往年のグラチャンマシンが富士を走行
伝説のスポーツカーレース「グランチャンピオン(GC)」が、2025年8月9日に静岡県・富士スピードウェイで復活します。初開催となる「MINI5 GC Returns 2025」では、動態保存されていた当時のマシン14台と、レジェンドドライバーたちによるデモランが披露される予定です。日本レース史における今なお色褪せない熱狂のレースを体感できる注目イベントです。
約半世紀前のマシンが動態保存されていた
国内最大の自動車レースだった「日本グランプリ」は、オイルショックなどの影響によるメーカーの不参加を理由に1970年で中止となった。その翌年の1971年から、「日本グランプリ」に代わるスポーツカーレースとして企画されたのが「富士グランチャンピオンレース(通称:GC)」である。
シェブロンやマーチ、ローラ、GRDといった海外コンストラクターのみならず、マナ、ベルコ、シグマ、ノバといった国内のコンストラクターも参戦。それまでのメーカー系ワークスドライバーたちも参加し、F2と並び日本最高峰のスポーツカーレースとして、富士スピードウェイを大いに賑わせた。
そうした人気レースも1989年に終焉を迎え、新たなカテゴリーのレースが始まると、GCマシンたちは富士スピードウェイ周辺の“レース村”のファクトリー裏などで、かつての栄光を忘れられたかのように放置されることも少なくなかった。しかし現在では、愛好家の手に渡り、動態保存されているマシンも数多く存在している。
2025年8月9日(土)真夏の富士スピードウェイにて「Fuji-1 GP(富士スピードウェイ耐久レース)」との併催イベントとして、その現存するマシンたちが疾走する「MINI5 GC Returns 2025」が開催される。すでに各メディアでも発表されており、開催を心待ちにするレースファンも少なくないだろう。
関谷・長谷見が当時のマシンでエキシビションレースを走る!
開催まであと1カ月と迫った今、初開催となる「MINI5 GC Returns」のタイムスケジュールおよび出場マシンたちが発表された。レギュレーションの変遷により、以下のように3世代でクラス分けされた14台のマシンによるエキシビションレースとなる。
1972年〜1978年の複座席/2リッター時代:ジェネレーション1
1978年〜1986年の単座席/2リッター時代:ジェネレーション2
単座席/3リッター時代:ジェネレーション3
以下、参加車両のリストである。<ジェネレーション1>
■マーチ 74S(当時ドライバー:高原敬武)
■シェブロンB19(当時ドライバー:北野元)
■シェブロンB23(当時ドライバー:長谷見昌弘)
■マナ−09(当時ドライバー:従野孝司)
■シェブロンB19
■GRD S74
<ジェネレーション2>
■ウルフ MCS(当時ドライバー:関谷正徳)
■MCS-1 マツダ(当時ドライバー:長谷見昌弘)
■マーチ822 MCS
<ジェネレーション3>
■ローラ T87 MCS(当時ドライバー:長谷見昌弘)
■ローラT87/50(当時ドライバー:池谷勝則)
■マーチ88GC(当時ドライバー:岡本金幸)
■寺田陽次郎ローラT88/50 Cermo89G(当時ドライバー 従野孝司)
■ローラT88/40 R&D 88Q(当時ドライバー:エイエ・エルグ)
また今回のGCリターンズでは、当時グラチャンカーのステアリングを握ったレジェンドドライバーたちによるデモンストレーションランも予定されている。なかでも注目は、1980年富士300キロスピードレースで優勝したウルフMCS-Mのハンドルを45年ぶりに握る関谷正徳氏である。
関谷氏は次のようにコメントしている。
「石油ショックによるメーカーのレース撤退を契機に誕生したGCは、現在のレースにも繋がる日本のコンストラクターの原点とも言える存在。ただの懐古イベントではなく、日本のレースの歴史を今に伝えるきっかけになれば嬉しい。半世紀前のGCマシンたちを動態で維持しているオーナーの素晴らしい情熱にも感謝したい」
参加予定のレジェンドドライバーとマシンは以下のとおり。
<ジェネレーション1>
■桑島正美 マーチ 74S(当時ドライバー:高原敬武)
■見崎清志 シェブロンB19(当時ドライバー:北野元)
■藤井修二 マナ−09(当時ドライバー:従野孝司)
<ジェネレーション2>
■関谷正徳 ウルフ MCS(当時ドライバー:関谷正徳)
■長谷見昌弘 MCS-1 マツダ(当時ドライバー:長谷見昌弘)
<ジェネレーション3>
■ローラT88/50 Cermo89G(当時ドライバー:従野孝司)
<GC Returns スケジュール>
2025年8月9日(土)
9:00〜9:20/予選
9:20〜9:40/レジェンドデモラン
11:10〜11:30/グリッド整列
11:30〜12:00/決勝レース
12:05〜12:20/暫定表彰式
13:20〜14:30/表彰式
今後の展望については、1972年のGCシリーズチャンピオンであり、GCリターンズの実行委員長を務める鮒子田寛氏は次のようにコメント。
「2026年からは年間3戦を予定している」
欧米では、かつての名車によるリバイバルレースが盛んに行われており、その人気は年を追うごとに高まっている。日本における「GCリターンズ」初開催は、我が国のレースシーンを再考するための重要な第一歩となるに違いない。
さらに嬉しいことに“富士モータースポーツミュージアム”では、この日の“GC Returns”開催にあわせレース終了後、当日参加するレジェンドドライバーと交流イベントを開催。サイン会や撮影会に加え、レーシングカーデザイナー由良拓也氏によるGCマシンの解説を予定。そちらも合わせてお楽しみいただきたい。
