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「アバルト」や「ディーノ」など名車13台が収まるガレージ! 欧州の私設ミュージアムのような隠れ処を建てた理由とは?【Garage Style】

750レコルトモンツァ・ビアルベーロと595エッセエッセの2台のアバルト

乗れないときも愛車との時間を存分に楽しむガレージライフ

ヒストリックカー趣味が高じて何台も所有してしまったオーナーにとって悩みの種といえば保管場所です。東北地方某所にあるKさんのガレージは、建物の雰囲気からライティング、ディスプレイまでこだわったミュージアムのような素敵な空間。しかもその中には取材時で13台もの愛車が収まっていました。これほどのガレージを建てた背景を探ってみましょう。

ヒストリックカー趣味の入口はジャガーEタイプから

幼少期に買ってもらったミニカーのなかでも一番のお気に入りだったのはジャガー「Eタイプ」だったというKさん。それまで仕事も多忙を極め、現行スポーツカーを楽しむことはあっても、なかなかヒストリックカーの世界には踏み込めずにいたそうだ。約15年前にようやく、いつか乗りたいと憧れていたEタイプを手に入れた。

チョークを引いてのエンジン始動や、それから暖気運転をしてからの走行、少し曇っていても磨いてあげると輝きを取り戻してくれるバンパーなどのメッキパーツ。少しだけ手をかければ、しっかりとそれに応えてくれるヒストリックカーとの暮らしに喜びを感じたそうだ。

そうして旧いクルマの趣味を楽しみ始めたKさんに、2桁ナンバーを掲げたポルシェ「911S」を、そのまま継続できる同じ県内の人に引き継いでもらいたいとの話が舞い込んできた。それも縁だと手を挙げて、その後同じくポルシェの「356」も手に入れ、Eタイプを迎えたときに建てた自宅の駐車場は趣味車だけになってしまった。

週末用のセカンドハウスにガレージを増設

そうした時期に想像もしない大事件が起きた。2011年3月11日の東日本大震災である。未曾有の大災害と、これまでだれも経験のない放射能の恐怖は、東北地方のKさんの居住地にも大きく影響し、成長期の子どもたちが被曝の不安にさらされず気兼ねなく屋外で楽しめる場所を同じ県内に探すことにしたという。

そして職場へ高速道路で行き来できる場所に週末住宅を建てて生活をはじめたところ、その周辺はドライブに適した道路ばかり。ストップ&ゴーもほとんどなく、旧いクルマにとっても最高の環境であることにKさんは気づいた。

自宅ガレージも趣味車に占領されていたので、クルマ趣味も楽しめるガレージを建てることを考える。ちょうど隣地も空いているのも好都合であった。

そこで自宅横のガレージと週末住宅を設計してくれた「TDF」代表の谷津さんに相談し、クルマ遊びが楽しめるイメージ通りのガレージが完成したのだ。

クルマに加えてパーツや資料やグッズもディスプレイ

Kさんのガレージに足を踏み入れると、石畳の上に佇む英国車「MG TD」と並んで、英国フォードの「コーティナ」にイタリアのデ・トマソがチューニングを施した「デ・トマソ コーティナ」が出迎えてくれた。

高架下のような3連のアーチ下には、トライアンフ「TR2」とともにアシュレイ製のハードップを被ったオースティン「ヒーレー・スプライト」が鎮座。この個体は長年イギリスでヒストリックカーレースに参戦していたマシンであり、Kさん自身もサーキット走行を楽しんでいる。

レンガ調の壁には愛車たちが新車だった時代のホーローの看板などのオートモビリアがディスプレイされ、ヨーロッパの田舎町に佇んだガレージのような雰囲気を背に、1958年式「750レコルトモンツァ・ビアルベーロ」と「595エッセエッセ」、2台のアバルトが並ぶ。

予備パーツのディスプレイされた棚を眺めながら、シャッターから今度は右手に足を踏み入れると、扉の向こう側にはさらに希少なアバルト「750ゴッチア・ヴィニャーレ」とディーノ「246」が収容されている。その後ろには愛車たちのヒストリーを語る資料や、Kさんが愛車たちと出場したイベントのトロフィーなど思い出のアイテムが並んでいる。

そしてゲストルームへと続くリビングに設置されたテーブルから、愛車たちを眺めながら、書籍や資料を読むなどして過ごしているのだそうだ。

この地域は冬季、かなりの積雪量になるというが、雪に埋もれた期間も愛車との時間を楽しめるのが、Kさん流のガレージライフなのだった。

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数々の貴重なヒストリックカーたちの隠れ処となっているKさんのガレージ。このなかから、アバルト系の名車たちをAMWで引き続き紹介していく予定だ。

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