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ホンモノはゼロに近い! 自動車メーカーだらけの日本にスーパーカー文化が発展しないワケ

2000GTとLFAその1

日本車でスペシャルなモデルは数少ない

 いわゆるスーパーカーと呼べる日本車とは何か? 60年代ならば、トヨタ2000GT。90年代以降だと、ホンダNSXの初代と二代目、さらにレクサスLFAといったところだろうか。GT-Rをスーパーカーと呼ぶかどうかは、ユーザーの判断が分かれるところだ。

欧州のスーパーカー普及はカロッツェリアの存在も大きい

 いずれにしても、日本車のスーパーカーはとても少ない印象だ。やはりスーパーカーの宝庫といえば、フェラーリとランボルギーニを擁するイタリアである。これには60年代から70年代にかけて繁栄した、自動車を主体とする工業デザイン企業・カロッツェリアの存在が大きい。ピニンファリーナやベルトーネは、フェラーリやランボルギーニ以外にも多様なスーパーカー・デザインを世に送り出した。

 そのほか、ロータスやブガッティなど英国企業や、近年では中国地場メーカーでもイタリアのカロッツェリアと協業するなどして、スーパーカーのコンセプトモデルをモーターショーに送り出すことが多い。

 では、どうして日系メーカーでは、スーパーカーが馴染まないのか? それにはいくつかの理由が考えられる。

日本車は大衆車というイメージがいまだに強い

 第一に、日系メーカーのブランドの在り方だ。そもそも、日本車は大衆車という位置付けであり、60年代のトヨタ2000GTは異例の存在だった。

 その後、90年代に北米市場を見据えて、ホンダがアキュラ、トヨタがレクサス、そして日産がインフィニティと、プレミアムブランドを新設。NSXは北米ではアキュラのイメージリーダーとして活躍し、LFAはトヨタF1との商品イメージの融合性を狙った。

 それでも、日系プレミアムブランドはスーパーカーブランドとは一線を画す存在であり、結果的に日系スーパーカーはグローバル市場のなかで馴染まなかった、といえるだろう。

スーパーカーに対する考え方の違いが大きく影響している?

 もう1点は、昨今の1億円オーバーのスーパーカー市場(またハイパーカー)の様子に、日系メーカーの事業が馴染みにくいという側面もあると思う。

 スーパーカーの価格設定は、高い走行性能に対して販売台数が少ないことで高額になるのは当然ながら、そうしたクルマとしての実態に加えて、超富裕層に対する夢を売るための付加価値の高さが求められる。

 そうした領域の事業について、日本の大手自動車メーカーは“生真面目に”考え過ぎるのではないだろうか? 大衆車とスーパーカーは、四輪自動車という乗り物の形式としては同じだが、その存在意義は極めて大きく違う。

 そうしたスーパーカーユーザーのマインドに対して、日系自動車メーカーは営業方針も含めたトータルケアについて、既存の販売戦略とはまったく違う方式が求められる。

 時代はいま、大きくBEV(電気自動車)シフトが進み始めており、ホンダとレクサスがスーパースポーツBEVを市場導入することを明言している。はてしてBEV時代のスーパーカーで、日系メーカーは活路を見出すことができるのだろうか? 今後の動向をじっくり見守りたい。

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