本円に換算すると約311万円に相当する、けっこうなハンマープライスで落札に至ったのだ。

ちなみに、今回の出品車両と同じローバーKエンジン搭載時代のスタンダードS2は、日本国内を含む世界各国でもっとも安価に購入できるエリーゼと認識されている。それでも現時点で購入を希望するならば、新車時代と大差のない400万円前後の出費は覚悟せねばならない。つまりは、すでにコレクターズアイテムとして、一定の評価を獲得していることが、このオークションでも証明されたと見るべきなのだろう。

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