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BYDが全天候型サーキットを開設!製品開発から電動車レース文化の醸成を目指す

世界をリードするEVメーカーの本気の開発力の一端を見る

EV車で世界の自動車産業の覇権を目指すBYDがBEVをはじめとする新エネルギー車(NEV)メーカーとして大きく裾野を広げるために、国内に全天候型サーキットを開設しました。レース活動はもちろん、世界に通じるレーシングドライバーの育成もありますが、体験走行を通じての自社モデルの表現の幅を広げる思惑も見えてきます。

電気を主とする新エネルギー車文化普及を目指して開業

BYDが鄭州市に国内初となる新エネルギー車(NEV)専用のオールテレーン・サーキットを開業したと発表した。同サーキットは「すべての人に技術を」という同社の経営理念を具体的な形にしたもので、サーキット走行、プロドライバー育成、多彩な走行体験を通じてNEV文化の普及を目指すという。

ちなみにNEVは「New Energy Vehicle」の略で中国の新エネルギー車を表す。具体的にはBEV、PHEV、FCVが該当し、2009年から電気による完全あるいは主に駆動する自動車の認知度を高めるために定義したものだ。

同施設は屋内砂丘、低摩擦サークル、キックプレート、渡河プール、ダイナミックパドック、レーストラック、オフロードパーク、キャンプエリアの8ゾーンを備える超広大なものとなっている。

走りの楽しさを追求できる体験8コースの集約!ギネス認定の砂丘コース

まずなかなか日本の感覚では思いもつかない屋内砂丘について。落差29.6m、傾斜角28度の人工砂丘は、モンゴル自治区アラシャー砂漠の砂質を再現する6200tもの砂を使用。本格的な砂丘走行が体験できるようになっている。車両試験用施設として世界最大・最高としてギネス認定を受けてもいるそうだ。

全長70mの渡河プール高級SUVの仰望U8(ヤンワン ユーエイト)車専用に設計されたもので、水中観察窓からe4プラットフォーム制御の前進・旋回・後退の様子を視認することができる。

そのほかキックプレートは濡れた滑りやすい路面と、可動式のプレートで作り上げた氷上同様のスリッピーな路面で緊急回避操作を体験できる。

低摩擦サークルは直径44mの大きさで中国初の施設となる。玄武岩タイルの上に水膜を作り、氷雪路面並みの摩擦係数を実現。ここではBYDの精密な電子制御により、安定したドリフト走行が可能だ。

レーストラックでは全長1758mのコース上に高速加速やコーナリング性能を試すことができる9カ所のコーナーと、550mのストレートを用意。

また面積1万5300m2という敷地面積を誇るダイナミックパドックでは、スラローム、エルクテスト、自動駐車などで先進運転支援システム(ADAS)を体験できるようになっている。

さらにオフロードコースでは27種類ものバリエーションコースが設定されているとのこと。初級から上級ドライバーまでがオフロードランの深みを味わうことが可能だ。

さらなるサーキットの新設とNEV文化の拡大を目指す

BYDではこの鄭州市以外にも中国国内の合肥と紹興にも新たなサーキットを立ち上げる予定だという。同時に中国自動車・オートバイ運動連盟(CAMF)とで、ニュートラック・スキームという100万人に向けたレース文化の普及と、プロドライバー100名の育成を目指す運動に着手している。CAMFでは「BYDのサーキットは中国のNEVレースのプロ化を加速させ、自動車文化を新しく作り直すだろう」という同連盟会長のコメントを披露している。

【AMWノミカタ】

中国のNEV市場の急成長と技術革新でEVのグローバルマーケットの競争はますます激しいものになっている。自動運転技術やコネクテッドカーサービスの分野でも中国企業の躍進著しく、各国の自動車メーカーも、とりわけソフトウエアの分野では中国企業との協業抜きの事業展開は考えられないほどだ。

今回開設されたオールテレーン・サーキットを通じて、自社開発製品の精度向上などが一層図られることになるだろう。プロドライバーの育成は、新型車開発競争においてフィーリング評価など多方面での充実が期待できる。次世代NEVの主役としてSDVの開発に重点を置きながらも、自動車の性能面だけでなく、走る楽しさの提供といったフィーリング評価の充実にも着手したBYDの各モデルには、新たな魅力が加わることは間違いない。

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