ニュル北コースで従来ターボSよりラップタイムを14秒短縮
ポルシェジャパンは新型「911ターボS」と「911ターボSカブリオレ」の予約受注を開始しました。911ターボSは電動ターボのT-ハイブリッドを2基搭載し、最高出力711ps、0-100km/h加速は2.5秒を実現。先代比で14秒も短縮したドイツ・ニュルブルクリンク北コースのラップタイムが、その圧倒的進化を物語っています。この新型は性能を極限まで高めたモデルと言えるでしょう。
eターボを2基に増設した革新的ハイブリッドシステムを搭載
クーペとカブリオレの両仕様に用意された911ターボSは、ポルシェが誇る革新的なT-ハイブリッド技術を採用し、卓越したパフォーマンス、高級感、快適性、そして日常的な使いやすさを兼ね備えた、もっとも完成度の高い911に位置づけられている。
最大の特徴は2基の電動エグゾーストガスターボチャージャーを備えたハイブリッドシステムの搭載だ。従来の911カレラGTSで1基搭載されていたeターボは2基に増設され、過給のレスポンスと出力が格段に向上した。711psのシステム最高出力、800Nmの最大トルクを発揮し、0-100km/h加速はわずか2.5秒、0-200km/h加速は8.4秒。最高速度は322km/hを達成する。
T-ハイブリッドは400Vシステムを採用し軽量でコンパクトな1.9kWhバッテリーを搭載。重量増加を85kgに抑えてパフォーマンス全体への影響を最小限とした。実際、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおける開発テストでは7分3秒92を記録し、先代比で約14秒も短縮。これは単に数値上の強化にとどまらず、実走行環境での俊敏性やグリップ力の大幅な改善を示している。
ポルシェ史上最高級のストッピングパワーとシャシーテクノロジー
足まわりも大幅に最適化され、リアタイヤは従来比10mmワイドの325/30ZR21、フロントは255/35ZR20を採用。ブレーキはポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)を標準装備し、フロント420mm、リア410mmの大径ディスクを搭載。これにより、ポルシェの2ドアモデル史上最大の制動システムとなり、極限の走行環境でも確かなストッピングパワーを発揮する。
アクティブエアロダイナミクスでは可変フロントスポイラーリップや伸縮可能なリアウイングに加え、車両前部には垂直クーリングフラップやアクティブフロントディフューザーを備え、冷却性能と空気抵抗低減を両立。空気抵抗係数は先代比で10%低減している。ウェットモードではフロントディフューザーが閉じ、ブレーキを水しぶきから保護するなど、安全面のアップデートにも注目したい。
新型911ターボSはシャシー技術にも革新を取り入れた。400Vシステムに統合された電気油圧制御式ポルシェダイナミックシャシーコントロール(ehPDCC)が標準装備され、コーナリング時のロールを抑え俊敏性を高める。同時に快適性も確保し、日常の走行からサーキットまで幅広い場面でバランスの取れた走りを実現する。オプションのフロントアクスルリフトは従来よりも素早い作動を可能とし、実用性も一層向上している。
高級感マシマシなターボナイトデザインの内外装がハンパない
デザイン面ではターボナイトと呼ばれる専用カラーが導入され、エクステリアとインテリアに統一感を持たせている。リアウイングのスラットやサイドウインドウのインサート、専用ホイールのセンターロック部など、随所にターボSの特別感を強調する意匠が散りばめられている。
インテリアにはネオジムトリムを備えたカーボンパネルやマイクロファイバー素材のヘッドライナーが新採用され、スポーティさと高級感を備える。標準装備として、18ウェイアダプティブスポーツシートや専用エンボス加工が施され、初代ターボを想起させるデザインディテールも盛り込まれた。
新型911ターボSの価格はクーペが3635万円、カブリオレが3941万円。性能と日常性を極限まで高めたこのモデルは、スポーツカーの新たなベンチマークとなるのは間違いない。
【AMWノミカタ】
ポルシェが採用しているT−ハイブリッドはターボチャージャー自体に電動モーターを内蔵した電動ターボで、排気ガスが少ない低回転域でも即座に過給し、ターボラグを解消できるメリットがある。
このeターボを2基装備した新型911ターボSは、ポルシェがハイブリッド技術を単なる環境対応にとどめず、性能強化の手段として取り入れていることが特徴だ。0-100km/h加速はわずか2.5秒、ニュルブルクリンクでの14秒短縮は、この新技術が実走行においても明確なアドバンテージを発揮していることを示している。
新型911ターボSがハイブリッド=効率ではなくハイブリッド=究極の性能という新しい価値観を提示し、「伝統と革新を融合させ、常に最高のスポーツカーをつくる」というポルシェの哲学を体現している。効率ではなく情熱、妥協ではなく挑戦。ポルシェが半世紀以上にわたりスポーツカーの象徴であり続ける理由だ。
