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ポルシェ「911」より早かった! BMW「マルニターボ」は世界初のターボ搭載市販車でした【スーパーカー列伝13】

2021年1月のRMサザビーズ「ARIZONA」オークションで16万8000ドル(邦貨換算約1740万円)で落札された1974年式BMW 2002ターボ

カッコよくて高性能なら「スーパーカー」と見なされた?

1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を振り返るとともに、今もし買うならいくらなのか? 最近のオークション相場をチェック。今回はいわゆるスーパーカーではないものの、70年代の子どもたちから熱狂的な人気を集めたBMW「2002ターボ」、通称「マルニターボ」です。

箱型の乗用車だったがスーパーカーブーム期にアイドル扱い

いま思うと不思議な話だが、スーパーカーブーム全盛時は「スーパーカーというクルマ」の定義が曖昧だった。ウェッジシェイプではないクルマのほか、F1マシンやシルエットフォーミュラまでもがもてはやされた。

オイルショックの影響でいったん下火となったモータースポーツが1970年代中盤にかけて再興し、そのことをきっかけとして漫画『サーキットの狼』が誕生。「狼人気」によってスーパーカーブームが巻き起こったので、興隆のルーツがモータースポーツにあったと解釈され、F1マシンやシルエットフォーミュラが注目されたのは当然の流れだったが、ウェッジシェイプではないクルマたちまで脚光を浴びた理由は謎だった。

いまだにその理由はよく分かっていないが、往時は、あるクルマを見て、子どもたちが「カッコイイ!」と思い、それが高性能車であればスーパーカーとして語られた……といった感じだったので、いかにも乗用車然としたBMW「2002ターボ」もアイドルとして扱われた。

世界初のターボチャージャー搭載市販車として1973年デビュー

1968年に発表された「2002」シリーズは、いまでも「マルニ」の愛称で親しまれている。軽量かつコンパクトなボディにパワフルなエンジンを搭載している点が魅力だ。参考までに2002ターボが登場するまでの話をすると、1990cc直4 SHOCエンジンに1基のソレックス製キャブレターを装備していた2002(素のグレード)、ツインキャブレター仕様の2002ti、クーゲルフィッシャー製メカニカルフューエルインジェクションを採用し1971年に登場した2002tiiというグレードが存在した。

インジェクションシステムの採用により、パワーとトルクを一段とアップすることが可能となったが、この進化がターボモデルの誕生へとつながっていった。最強のマルニこと2002ターボがデビューしたのは1973年のことで、航空機エンジンの分野でターボチャージャーに関するノウハウを有していたBMWが、その技術を世界で初めて量産車に転用したのだ。

圧縮比を低めた2002tii用の水冷直列4気筒SOHCエンジンにメカニカルフューエルインジェクションとKKK製ターボチャージャーを組み合わせることで2002ターボは170psという最高出力を発生。シチュエーションを問うことなく、圧倒的な速さを披露できた。増加したパワーに対処するため、前後トレッドやラジエター容量の拡大、オイルクーラーの装備、ギア比のクロスレシオ化およびファイナルの変更、足まわりやブレーキの強化などが実施されていた。

最高速度211km/h、0-400m加速15.3秒という、2Lクラスのサルーンとしては世界最高峰に位置するポテンシャルの高さを誇り、そのようなスペックを有していたことから、スーパーカーブーム全盛時に子どもたちから大いに注目されたわけである。

オバフェンやストライプも子どもたちの琴線に触れた

さらに2002ターボは、いぶし銀的な存在ではあったが、見た目もカッコよかった。エクステリアもそれまでの2002シリーズとは一線を画しており、迫力あるオーバーフェンダーやエアダムスカートなどを装備。前を走るクルマのバックミラーに見えるように、あえて鏡文字(逆さ文字)で描かれた「turbo」の文字も2002ターボを語るうえで忘れることができないディテールのひとつだ。オーバーフェンダーは本来リベット留めされていたが、日本では当時の運輸省の認可が下りずにディーラー車はパテ埋めされていた。

圧倒的な動力性能を有し、1672台しか生産されなかった2002ターボは、BMWのワークスマシン等でもお馴染みの3色で構成されたストライプも外観上の特徴としていた。これも見る者に高性能車であることをすぐさまイメージさせるディテールのひとつだったといっていい。往時の子どもたちも、そのストライプを見て「ベンベのターボ、カッチョイイじゃん」と思ったのであった。

子どもたちのアイドル、いまはオジサンたちのヒーロー

いまでも数多くのファンを獲得している人気車なので、2002ターボも高値で流通しており、少し情報が古いが去る2021年1月にアメリカでRMサザビーズが開催した「ARIZONA」オークションでは1974年式BMW 2002ターボが16万8000ドル(当時のレートで邦貨換算約1740万円)で落札された。

かつて子どもたちのアイドルだった2002ターボは、いまやオジサンたちのヒーローになっているので、このぐらいのプライスで販売されていても全く不思議ではないといえるだろう。

■スーパーカー列伝の過去記事はこちら

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