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直系がゆえの「本物」の走り! わずか100万円以下で買える激速「ワークス」中古モデル5選

自動車メーカー直系のチューニングブランドからリリースされるコンプリートカーたち

 最近ではメーカーの生産ラインで製作されるマシンも増え、より身近な存在となってきた。
ただ、新車はもちろん、中古車になっても高いのがネック。「高性能なメーカー謹製のスペシャルマシンを安く手に入れらねないものか」と考える皆さんに、100万円以下で購入でき、スペックオタクも唸らせる濃厚印のコンプリートモデルを紹介しよう!

1)マーチNISMO 

 100万円以下で購入できるメーカーワークス系モデルの王道といえるのが、マーチNISMOだ。それまで少量生産のコンプリトカーを生産してきたNISMOだが、2013年に大きく体制を変更。生産は同じ日産系企業であるオーテックジャパンが担当し、NISMOはブランドとレースから得たノウハウなどの技術提供という形で参画している。

 また、メーカーの生産ラインで製作することで量産体制を確立し、さらに2017年にはロードカーのラインアップ拡充のためにNISMOカーズ事業部を設立。年間10万台の販売規模を見据え、欧州のAMG、M、クアトロといったブランドと肩を並べることを目指している。

 マーチNISMOはジューク、フェアレディZに続く新生NISMOコンプリートカーの第3弾で、2014年2月にデビュー。外観は空力を意識した専用エアロパーツを身にまとい、ベースモデル比で2インチアップの205/45R16を装着するなどビジュアル面の鮮度を高めるとともに、フロア下に補強バーを追加し、剛性をアップ。また、専用チューニングが施されたサスペンションを装着するなどフットワーク性能も引き上げている。

 エンジンもスタンダードには設定のない1.5L直4DOHCを搭載し、圧縮比の向上、カムプロフィールの変更、専用エキゾーストシステムをプラス。これを専用ECUでコントロールすることで116ps/15.9kg-mのスペックを得るなど、コンプリートカーらしく、トータルで手が入れられているのが魅力だ。

 走りはちょいと昔のホットハッチのようで、癖はあるが操る楽しさが満点で、クルマ好きにはたまらないだろう。100万円以下で購入できるのは2016年式までで、初期型ならば低走行のモデルも選べる。注意すべきはルックスとフットワークのみに手を入れられた1.2NISMOが存在すること。こちらはエンジンはノーマルの1.2LでミッションはCVTとなるので、走り好きは1.5 NISMO Sであることを確認するのは必須だ。

 もう少しパフォーマンスが欲しい方には兄貴分といえるノートNISMOやジュークNISMOも100万円以下で選ぶことが可能だ。ボディやサスペンションなどのマシンメイクの手法は同じだが、ノートは1.6LNA(140ps/16.6kg-m)、ジュークは1.6Lターボ(200ps/25.5kg-m)とマーチに比べると大幅なパフォーマンスアップが望める。ただし、100万円で選べるタマ数は少なく、程度や走行距離を含めて考えるとマーチNISMOがイチ押しだ。

2)コルトラリーアート バージョンR スペシャル 

 ラリーアートは三菱自動車のワークスチームとして長きにわたりモータースポーツに参画していたが、2010年3月に事業を縮小ならびに廃止となっている。現在、ラリーアートパーツは三菱の国内レースをサポートしていたテストアンドサービスが販売しているという状況だ。そのラリーアートの名前が付いた最後のマシンが2006年に登場したコルトラリーアートバージョンR(以下コルトR)だ。

 三菱の主力車種であったコルトにオーバーフェンダーとリアスポイラー、エアインテーク付きボンネットに専用フロントバンバーを装着し、スポーティなルックスを演出。ボンネット下には154ps/21.4kg-m(後期型のMTは163ps21.4kg-m)を発揮する1.5ℓ直4ターボを搭載し、ミッションはゲトラグ製5速MTを採用(CVTも設定あり)している。

