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軽自動車のリフトアップの注意点とは? 方法やコスト、メリットデメリットを徹底解説します

シャコアゲのイメージ

車高が上がるだけで印象がガラッと変わる

今大人気のカスタム「アゲ」系をあらためて解説

以前は足まわりのカスタムといえばローダウン、つまり車高を下げることがスタンダードだった。しかし近年では逆に「アゲ」系の車両も増えている。その手段やメリットとデメリットを、軽自動車に絞ってあらためて解説してみよう。

リフトアップのメリット&デメリット

【リフトアップのメリット】

アウトドアの流行はクルマ業界にも波及しており、その顕著な例が「アゲ」と呼ばれるリフトアップだ。昔は本格的なクロカンを楽しむユーザーが大半だったが、昨今はドレスアップのひとつとして定着した感がある。実用性におけるメリットは悪路の走破性が上がり、アイポイントも高くなって視界を広く確保できること。またフェンダーに余裕ができるため大径タイヤを履きやすく、上がった車高との相乗効果でクルマが大きく見える効果もある。

【リフトアップのデメリット】

いっぽうデメリットも存在する。車高の上げ幅が大きいほど当然ながら乗降性は悪化。リフトアップのセットメニューといえるインチアップにより加速も悪くなり、アクセルを踏む量が増え燃費も落ちてしまう。もうひとつは風の影響を強く受けやすくなること。横風やフロア下に入った風により、直進安定性が顕著に悪化するのだ。とくに軽自動車はボディが軽量なせいで、普通車のリフトアップより風の影響を受けやすいといっていい。

リフトアップする方法とは

【スプリングだけでリフトアップ】

続いて具体的なリフトアップの手段を。もっとも手軽かつ費用を抑えられるのは、リフトアップ用のスプリングを使う方法だ。長めに設計されており純正ダンパーとの相性もよく、上げ幅は30mm前後となっている。車種によってはブレーキホースを延長する必要があったり、調整式ラテラルロッドを推奨される場合があるものの、それらを含めてもコストパフォーマンスは高い。

【車高調でリフトアップ】

また、ローダウンと同じく車高調を使う手もある。最大のメリットは車高や減衰力(調整式であれば)を好みにセッティングできることで、ダンパーと合わせて開発されており乗り心地や走行性能でも一日の長があるだろう。

【ボディブロックでリフトアップ】

スズキ「ジムニー」のようにラダーフレーム構造のクルマであれば、フレームとボディの間に専用のブロックを挟んで上げることも可能。ただし、手間とコストはスプリングや車高調よりもかかるため、通常のリフトアップ量では満足できない中~上級者のメニューと考えていい。

リフトアップにかかる費用は?

【リフトアップ例1:スプリングのみ】

次は誰もが気になるであろう、リフトアップの費用について。まずはスプリングだけを使う方法から算出してみたい。車種や選ぶメーカーによって大なり小なり差はあるが、スプリングにブレーキホース、調整式ラテラルロッドでパーツ代と工賃を合わせて10万円以下。またキャンバー角がポジティブになるときは、補正用のボルトも使ったほうがいい。

【リフトアップ例2:調整式ラテラルロッドや専用ダンパーを使う場合】

より本格的なリフトアップではどうか。上記のスプリングとブレーキホース、調整式ラテラルロッドに加えて、ダンパーも専用のロングタイプが必要だ。さらにボディブロックでリフト量を増やし、アライメント補正のためアーム類も交換する。費用はすべてのパーツ代と工賃で40~50万円とそれなりに大きいけれど、上げ幅は4~5インチとなりスプリングだけに比べて見た目のインパクトも絶大だ。

リフトアップする際の注意点

【軽自動車の車高に関する規格】

最後はリフトアップするとき注意すべきことについて。軽自動車の全高は2000mmまでという規格があり、それを超えると普通車として扱われてしまうのだ。オーバーフェンダーを装着して車幅まで広げたり、エンジンの排気量を上げるようなケースは別として、全高だけで普通車になるのはメリットが少ない。また「直前直左」の視界確保もリフトアップ車の車検では重要だ。

【上げ幅によっては車検がNG】

加えてノーマルの状態から40mm以上リフトアップすると、通常の車検にはパスできなくなるので気を付けよう。もちろん構造変更の手続きをすれば公道で堂々と乗ることは可能だが、その場合も上で書いたように全高が2000mmを超えていれば、軽自動車ではなく普通車で登録する必要がある。

ちなみに構造変更は軽微な改造が対象である「記載変更」と異なり、車検の残り期間を切り捨てて取り直すカタチになる。本格的にリフトアップするなら時期も慎重に検討したほうがいい。

【視点が高くなって感覚が変わる】

慣れてしまえばプラスに働くかもしれないが、視界の変化に戸惑い運転しにくいと感じることも。2インチ程度であれば極端な違いはないと思われるが、地面との距離感が掴みにくくなる可能性もある。歩行者が近くにいるときや狭い場所で駐車するときは、今まで以上にシッカリ安全確認することを忘れずに。

【風の抵抗を受けやすくなる】

デメリットの項でも書いたとおり、風の影響は顕著に大きくなる。とくに高速走行中の横風では車体が大きくふらつくので、スピードを落とし細心の注意を払って運転すべし。また向かい風では加速力が極端に悪くなることも。

* * *

以上のように軽自動車のリフトアップは多少のデメリットや注意点こそあれど、それをはるかに凌駕する魅力があるカスタムメニューだ。ルックスとコストパフォーマンス重視で手軽に済ませるのもよし、本格的なオフロード走行や公認車検を見据えて40mm以上を狙うもよし。いずれにせよ公道を走行するための規制や車両感覚の変化をシッカリ理解していれば、リフトアップは軽自動車による遊びの幅を大きく広げてくれること間違いなしだ。

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