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自動車の「逆走」は高齢ドライバーだけではない! 誰もが間違えやすいポイント3つ

高速道路の逆走 約7割が確信犯

 悲惨な交通事故を引き起こす「逆走事故」が相次いでいる。認知機能に問題のある高齢ドライバーが主たる悪者にまつりあげられているが、実は逆走事故を起こしているのは高齢者ばかりではない。
 平成28年度に発生した高速道路における逆走件数は249件。そのうち75歳以上のドライバーが45%を占めてはいるが、次いで多いのが30歳〜65歳未満の25%だ。続いて65歳〜75歳未満が22%、30歳未満が8%となっている。若い世代ほど、「自分は絶対に逆走なんてするはずない」と思っているフシがあるが、普通に運転しているつもりの毎日にも、逆走を引き起こす罠が潜んでいると思った方がいい。

 誰もが、知らず知らずのうちに逆走してしまう可能性がある。それは、降雨や夜間など視界が悪い日や、街灯が少なく歩行者も少ない場所。他にも確認すべき標識を見落としたり、複雑な立体交差や地元の人にしかわからないような間違えやすい道路構造なども考えられる。

 逆走したドライバーの意識調査「H27〜28年の高速道路における事故または確保に至った逆走事案」(国土交通省・高速道路会社によるデータ)では、”逆走したことを認識していた”、または”故意に逆走していた”という人は69%だが、26%のドライバーは逆走していると認識していなかったということだ。では、多くのドライバーが逆走しやすいポイントとはどんな状況なのだろうか。

目的のICを通り過ぎて逆走は絶対にNG

 逆走発生件数の約6割を占める、高速道路のIC(インターチェンジ)とJCT(ジャンクション)。ただしここでは故意に逆走した人がほとんどで、降りようと思っていたICを間違えて出てしまい、戻ろうとした逆走が5割以上を占めている。しかし、原因として見落としてはならないのが、「パニック状態に陥り、とっさに戻ってしまった」ということだ。

「ヤバイ、出口を間違えた。どうしよう」と慌てて無我夢中で戻ってしまった、という状況。このパニック状態は、なにも高齢者だけに限ったことではない。運転に不慣れな人や、約束の時間に遅れまいと急いでいた人など、誰にでも思い当たる経験があるだろう。

 ICやJCTを間違えて出てしまったら絶対に逆走せず、まずは落ち着いて次のICで降り、再度高速道路に入るのが最も安全。時間もかからない対処法であることを再認識しておこう。ちなみに、ICでは有人の料金所で事情を説明すると、高速道路を出たことにならずにUターンさせてもらえる(ETCカードを車載器から抜いておくこと)。つまり、料金は本来降りるICまでで済むわけだ。書面手続きを求められることもあるが、それも数分で済む。

 次に、ここ数年で増えている、高速道路のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)を出る時に逆走してしまうという事案。通常なら、SA/PAから「本線」という矢印に従って進めば、進行方向のままスムーズに高速道路に合流して戻れるようになっている。

 ところが、近年はSIC(スマートインターチェンジ)のようにSA/PAから一般道へ出入りできたり、一般道からも利用できるハイウェイオアシスが併設されるケースが増えている。中には上下線どちらにも出られるような構造になっているところもあり、ここが間違えやすいポイントだ。

 さらに、筆者も間違えそうになった経験は、片側1車線の対面通行式の自動車専用道路。SA/PAでしばらく休憩した後など、対面通行であることをうっかり忘れてしまって、片側2車線の道路へ出たと勘違いしてしまったというケースだ。追い越し車線のつもりで右車線を走っていたら、確実に逆走になってしまう。多くの対面通行式道路は中央にポールが立っているが、中にはキャッツアイが埋まっているだけだったり、事故などでポールが壊されているところもあるので、SA/PAを出る時はしっかり確認したい。

大きな中央分離帯のある道路は要注意

 続いて一般道では、片側2〜3車線ある大きな幹線道路で、中央分離帯に背の高い植木が並んでいるポイント。交差点を曲がって、その幹線道路に入る時が最も要注意だ。たまたまクルマの通りがなく歩行者もいなかったり、夜間で見通しが悪い場合などには、中央分離帯の向こうに反対車線があるとわからずに、手前で右折してしまう可能性がある。それこそが逆走だ。道路の向こうに立ち並ぶ植木があったら、そこが歩道なのか中央分離帯なのか、進入禁止の標識や路面に書かれている矢印、制限スピードの表示から正しく判別することが大切だ。

 さらに、真ん中に川が流れているような道も要注意。川を挟んで対面通行になっていることがあるのだが、これも交差する道路側から見ると、道の構造を認識できずに右折してしまうと逆走という間違いを起こしやすい。交通量が多い場所であれば、一方通行または進入禁止の標識があるはずだが、中にはいっさい標識のない場所もあるので、夜間やほかのクルマがいない時にはよく確認してから曲がりたい。

オーバーパスの側道への逆走

 そしてもうひとつ、幹線道路のオーバーパスの下の道を右折する場合も、間違えて逆走してしまいがちだ。信号のある交差点で、停止線がオーバーパスの真下にある場合は、あまり間違えることはないだろう。問題はオーバーパスの下に入る手前に停止線がある場合だ。そこで右折してしまうと、本来はオーバーパスから降りてきて一般道に合流するはずの道を逆走してしまうことになる。こちらも他の走行車がいない時間帯に間違えやすいが、進入禁止の標識があるはずなので、注意深く確認したいところだ。

 このように逆走は、認知症の疑いのある高齢者でなくても、引き起こすリスクというのは身近なところに潜んでいる。逆走は事故につながる可能性が極めて高く、高速道路で言えば、逆走が原因ではない場合に比べて死傷事故になる確率が約5倍、死亡事故になる確率は40倍にもなってしまう。なんの罪もない人を巻き込まないためにも、今一度、一人ひとりのドライバーが注意することが必要だ。

 万一、逆走してしまった場合には、ハザードランプを点灯して安全な場所に停止し、乗員は車外に避難するようにと、高速道路会社は呼びかけている。

 逆走車から見ると流れの遅い左車線を走っているつもりのところは、速いクルマが走ってくる追い越し車線。なので自分から見ていちばん右にあたる路肩に速やかに避難し、正面衝突などの二次被害を防止するように努めていただきたい。

 また、路肩にクルマを停めたあと、乗員はガードレール/ガードロープなどの外側に避難すること。これは、クルマが故障したときも同じで、車内に乗員が残るのはとても危険。そして110番もしくは非常電話ですみやかに通報するのが最善策といえよう。

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