 さらに開口部の補強やサスペンションの取り付け部、スポット増しを追加することでねじり剛性を30%向上させるなど、当時としてはかなり過激なホットハッチであった。ちなみにコルトRはランエボの後継車としてWRC参戦を視野に入れていたモデルがベースであり、ラリーアートと銘打つが、コンプリートカーではなく量産ラインを流れるれっきとしたカタログモデルである。

 オススメのスペシャルはコルトRをベースに製作された武闘派モデルで、2008年5月に300台、2010年2月に200台限定で発売されている。最大の特徴はボディ剛性の強化で、4つのドア開口部にスポット溶接に加えて、全周を点ではなく面で手作業で溶接する「連続シーム溶接」を追加している。これによりねじり剛性をさらに10%アップ。

 さらに従来はオプションだったレカロ製スポーツシートやラリア―ト製専用マフラー、エンケイのブラック塗装ホイール(2010年はシルバーに変更)などを標準化するなど、三菱の技術をフルに投入し、装備てんこ盛りのスペシャルバージョンであった。

 中古車市場にはスタンダードなコルトRはそこそこタマ数はあるが、スペシャルはかなりレア。メーカーでしかできない特別なボディ補強が施され、ホットハッチとしてのポテンシャルも高く、内容を考えたら100万円以下で手に入れられるのはかなりお買い得。特にスペック好きには見逃せない!

3)初代アテンザ&アクセラ マツダスピード

 マツダスピードはマツダ車のいちディーラーであった「マツダオート東京(現在関東マツダ)」が母体となりスタートしたモータースポーツ会社で、最初はマツダ直系のワークスではなかった。1983年にマツダ資本が投入され、本格的なワークス活動を開始し、1991年にはル・マン24時間レースで日本車による初の総合優勝を飾るなど華々しい活躍を見せたが、1999年7月マツダに統合され、現在はマツダ車のアフターパーツ&ブランド名として残るのみである。

 アテンザ&アクセラのスポーツグレードとして設定されたマツダスピードは2005年に初代アテンザ、翌2006年にアクセラに投入。

 アテンザは初代限りで終了したが、アクセラは2代目まで継続された。2.3L直噴4気筒ターボを搭載するのは同じだが、駆動方式はアテンザが4WD、アクセラが2WDと異なり、エンジンスペックも4輪でパワーを受け止めることが可能なアテンザの方が高かった(アテンザが272ps/38.7㎏-mでアクセラが264ps/38.7㎏-m)。

ミッションは6速MTのみで、ヨーロッパ志向のラグジュアリーなセダン&ハッチバックを目指した2台とはかけ離れた硬派な存在であった。

 大きな開口部を開けたグリルとデフューザー形状のリアバンパーが外観上の特徴で、初代アテンザ&アクセラはラグジーな雰囲気があったが、2代目のアクセラはボンネットにエアスクープを設けるなど、かなりヤンチャなルックスとなった。

 スタビライザー径の拡大とリアシート下の補強などパフォーマンス向上に合わせて各部を強化するなど手が加えられている。ランエボやインプレッサのような過激さはないが、初代のアテンザ&アクセラマツダスピードは大人のセダン&ハッチとしてゆとりある走行性能が魅力。

 製造中止から10年以上が経過したこともあり、マーケットに存在するクルマはほぼすべてが100万円以下で購入できる。特にアクセラは初期モデルなら30万円台もあり。

 手に入れやすいが、ツアラーとして長く使われてきたクルマも多いので、走行距離も多めな個体が多い。アテンザを選ぶなら2007年に200台限定でリリースされたM’zチューンがオススメ。専用ECUやビルシュタインサスなどが奢られ、ベースモデルとは別物のように進化している。ちなみにタマ数はアクセラの方が多い。

