フルラインアップでハイブリッド化と上級装備で進化した新型
フォルクスワーゲンが世界累計販売台数200万台以上を誇るベストセラーSUV「T-Roc」の新型を発表しました。全長を120mm延長し、室内と荷室を拡充。デザイン、パワートレイン、先進安全装備、インテリアのすべてを刷新し、最新のアシスト機能やヘッドアップディスプレイを初採用するなど、安全性と快適性を強化しています。
全長の拡張により伸びやかなスタイルと余裕のキャビンで魅力拡大
新型T-Rocは従来型より全長が120mm拡大され、ダイナミックかつ力強いプロポーションを実現。従来のクーペライクなリアエンドの特徴を受け継ぎつつ、より引き締まったラインと洗練された造形となっている。ライティングにも大幅に手を加え、標準でLEDヘッドライトを装備。上級グレードのR-LineやStyleにはIQ.LIGHTマトリクスLEDを採用し、白色に光るVWロゴを細いライトストリップで結んだフロントフェイスは先進的かつ高級感を放つ。リアには連続したLEDクロスバーを装備し、赤く発光するVWロゴを中央に配置する。
インテリアでは質感と機能性の両立を追求。ダッシュパネルに新開発のファブリック素材を使用し、柔らかな触感と上質感を演出する。アンビエントライトの採用でラウンジのような落ち着きある空間を提供。中央には最大13インチのインフォテインメントディスプレイを搭載し、視認性と操作性を向上。最新世代のコックピット設計により、操作系は直感的で快適なドライビングを支える。
注目すべきは、クラス初となるフロントガラス投影式ヘッドアップディスプレイの設定だ。速度やナビゲーション情報をドライバーの視線上に直接表示し、安全性と利便性が大幅に向上した。さらに、Style仕様では14方向に電動調整可能なergoActiveシートを初採用。マッサージ機能も備え、長距離ドライブの疲労軽減に貢献する。
全長が延長されたことで室内スペースも大幅に改善された。荷室容量は従来比30L増の475Lを確保し、ファミリー用途やアウトドアにも十分に対応可能なスペースだ。
上級モデルに匹敵する先進支援システムを標準採用
新型T-Rocは最新のMQB evoプラットフォームを採用し、先進的な運転支援機能を多数搭載している。トラベルアシストは進化を遂げ自動車線変更を実現し、速度制限の変更にも対応可能となった。また、新たにパークアシストプロを導入。これは最大50mの駐車経路を記憶し、スマートフォンを利用して車両を自動的に入出庫できる先進機能だ。後方から接近する車両や自転車を検知し、ドアオープン時に警告するエグジットウォーニングも搭載可能と、単なるコンパクトSUVを超え、上級セグメントに匹敵する安全・快適装備を持つモデルへと進化した。
欧州市場向けの新型は、すべてがハイブリッド化されたパワートレインを採用。48Vマイルドハイブリッド仕様の1.5 eTSIを設定し、出力は116psと150psの2種類。組み合わせるトランスミッションは7速DSGを標準搭載し、スムースかつ効率的な走行を実現する。
グレード構成はTrend、Life、Style、R-Lineの4モデル。Trendは価格重視、Lifeは機能性と快適性、Styleはデザインと先進技術、R-Lineはスポーティな仕上げを重視とキャラクター分けされている。ユーザーは予算やライフスタイルに応じて最適なモデルを選択できる。
新型T-Rocは初代モデルと同様にポルトガル・パルメラ工場で生産される。価格は115psの1.5 eTSIが3万845ユーロ(約530万円)からとなり、競争力の高い設定といえる。
【AMWノミカタ】
フォルクスワーゲンのT-Rocが8年ぶりに刷新された。新型モデルの大きな特長は全長が12cm拡大し、室内の居住性と実用性が改善したことと、ヘッドアップディスプレイ、パークアシストプロ、エグジットウォーニングなどこれまで上級モデルで採用されていた装備の標準装備化だ。
コンパクトSUVでありながらも、最新装備がふんだんに盛り込まれたという印象である。しかし価格は従来モデルよりも約100万円程度高くなる。デザインも含めプロダクトの魅力は大きく上がったが、コストパフォーマンスを求める顧客にどのように響くか興味深い。サイズアップし、装備レベルが高まったことからも兄弟車のティグアンや競合SUVからの積極的ダウンサイジングの需要を掘り起こせるのではないかと感じる。どのようなラインアップが日本に導入されるか興味は尽きない。
