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チューニングカーがパトカーに!? ACシュニッツァー仕様BMW「i4 M50」をドイツ警察がエッセンモーターショーに出展する理由とは

パトカー仕様のi4M50

フロントスポイラー、フロントスプリッター、フロントサイドウイングを装着

もはやカスタムパトカーはエッセンモーターショーの風物詩

 エッセンモーターショーの名物といえば、地元警察とドイツの名だたるチューナーが手がけるチューニングパトカーと言っても過言ではありません。この車両を毎年楽しみにしているファンも多いかと思いますが、私もじつはそのひとりです。

今年のベース車はバッテリーEVのBMW i4 M50

 会場のメインエントランスを入るとすぐに、「TUNE IT! SAFE!」のブースが目に入ります。その正面に今年の顔となる警察車両が展示されているのですが、なんと2022年はACシュニッツァーが作成したBMW「i4 M50」でした。2018年にはBMW「i8」で作成されましたが、純粋な電気自動車は今年が初めてです。

 このACシュニッツァーによってフルチューンされたi4のパトカーは544psを誇り、最高速度は225km/h、100km/hにはわずか3.9秒で到達すると公表されています。もしもこれでアウトバーンを爆走する犯人を追いかけた場合、一体どれくらいの距離を全速で走れるのか、気になるところです。ただ、これは交通安全促進のデモカーですから、そんなシーンは想定されていないと思いますが。

正しいカスタマイズを楽しんでほしいと警察も協力して啓蒙

「TUNE IT! SAFE!」とは、ドイツ連邦デジタル交通省が出資し、チューニングカーを楽しむ若者たちのために、安全運転トレーニングやワークショップを開催している団体です。

 若者がターゲットとあり、それらのイベントの参加費は格安に設定されており、無知がゆえに違法な改造をして事故や命の危険におちいる若者を少しでも減らそうという目的です。

 このブースにはノルトライン=ヴェストファーレン州の警察官の方々が常駐されており、チューニングのことから日頃の交通関連の悩みや相談事まで気軽に応じてくださいます。

 警察官の方たちは全員とても明るくオープンでお話上手なので、若者たちが警察官と一緒に楽しく談話している姿が印象的でした。ルールをキチンと守ればもっと楽しくクルマいじりができる、そんなドイツ警察の想いが込められているようです。

 ドイツの一般的な警察官はかなり威圧的で怖い印象なのですが、このように和やかな雰囲気で対応していただけると、きちんと気をつけなければと心底思いますので、若者たちにも良い啓発活動になるのではないかと思いました。

 さまざまなサプライヤーが協力して作成されたオリジナルのパトカーのラッピング車は、実際にノルトライン=ヴェストファーレン州の交通安全運動イベントなどで毎年活躍しています。

TÜV認証のないパーツは違法になる

 ドイツの警察の方々が厳しくチェックしているのが、TÜV(テュフ)が認証した厳しい基準をクリアしたパーツでチューニングしているか、です。ドイツの認証機関のひとつであるTÜVは、安全・品質基準をクリアして出荷販売できるようにするため、厳しい検査基準を設定。自動車やそのパーツやアクセサリ類、タイヤやホイールもそうですが、工業製品全般の多岐にわたる製品にまで事細かく検査が義務付けられています。この基準テストをクリアした商品は認証マークを刻印されるのです。

 ドイツではこのマークが入っていないパーツの装着は基本的に禁止されており、例外として取り付ける場合もそのパーツごとに車検場に持ち込んで品質安全検査が必要となりますから、その時間と費用を捻出する必要があります。

 例えば、サスペンションですとH&Rやビルシュタイン、アイバッハなどのドイツの大手メーカー製品ですと、必ず自社でTÜVの認証マークを取得していますので、安心して装着できますし、違法にもなりません。ですので、ドイツ警察が推奨しているのは、「正しいパーツで合法で安全なチューニングを楽しみましょう」ということなのです。

 ドイツではTÜVが認証していないパーツでチューニングをすると違法となってしまうため、法に触れるリスクを犯してまで違法チューニングカーを公道でドライブする人は多くないそうで、「キチンとルールを守っておられますよ」とは警察の方の弁。このようなチューニングメッセ会場にある警察ブースで、知らずにうっかりいじって違法となる前に、気軽に相談できてアドバイスを受けられるのは心強いでしょうね。

 余談ですが、取材したのはサッカーのワールドカップで日本対ドイツ戦が行われた後だったため、ドイツの警察の方たちも日本という国にとてもご興味を持っていただけたようで嬉しかったです。そして、やはり日本に行って日産「GT-R」やホンダ「NSX」などの日本が誇るスーパーカーのパトカーをぜひ見てみたい! とのことでした。ドイツ警察のなかでも、日本のスーパーカーパトカーは有名なのだそうです。

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