4)インプレッサSTI A-Line 

 WRC(世界ラリー選手権)の活躍もあり、コンプリートカーとして人気が高いインプレッサWRX STI。国内でも一級品のパフォーマンスを発揮するスーパー4WDマシンは新車だけでもなく、中古車になっても常に高値をキープし続けている。

 100万円で購入できるのは2000年に登場した2代目GD型が中心だが、ほとんどが車齢15年を超えている。世代の新しい3代目のGR型、GV型も選べるがほとんどが10万㎞を超えた過走行車と、ともに費用がかさむことが予想され、普通に乗るにはオススメしにくい。

 そんな多くのファンに愛され続けるWRXシリーズのなかで唯一の穴といえるのが、3代目の途中に追加されたインプレッサSTI A-Lineだ。

 100万円の予算でMT車のWRXよりも新しい2009年、2010年式から選べ、手荒く扱われている個体も少ない。ボディも5ドアハッチバックと4ドアセダンの2種類が設定され、好みに応じて選べるのもうれしい。

 最大の特徴はイージードライブを可能とした歴代インプレッサSTI初のATモデルで、搭載されるエンジンも通常のEJ20型ターボではなく、排気量の大きなEJ25型ターボ。出力&トルクともにMT車よりもやや劣る300ps/35.7㎏-mだが、スペックは現在のレベルでも見劣りはなく、大排気量エンジンが生む豊かなトルクはATとのマッチングも良好だ。

 ただし、トルク配分方式がMT車のDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)に対して、電子制御VTD-AWDに、LSDも機械式からビスカス式に、フロントシートがレカロ製ではなく、スバル純正となるなどメカニカル面や装備面には差異はある。

 逆にMT車には設定がない本革シートやサンルーフが選べるなど、キャラクターは明確に違いを持たせているが、エクステリアには差はなく、引け目を感じることはないので安心してほしい。硬派一辺倒のWRX STIに対して、ラグジュアリーな味付けも加味したA-Line。オススメは本革シート、18インチタイヤ、リアスポイラー(セダン)が装着された特別仕様車のタイプS。ヤンチャな走りを卒業した大人に乗ってほしいATスポーツモデルだ。

5)ヴィッツTRDターボM 

 TRDとはToyota Racing Developmentの略で、かつてはトヨタテクノクラフトのモータースポーツ&カスタマイズブランドであったが、現在はモデリスタインターナショナルとジェイタックスを統合して誕生した「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」がブランドを継承している。かつてはNISMOと同じく少量生産のコンプリートカーを製作していたが、86ベースの14R-60以来自社開発のコンプリートカーは発売していない。

 ヴィッツTRDターボMは2代目のRSグレードをベースにTRDが開発したボールベアリングターボと専用インタークーラーなどのパッケージKITを装着したモデルだ。このTRD謹製のターボキットは初代ヴィッツ、初代bB、初代イスト、カローラアクシオ、2代目カローラフィールダーなど幅広い車種に搭載され、コンプリート化されているが、ヴィッツTRDターボMだけはこのターボキットをTRD(取扱店を含む)ではなく、メーカーの生産ラインで組み付けた上で、モデリスタが発売している異端児なのだ。

 ターボキットはベースの40ps/5.6㎏-mアップの150ps/20.0㎏-mとやや控え目のスペック。暴力的な加速ではなく、余裕のあるオールラウンダーとして扱いやすさを重視している。ミッションは5速MTのみで、専用サスペンションで15mmローダウン。見た目はノーマルだが、走ればピリリと辛い。そんな通好みのマシンである。

 2006年に発売され、’10年まで受注されていたが、市場に残っているのは’07、’08年が中心で価格帯は30~100万円。今から購入するならば、3連メーターやセンター出しスポーツマフラー、17インチアルミホイールがセットになった「マスターキット」装着車を狙いたいところだ。MT車初心者はもちろんだが、スペック的には現行スイフトスポーツを上回っているので、対抗馬としてカスタムして遊ぶののも面白い。

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