サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

間違いだらけのチャイルドシート選び! 正しい安全性能とスペックの見方を知る

安全性を国土交通省などが評価

 幼児などをクルマに乗せる際に必須なチャイルドシート。乗車中の交通事故などで子供に大きなダメージや最悪の死に至ることをできるだけ防ぐには、安全性が高く、誰にでもきちんと装着できるものを選びたいもの。そこで、国土交通省などが行った試験結果を元に、おすすめのチャイルドシートを紹介してみよう。

 

チャイルドシートは子供の成長に合わせる

 クルマのシートベルトは、大人が使用することを前提に作られている。そのため体が小さく、骨格も発達途中でもろい子供がそのまま使っても、車外に投げ出されてしまうなど本来シートベルトが果たすべき安全性能が正しく発揮されないばかりか、逆に危害を加えてしまう可能性もある。

 そこで、シートベルトの代わりに子供の命を守る装置として、6歳未満の子供への着用が義務付けられているのが、チャイルドシート。乗車中の交通事故による致死率を見てみると、チャイルドシートを着用していた子供と比べて、チャイルドシート不使用だった致死率はじつに16倍(警察庁/平成29年・自動車同乗中のチャイルドシート使用有無別致死率)。大人の責任として、子供には必ずチャイルドシートを使用することが重要だ。

 チャイルドシートは大きく分けて3タイプ。新生児・乳児用のベビーシート、幼児用のチャイルドシート、学童用のジュニアシートだ。製品によって、ベビーシートとチャイルドシートを兼用できるもの、チャイルドシートとジュニアシートを兼用できるものなどがあり、子供の成長に合った製品を使わなければ、やはり本来の安全性能は発揮できない。

 また取り付け方法にも、従来の主流だったシートベルト固定式と、車両側に設置されたアンカーにチャイルドシート側のコネクターを挿し込むことで簡単確実に固定できる、国際基準のISOFIX(アイソフィックス)がある。日本では2012年7月以降に発売された新型車から車両側のISOFIX対応が義務化され、現在はこちらが主流になりつつある。

 そして重要なことがもう一つ。それは、チャイルドシート購入の際には、国の安全基準をクリアした証である「Eマーク」の添付を確認すること。このことは多くの人が知っているはずだが、同じようにEマークが添付されている製品でも、実際に衝突などの際に発揮される性能に差があることを知らない人は多いのではないだろうか。購入したチャイルドシートが本当に子供の命を守ってくれるのかどうかは、事故に遭ってみないと確認できないが、その時に判明したのでは遅すぎるのだ。

 そこで、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が独自に前面衝突試験と使用性についての評価試験を実施。結果は「チャイルドシートアセスメント」として公開されており、パンフレットの請求やウェブサイトで閲覧可能となっている。

口コミが高評価でも安心できない

 現時点で最新のチャイルドシートアセスメントは、平成30年度の試験結果だが、それを見ると意外な事実に驚かされる。TVやCMなどで盛んに紹介されている製品や、口コミで高評価を得ている製品が、必ずしも良い試験結果を出しているわけではないからだ。

 評価基準のひとつとなる”前面衝突試験”は、台車に固定したクルマのシートにチャイルドシートを装着し、ダミー人形を乗せて時速55kmでクルマが前面衝突した場合と同じ衝撃を発生させるというもの。

 例えば乳児用ベビーシートのうち「ベッド型」の場合は、1)チャイルドシート取り付け部などの破損 2)衝突によって胸部に生じる力 3)衝突時のチャイルドシート底面の傾き 4)衝突時の頭部の前方への移動量、といった4項目を計測。全項目が◎ならば”優”、◎が3つで◯が1つなら”良”、1つでも×がある場合は”推奨せず”、上記のどれにも当てはまらない場合は”普”の4段階の評価を与えている。

 なお、乳児用ベビーシートでも「後ろ向き型」になると、3)衝突時のチャイルドシートのシートバックの傾き(角度)、4)衝突時のチャイルドシート上端面からの頭部のはみ出し、という項目に変わるなど、製品タイプによって適正な評価に変わる。

 また、使用性評価試験は、誰でも簡単・確実に取り付けられるかどうかを判定。項目は「取扱説明書等」「着座のさせやすさ」「本体表示」「車への装着性」「本体の構造」の5つに分けられ、さらにその中で細かな評価基準があり、項目ごとに総合して5点満点で評価されている。なお点数の表示は、2015年評価以降は、各項目における合計点数、それ以前の評価モデルでは平均点となっている。

試験結果で見るオススメ5つ

 それではここで、最新のチャイルドシートアセスメントで高評価を受けた製品のうち、筆者がおすすめのトップ5をご紹介。試験を受けた製品はISOFIXとベルト固定でそれぞれ乳児用、乳児・幼児兼用、幼児専用と大きく3タイプに分けられるが、公平を期すため同タイプで最も被試験製品数の多い乳児・幼児兼用の製品から選んだ。

 

【第5位 】
リーマン「iA01」

 前面衝突試験の結果が乳児用「良」、幼児用「優」、使用性評価試験が乳児用「4.0」、幼児用「4.1」となっている。乳児用が優を取れなかった理由としては、「胸部に受ける力」が◯だったことで、他の項目は全て◎だ。

 

【第4位】
リーマン「カイナ」

 前面衝突試験の結果が乳児用「優」、幼児用「優」、使用性評価試験が乳児用「4.2」、幼児用「4.1」を獲得した。製品自体の重要が5.3kgと軽いのが特徴で、複数台のクルマを所有していて頻繁に付け替える家庭には向いているはずだが、使用性試験評価で「車への装着性」と「本体表示」の評価がやや低いのが気になるところ。ただ衝突安全性は優秀だ。

 

【第3位】
コンビ「クルムーヴ/クルムーヴスマート ISOFIX」

 前面衝突試験の結果が乳児用「優」、幼児用「優」、使用性評価試験が乳児用「4.1」、幼児用「4.3」となっている。ISOFIXの特徴であるはずの「車への装着性」がやや低い評価となっており、製品重量が12.0kgと重いことや、床に突っ張る脚部が付いているため装着に手間がかかるためではと思われるが、こちらも衝突安全性は優秀だ。

 

【第2位】
タカタ「チャイルドガードtakata04-i fix」

 前面衝突試験の結果が乳児用「優」、幼児用「優」、使用性評価試験が乳児用「4.3」、幼児用「4.5」を獲得。衝突安全性能の高さはもちろん、使用性評価ではとくに着座のさせやすさ、本体の構造が高評価を獲得している。

 

【第1位】
タカタ「チャイルドガードtakata04-neoSF」

 映えある第1位。これはベルト固定タイプだが、前面衝突試験の結果が乳児用「優」、幼児用「優」、使用性評価試験が乳児用「4.5」、幼児用「4.5」といずれも高評価。とくに車への装着性と着座のさせやすさが群を抜いて良いとされている。

 ちなみに、「推奨せず」の評価となった製品は、乳児・幼児兼用タイプには見受けられなかったが、幼児専用タイプには残念ながら複数の製品が存在する。国の安全基準をクリアしているはずなのに、と疑問に思うのも無理はないが、それが現実だ。購入の際には、ブランドの知名度やイメージ、見た目の良さなどに惑わされることなく、チャイルドガードアセスメントを参考に、より安全性の高い製品を選んでもらいたいと思う。

 

モバイルバージョンを終了