サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

新型「カウンタックLPI 800–4」を試乗してわかった「由緒正しきランボルギーニの血統」とは?「アヴェンタドール」の完成形でした

カウンタック LPI 800-4のドアを開けた状態。アヴェンタドールがベースなので、カウンタックのように真上にドアが開くというわけにはいかない

初代へとつながるランボルギーニのフラッグシップたる伝統を受け継いだ

「カウンタック」から連なるランボルギーニのフラッグシップである条件、それはV12エンジンを縦置きリアミドシップとした“LPレイアウト”である。それゆえ、現代に復活したハイブリッドのカウンタックも、そもそも“カウンタック”なのだ。“後継モデル”に試乗し、その走りと“LPレイアウト”の進化について考察する。

精神としてのカウンタックは生きながらえている

ランボルギーニのフラッグシップモデルには由緒正しき血脈がある。「クンタッチ(カウンタック)」から「ディアブロ」、「ムルシエラゴ」、そしてこの2022年に生産を終えた「アヴェンタドール」まで通底するフラッグシップの必要十分条件。それはパオロ・スタンツァーニによる世にも珍しいV12パワートレインの縦置きリアミドシップ=LPレイアウトだ。裏を返せばV12のLPレイアウトを守り続けたことで、精神としてのカウンタックは生きながらえた。今の今まで。

それゆえ限定車「シアン」(アヴェンタドールベース)と基本のメカニズムを共有する「LPI 800–4」がカウンタックと改めて名乗ったことに、カウンタック好きの筆者は何の違和感も覚えなかった。これは“そもそも”カウンタックなのだ。アヴェンタドールもムルシエラゴも、そしてディアブロも“カウンタック”だったのだから。

新型カウンタックの限定台数112台という数字は、オリジナルカウンタックの開発コードLP112=LPレイアウトを採用した「最初(=1)」の「12気筒モデル」、に由来する。そして車名の意味するところは「LPレイアウト」を持つ「ハイブリッド(I)」の「800ps」級「4WD」マシンであった。

「シアンFKP37」と同じパワートレインを積む。システム構成は6.5Lの自然吸気V12エンジン→25kW電気モーター→ISRトランスミッションで、モーターを大容量のスーパーキャパシタで駆動する。最高出力は814CV/8500rpm。シアンでは819CVだったが、これはエンジン自体のチューニング差というよりも排気系のデザイン変更によるものだろう。

ハイブリッドで低中速域での加速が上質に

新型カウンタックはハイブリッド車だ。それはそうなのだけれども、システムの働かせ方は少しユニーク。電気モーターには微低速域における駆動力の提供に加えて、ISRミッションの欠点というべきシフトアップ時におけるトルク落ちを埋めるブースターの役割もあった。むしろ後者の方が重要かもしれない。

それゆえ変速をオートにしてもアヴェンタドールより随分とスムースだ。日本の制限速度域以下では電気モーターのブーストによる恩恵を受けることができるため、100km/hあたりまではアヴェンタドールよりもレスポンスよく加速するし、“速い”と感じることもできる。あくまでもフィールだけれど。

もちろんアクセルベタ踏み状態ではシフトアップ時にショックが出るものの、ハーフスロットルならショックはほとんど気にならない。さらにドライブモードをスポーツに変えてマニュアル操作で変速した場合に、シフトアップと同時に力が加わって前のめりの加速が生まれる。この感覚はアヴェンタドールにはなかったもので、シアンやカウンタックに共通するハイブリッドパワートレインに特有だ。

アクセルペダル全開での速さそのものは、結果的にアヴェンタドールとほとんど変わらない。高回転域では純粋にエンジンの出番で、モーターの援助パワーをあてにはできないためパワーフィールそのものは「アヴェンタドールSVJ」
とさほど変わらなかった。

要するに低中速域での加速ではカウンタックやシアンの方が上質に思える。いきなりフルスロットルにするのではなく、じわっと右足を踏み込んでいけば、ライドコンフォート性においてカウンタックはアヴェンタドールを上回っていることが分かるだろう。ショックのない変速とのそれは相乗効果でもある。

新型カウンタックはアヴェンタドールの完成形であるということもできるのだった。

(取材協力:ランボルギーニ・クラブ・ジャパン)

モバイルバージョンを終了