顧客からの要望を反映させた新世代コクピットを初採用
フォルクスワーゲンが新世代のコクピットを初めて採用した新型ID. Poloを公開しました。顧客フィードバックを基に全面刷新されたインテリアと直感的な操作性が最大のトピックです。26cmのデジタルコクピットと約33cmの大型インフォテインメントディスプレイを備える一方で、物理ボタンの積極採用や新ソフトウェアによる快適装備も導入しています。
タッチ一辺倒の操作性を見直し整然と並んだボタン操作が復活
フォルクスワーゲンは新型ID. Polo(電気自動車=BEV)で、今後展開する新世代コクピットの方向性を示した。顧客から寄せられたフィードバックをもとに、インテリアおよびコクピットアーキテクチャの設計を全面的に見直している。操作のわかりやすさ、質感の高さ、そして安心感のある使い勝手を重視し、従来のデジタル偏重から一歩踏み込んだ最適化を目指している。
水平基調のコクピットは視認性と操作性の向上を両立。ステアリングホイール背後には、画面対角26cm(10.25インチ)のデジタルコックピットを配置し、走行情報を高解像度かつ精緻なグラフィックで表示する。センターには約33cm(約13インチ)とクラス最大級のインフォテインメント用タッチスクリーンを採用。両ディスプレイは同一視線上に並べて配置され、ドライバーは視線移動を最小限に抑えながら情報を確認できる。また、このセンターディスプレイは助手席からも操作できる。
最大のトピックスとなるのが操作系。近年のモデルで課題とされてきたタッチ操作一辺倒の構成を見直し、物理ボタンを積極的に採用した点に注目だ。インフォテインメントディスプレイ下部には、空調操作およびハザードランプ用の独立したボタンをまとめた操作ストリップを配置し、走行中でも直感的な操作が可能だ。さらに、新設計のマルチファンクションステアリングホイールには、きっちりと整理されたボタンフィールドを採用し、誤操作の防止と操作性の向上を図っている。
センターコンソールには、スマートフォン用トレイとカップホルダーの間にオーディオ操作用のロータリーコントローラーを新たに配置。音量調整やトラック、ステーションの選択を物理的な操作で行うことができ、運転中の負担を軽減する。
コンパクトながら上級グレードに匹敵する装備を満載
素材および質感へのこだわりも新型ID. Poloの重要な要素だ。ダッシュボードやドアインサートにはファブリックで覆われた表面を採用し、小型車・コンパクトクラスでありながら上位クラスに匹敵する質感を実現。すべてのボタン、スイッチ、そしてハンドル類も、触感の良さと操作時の確実性を追求し、車内全体に温かみと親しみやすさのある雰囲気を生み出している。
また新世代ソフトウェアを初搭載し、快適性と機能性を大幅に向上。ワンペダルドライビングに対応し、アクセル操作主体でのスムースな減速・停止が可能だ。高度なパーキングアシスト機能も備え、日常使用における利便性を高めた。
視覚的な演出として、ID.Lightが大きく進化したことも付記しておく。従来はインストルメントパネル下部に配置されていたライトストリップが、フロントドアまで延長され、車両状態やドライバーへの案内をより直感的に伝える構成となった。このID.Lightは、新型ID. Poloで初めてドアまで拡張された。
見落とせないのがデザイン面での「シークレットソース」として、レトロディスプレイが初採用されたこと。ステアリングホイールやインフォテインメント操作によって、デジタルメーターを1980年代の初代ゴルフを想起させるクラシックな表示に切り替えることが可能となり、エモーショナルな遊び心ある装備となっている。
【AMWノミカタ】
新型ID.Poloの新世代コクピットが公開されたが、大型のディスプレイは採用されつつも、物理ボタンが多く採用されている点が特徴だ。画面を中心としたタッチ操作は、テスラのようにそれを良しとする熱狂的なファンには受け入れられるが、全世界に多種多様な顧客を持つメーカーにはやはり多くの不満が寄せられたのだろう。これまでの運転経験からもおおよそあるべき場所に目的のスイッチがないと不便と感じるものだ。
この「物理ボタン回帰」の傾向はVWにだけではなく、メルセデス・ベンツの新型GLCではステアリングホイール上に物理ボタン、スイッチ、ローラー。BMWは新型iX3で音量用ローラーやミラー・ウインドウ操作のボタンで物理スイッチを残している。
運転中の視線移動や誤操作といった安全上の理由から見直されたのだろうが、ドライバーが求めているのは懐古主義的なボタンへの懐かしさではなく、自分の操作が確実に機能しているという確実性と安心感なのだ。ボタンを押す感覚、また押される音など目視以外の感触も、自動車の安全を支える重要な要素ということだ。
