「マセラティ コルセ」と「トライデントエンブレム」が刻む100年の起源はモータースポーツ!
千葉県の幕張メッセで「オートモビル カウンシル2026」が開催されました。国内外のメーカーが集うなか、独自の存在感を放っていたのがマセラティ ジャパンのブースです。今年はブランドの象徴「トライデント(三つ鉾)」と、レーシング部門「マセラティ コルセ」の誕生からちょうど100年という節目の年を迎えます。展示された最新鋭の「GT2 ストラダーレ」と希少な「グランスポーツ トロフェオ」から、名門の熱きレース魂を振り返ります。
オートモビル カウンシルが掲げる「クルマともっと恋をしよう」に賛同する国内外メーカーが出展
2026年4月10日〜12日、千葉県の幕張メッセで開催された「オートモビル カウンシル2026」は、もともとはヘリテージカーのトレードショーとしてスタートした。しかし、かねてから「Classic Meets Modern and Future(クラシック ミーツ モダン)」をスローガンに掲げ、クラシックカーのみならず現代のクルマにもスポットライトを当てる場としてきた。
2026年で11回目を迎える同イベントでは、新たに「クルマともっと恋をしよう。」というモットーとともに、国内外の自動車メーカーが積極的にブースを展開していた。今回はそのうちのひとつ、マセラティ ジャパンのブースを覗いてみた。
マセラティが展示した新旧2台の車両は「サーキットの香り」を熱く感じさせるブランド起源そのもの
2026年、マセラティはブランドの象徴である三つ鉾の紋章「トライデント」と、サーキットを起点とするモータースポーツ部門「マセラティ コルセ」という2つの起源が、ともに100周年を迎える。
トライデントは、1914年の創業に携わったマセラティ兄弟のひとり、マリオ・マセラティの芸術的感性によって生み出されたものだ。ボローニャのネプチューン像に着想を得たこのエンブレムは、強さや勇気、そして支配の象徴として、ブランドの歴史とともに受け継がれてきた。
この紋章は今からちょうど1世紀前の1926年、マセラティ初の自社ブランドレーシングマシン「ティーポ26」に掲げられた。そして、当時すでに隆盛を極めていたシチリア島の公道レース「タルガ・フローリオ」においてクラス優勝という輝かしいデビューを飾る。
つまり、マセラティはサーキットから生まれたブランドであり、同じく100年前に誕生したマセラティ コルセはその原点を体現する存在なのだ。1957年にはファン・マヌエル・ファンジオが「250F」でF1世界タイトルを獲得し、2000年代には「MC12」がFIA-GT選手権で数々の栄冠を手にするなど、マセラティは常にサーキットに軸足を置いてきた。
そんなマセラティが今回オートモビル カウンシルで展開したブースは、いわゆるモーターショー的に最新ラインアップをずらりと並べるPR展示とは一線を画し、「サーキットの香り」を感じさせる新旧2台に特化していた。トライデントが象徴する芸術性と、マセラティ コルセが体現するレースの精神という2つの側面から、100年にわたるブランドの進化とその本質に迫った。
公道を走る快適性を両立させた「GT2 ストラダーレ」は100km/h到達まで2.8秒、最高速320km/h!
まずは最新のレース由来モデルから。マセラティ「GT2 ストラダーレ」は、現在欧州のFIA-GTレース(GT2カテゴリー)で大活躍している純レーシングカー「マセラティ GT2」のパフォーマンスを基盤としている。その走行性能を公道で体感できるモデルとして、2024年8月にワールドプレミアを果たした。
最高出力640ps、最高速度320km/h以上を誇り、軽量化と高いダウンフォースを実現するエアロダイナミクスにより、0-100km/h加速は2.8秒を達成。サーキット由来のパフォーマンスと快適性を両立し、日常からサーキットまでシームレスなドライビング体験を提供する。
日本にわずか2台の競技車両「グランスポーツ トロフェオ」から立ち昇る「サーキットの芳香」
もう1台は、ヤングタイマー世代のマセラティ コルセ製コンペティツィオーネだ。2003年に開催されたワンメイクレース「トロフェオ マセラティ」のために開発されたモデルである。のちに「グランスポーツ トロフェオ」へと進化するこのマシンは、当時の市販モデルである「クーペ」をベースにサーキット走行へ特化した、コンペティション仕様のレーシングカーだった。
4200ccのV型8気筒4カムシャフト32バルブエンジンは、市販モデルと共通のチューニングとしつつも、レース専用エキゾーストや大型リアスポイラーなどの空力パーツを装備。足まわりやブレーキも強化され、ロールケージなどのセーフティ装備を備えた本格的な競技車両である。
当時、マセラティ コルセで製作された総生産台数は77台のみ。そのうち2台が当時の正規代理店であるコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドによって正規輸入された。今回の展示車両も、その貴重な2台のうちのひとつだ。
マセラティは、美しいデザインを持つ高級ラグジュアリーカーのブランドとして認知されがちだ。しかし、その本質はいつの時代もサーキットの熱狂とともにある。最新のGT2 ストラダーレと、20年前のトロフェオ仕様。オートモビル カウンシルの会場に並んだこの2台が放つ色濃い「サーキットの香り」こそが、100年経っても決して変わることのない、トライデントの真実なのだ。
