サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

コロナ禍で誕生したホンダ「S660」ワンメイクイベント「H1カップ」!走るオフ会と称される理由とは

ハイチューンクラスの藤田幸治さん

S660だけレース「H1カップ」に全国から20台超が参戦

2025年6月29日に福島県エビスサーキット東コースで行なわれた東北660シリーズは、全国から90台に迫る軽自動車が集結し、パドックはいつも以上に賑わっていました。その理由のひとつが、今回初めて開催された『H1カップ』です。本稿では、その概要と東北初上陸までの経緯をお伝えします。

コロナ禍で生まれたS660の交流イベント

ホンダ「S660」のワンメイクイベント「H1カップ」がスタートしたのは、コロナ禍の真っ最中である2021年。全国に広がる自粛ムードでサーキットのイベントすら中止に追い込まれるなか、「自分たちで走る機会を作ろう」とS660乗りの藤田幸治さんが立ち上がった。手探りで始めたイベントながら参加者は増加の一途をたどり、現在は関東を中心に中部地方のサーキットまで規模を拡大している。

内容はフリー走行、タイムアタック、模擬レースと多彩で、1年を通して順位に応じたシリーズポイントが与えられるのも特徴だ。

H1カップが東北に初上陸を果たしたきっかけを作ったのは、プロショップ『オートクラフト』を率いる日向繁美さんだ。軽自動車レース「東北660シリーズ」初年度から参戦するドライバーであり、近年は東北660ターボGPで常に上位を走る実力派。H1カップではタイムアタックと模擬レースの運営を担当しており、以前から東北660シリーズとのコラボレーションを構想していたという。昨シーズン中盤から大会事務局と協議し、まずはエビス東での開催が決定した。

イベントへの姿勢が共通していたからこそコラボできる

募集をかけると、初開催にもかかわらず全国から20台以上のS660がエントリー。藤田さんによると、告知はXをメインとしたSNSや、サーキットで出会った人への声がけが中心で、少しずつイベントの認知度を高めてきたそうだ。

H1カップで大切にしているのは「全員が安全に走り切ること」「参加者同士で助け合いながら楽しむこと」「互いに刺激を受けながらレベルアップすること」。これらは東北660シリーズのコンセプトと共通しており、今回のコラボレーションで新たな相乗効果が生まれるに違いない。

東北660シリーズを初めて見た藤田さんは次のようにコメント。

「厳しいレギュレーションで順位を上げるのが難しいレース。そのなかで各ドライバーがタイヤの使い方や、リスクを背負わない抜き方をよく研究しており、雰囲気もマナーも非常にいいと感じました」

また日向さんは次のように話した。

「関東のサーキットは模擬レースが少ないので、勝手をよく知っている東北660シリーズとのコラボを提案しました。H1カップは“走るオフ会”だと考えています。セッティングや走り方、使用パーツなどの情報は隠さず共有し、みんなでレベルを高めていくのがコンセプトです。来シーズン以降も東北で開催する予定なのでご期待ください」

いかなる仕様のS660でも参加できるクラス分け

基本的にパワーでクラス分けされ、ハイチューンクラスは120ps〜、オーバー85クラスは純正流用を含むタービン交換で85ps〜、アンダー85クラスは純正タービンで〜85ps。また2ペダルのCVT専用クラスも設定しており、仕様を問わずすべてのS660が楽しめるイベントだ。

今回の優勝者は、ハイチューンクラスが藤田幸治さん、オーバー85クラスが松田勇雄さん、アンダー85クラスが日向繁美さん、CVTクラスが兵頭孝之さんという結果だった。2026年も6月にエビスサーキット東コースで模擬レース、10月にエビスサーキット西コースでタイムアタックを予定しており、スケジュールが決まり次第、東北660シリーズとH1カップの双方から発表される予定だ。

モバイルバージョンを終了