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WO9に付いた1億9681万は RUF「RCT Evo」が最高のサラブレッドの証明!

124万2500ドル(邦貨換算約2億4220円)で落札されたRUF「RCT」(C)Courtesy of RM Sotheby's

WO9シャシーは独立自動車メーカーの証!
RUF RCT Evoがあわや2億円に大化け!!

ポルシェを凌駕する性能で知られるドイツの独立自動車メーカー「RUF(ルーフ)」をご存知の方も多はずです。2026年1月のRMサザビーズ・アリゾナオークションに、1994年製964モデルをCFRP製ワイドボディや425psエンジンへと完全アップデートした「RCT」が出品されました。約1億9681万円という驚愕のプライスで落札された超希少コンプリートカーの全貌をご紹介します。

1981年に独立メーカーRUFに「WO9」付与
ポルシェから塗装前のホワイトボディを購入!

ドイツのプファッフェンハウゼンに本拠を構えるRUF オートモービル社が、小さな規模ではあるものの自動車メーカーとしてドイツ運輸省から正式に認められた存在であることは、すでによく知られているところだ。

その歴史は1939年にまでさかのぼることが可能で、ポルシェの修理やチューニングから始まった彼らのビジネスは、その後ベースとなるポルシェ車をはるかに超越する性能を持つ、かつ精巧に造り込まれたモデルをゼロから製作するまでに至る。ポルシェから塗装前のボディシェル(ホワイトボディ)を直接購入し、自社製のエンジン、トランスミッション、サスペンションを組み込んで「RUF」という名の全く別の車として完成させるのだ。

RUFが独立した自動車メーカーであることを証明するのは、1981年にドイツの運輸省から付与された、シャシーナンバーの最初に掲げられるプレフィックス(識別番号)「WO9」。ちなみにポルシェのそれは「WPO」であるから、RUF車とポルシェ車は、まったく異なるメーカーの作と考えることができる。もちろん日本でもRUFはRUFであって、車検証もポルシェではないのだ。

世界最速を記録したイエローバードの系譜! 964のナローボディベースだった「RCT」

そのRUFの名を一躍世界に轟かせる大きな理由となったのは、やはり1987年に発表されたポルシェ Gシリーズの911カレラをベースに製作された「CTR」だろう。

鮮やかなイエローの塗装から「イエローバード」のニックネームを得ることになったこのCTRは、自動車メディアが企画した最高速チャレンジにおいて、当時それが頂点であることを誰もが信じて疑わなかったフェラーリ F40の322km/hやポルシェ959を超える339.8km/h(公称342km/h)を達成。堂々、世界最速車のタイトルを手にしたのだった。

ちなみにこのCTRに搭載されたパワーユニットは、3366ccに排気量を拡大した水平対向6気筒エンジンにツインターボとインタークーラーを組み合わせ469 PS / 5,950 rpm(公称値、実際は500 PS超とも言われる)を達成した。燃料噴射システムにはポルシェのグループCカー「962C」の前期〜中期型に使われていたボッシュ製モトロニック1.2が採用されていた。

このCTRによってRUFが得た名声は、その後のビジネスに大きな加速度を生み出すことになる。1989年にポルシェは、新世代の911としてタイプ964をデビューさせるが、それはRUFにとってきわめて魅力的な素材だった。

RUFはそれをベースに1992年にはクーペのナローボディをベースとした「RCT」を発表(RCTとはルーフ カレラ ターボの略称である)。3600ccの水平対向6気筒エンジンにはKKK製シングルターボチャージャーが組み合わされ、最高出力は118ps向上し385psを主張するに至った。先代とも言えるCTR(469 PS)に比べてパワーを抑え、シングルターボを採用したのには明確な理由があった。CTRは非常に過激な性格で扱い辛くジャジャ馬的性格だったが、RCTが目指したのは日常域での扱いやすさと、どこからでも沸き上がる太いトルクの重視だった。これを可能にしたのは、緻密な制御が可能なボッシュ製エンジンマネージメントシステムのモトロニック1.7(ポルシェ962後期型に採用)の存在だ。 このECUにより、アイドリングの安定性や排ガス規制への適合、そしてスムーズな加速特性を実現しています。

2020年にCFRP製のワイドボディへ施工!
6速425psで322km/h発揮のRUF RCT

先日開催されたRMサザビーズのアリゾナ オークションに出品されたRUF RCTは、1994年に製作されたモデルだが、その後2020年に一度RUFへと送り返され、完全なレストアとともにさらなるアップグレードが施されたものだ。

オリジナルのスチール製ボディは、このアップグレード時に軽量なCFRP製に改められ、それまでナロータイプだったリアフェンダーもワイドタイプに変更されている。

リアのエンジンも強化され、タイプ964の後継車であるタイプ993由来の改良型シリンダーヘッドや可変吸気システム(バリオラム)などを採用。425psの最高出力を発揮するとともに、ミッションも6速MTにグレードアップされた。エアロダイナミクスがより洗練されたこともあり、最高速は322km/hを記録している。

RCT Evoは日常使いに最も適したRUFモデル!?1億9681万円は最高のサラブレッドWO9の証!!

いわゆるRCTのEvo仕様ともいえるこのモデルは、フォレストグリーンメタリックに美しくペイントされ、インテリアはダイヤモンドキルト パターンのブラウンレザーにグリーンのコントラストステッチを施し、さらに高級なベージュのカーペットが装備されている。現在までの走行距離はわずかに1600マイル(約2560km)未満。RUFを率いるアロイス ルーフ ジュニア自身は、このRCTを日常的な使用にもっとも適した1台であると語る。

RMサザビーズでは120万ドル〜150万ドル(邦貨換算1億8840万円〜2億3550万円)というエスティメート(想定落札価格)を掲げた。実際には、124万2500ドル(邦貨換算約2億4220万円)という落札価格は、そもそも生産台数が少ないRUF車が持つ価値、そして彼らが保証する性能と品質の高さを考えれば、コレクターズアイテムとして妥当な金額といえるのかもしれない。これからもRUFが生み出した「WO9」モデルには、世界から熱い視線が集まることは間違いないのだろう。というのも世界中のファンやコレクターの間で「WO9」というプレフィックスが特別なのは、それが単なる「ポルシェの改造車(チューニングカー)」ではなく「RUFという名の最高のサラブレッド」である証だからです。

※為替レートは1ドル=157円(2026年3月7日時点)で換算

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