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フィアット「500」がサビだらけ!? エイジング塗装を極めた「チンクエチェント」はDIYの力作でした

2010年式フィアット500 1.4L。ラッピングではなく塗装でエイジング

約1000台が浜名湖に集まった「フィアットピクニック2022」

 日本最大級のフィアットのミーティング「フィアットピクニック」が、フルサイズのイベントとしては3年ぶりに開催。2022年9月10日(土)の浜名湖ガーデンパークには、過去最高の約1000台、2000人以上のフィアット乗りたちが集まった。新旧さまざまなフィアットが居並ぶなかでも目立っていた、サビサビ(?)の「500」をご紹介しよう。

クラシックな雰囲気の「500」には「わびさび」もよく似合う!?

 クルマが経年変化でサビたりヤレたりした佇まいを愛する流派は古くから存在し、アメリカ西海岸のカスタムカルチャーでは「ラット」とか「パティーナ」と呼ばれていたりする。ここ日本でもひと昔前には、海辺でクルマをわざと何年も放置してサビさせる剛の者がいた。

 その一方、塗装技術の進化にともなって近年世界中のカスタムシーンで流行しているのが「エイジングペイント」だ。最新モデルにも数十年の時を経たかのような味わいと意外性を持たせることができ、人とは違ったスタイルを求めるオーナーたちから支持を集めているのだ。

 2022年のフィアットピクニック会場でひときわ目立つオーラを放っていた2010年式「500 1.4L」も、実際にサビてしまっているのではなく、エイジングペイントの賜物だ。サビ系ペイントは、中途半端だと逆にただ安っぽいだけにもなってしまう諸刃の剣なのだが、この500はボディ全体にわたってサビのトーンが見事に統一されていて、「鉄製のクルマが数十年放置されたらこうなるのでは」と思わされてしまう説得力を獲得しているのだ。ラッピングでもこれほどの質感は実現できないだろう。

 もともと1950年代~70年代のイタリアの国民車「ヌオーヴァ500」のスタイルを現代的にリバイバルしたデザインでヒットした3代目500。レトロテイストなボディにエイジングペイントがこれほど似合うとは、と深く感服するのだった。

テーマはズバリ「外は汚く、中はキレイに」

 エイジング500のオーナーは名古屋のエイジさん。カスタム歴はトヨタ「ハイエース」を皮切りに10数年におよび、趣味のペイントカスタムで以前はホンダ「N-ONE」を旧ミニ風にしたりしていたそうだ。

 エイジング塗装にずっと興味はあったものの機会に恵まれず、この500が初めてだという。2年ほど前、ショップで売りに出ていた時点で純正状態にある程度エイジングしてあったのを購入している。ベースのボディカラーがホワイトでやりやすかったこともあり、さらにDIYでエンジング塗装をグレードアップしてディテールに至るまで仕上げていった。ヤレヤレ感を出すためにサイドをわざと凹ませる執念のほどには恐れ入る。

 それでいながら、ドアを開けるとインテリアは縞鋼板のパネルが輝き、髑髏柄のステアリング、ガンハンドルタイプのシフトノブ、クラシックなコブラシート(ヘッドレストを自作)などが装備された、ピカピカかつマッシブな空間だ。現代的なカスタムカルチャーのノウハウがふんだんに投入されていて芸も細かく、サビサビな外観とのギャップが面白い。

「外は汚く、中はキレイに、を目指してます」とにこやかに語るエイジさんにとって、21世紀のフィアット500はとても楽しいカスタム素材のようだ。かわいくレトロな雰囲気でいながら、エイジング系カスタムも受け入れてしまうのもまた、国際的に愛されるベーシックカ―ならではの懐の深さというものだろう。

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