サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

HKSの「アバルト595」最新チューニング速報! 発売間近の「VIITSサスペンションR」の仕上がりはいかに【デモカー試乗】

HKSのアバルト595デモカー、ベース車両は2021年式コンペティツィオーネ

HKSが提案するアバルト595の本格チューンはまだ始まったばかり

アフターパーツメーカーやスペシャルショップが、自慢のアイテムや技術を惜しみなく投入しているのが「デモカー」。それぞれどんなコダワリを投入しているのか、そして実際のところ、純正スペックと比べて何がどう変わっているのか? 今回お届けするのは、HKSが久しぶりに本格的に取り組む輸入車としてターゲットにした「アバルト595」。ハイパワーなターボエンジンが奏でるサウンドと強烈な走りは、チューニングカーとしての魅力に満ちていて、それを高めるパーツも続々と開発中です。チューニングライター加茂 新が試乗してレポートします。

良い意味でクラシカルなアバルト595はチューニングが楽しい

映画『ルパン三世 カリオストロの城』でも知られる「フィアット500」の現代版をベースにしたホットモデルがアバルト595だ。1.4L+ターボエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTと5速MTAをラインナップする。

アバルト595のトップグレード「コンペティツィオーネ」では180ps/23.5kgmを発揮。これはほぼ同じ排気量+ターボエンジンを積むスズキ「スイフトスポーツ」の140ps/23.4kgmと比較すると、圧倒的にパワーがあるということになる。

とくに中高回転で伸びていくパワーは、明らかにアバルト595に軍配が上がる。それほどのパワーがありながら、さらにチューニングする余地があるのが魅力なのだ。ベースのフィアット500が2007年デビューということもあり、良い意味でクラシカルな作りのクルマ。電子制御も使われているが、すべてを支配しているわけではないので対策の余地も残されている。

VIITSブランドのアバルト用パーツは第2段階へ

そこでチューニングパーツの開発に乗り出したのがHKSだ。現在のデモカーはマフラーとサスペンションを装着しているが、いずれも開発が進められ、第2段階と言えるモデル。

マフラーはこれまでの2本テール/4本出しエンドを元に、2本テール/2本出しエンドモデルを開発中。サスペンションはこれまでのストリート&ワインディング向けのVIITSサスペンションに加えて、サーキットまでをターゲットにするVIITSサスペンションRを開発した。

「東京オートサロン2023でも開発中であることを発表しましたが、この後はインタークーラーキットやオイルクーラー、その他にもパワー系パーツなども開発を進めています。やるからには徹底的に! という会社なので、エンジン内部パーツまでやっちゃう? なんて盛り上がっているほどです。そこまでリリースされるかはわかりませんが、インタークーラーやオイルクーラーなどは開発してリリースを目指しています」

とVIITS開発担当の赤塚達也さんは語ってくれた。

デモカーでは開発中のVIITSサスペンションRと2本出しVIITSマフラーを装着。合わせてHKSのブーストコントローラーを装着することで、7psほど上乗せされてパンチ力をアップしている。

他にはエンドレスのブレーキキャリパーを採用し、フロントはMONO4ラリー、リアは試作のローターインチアップキットで、ビッグローター化されている。タイヤは205/40R17サイズのヨコハマADVAN A052だ。

さらにリアトランクルームには開発中のカーボンパイプを使ったボディ補強パーツをテスト装着中。カーボンのしなやかさにより、振動が減りつつ剛性感をアップできるという。シートはBRIDEのedirbシリーズで、運転席はフルバケットの0A1、助手席はセミバケットの171をチョイスしている。

VIITSサスペンション「R」はサーキットを主眼に開発

今回のアバルト595デモカーは、ほぼ開発が終わったというVIITSサスペンションRが装着されていたのが注目ポイント。もともとラインナップしているVIITSサスペンションは街乗りで快適に、ワインディングで楽しく気持ちよく走れることがメインコンセプトで、ミニサーキットレベルなら十分に楽しめるが、本格的なサーキット走行となるとやや挙動が大きくなる傾向があった。

そこでVIITSサスペンションRではサーキットに主眼を置き、ワインディングも楽しめるようにセッティング。そのためバネレートはVIITSサスペンションのフロント5kg/mm・リア5kg/mmに対して、VIITSサスペンションRではフロント16kg/mm・リア9.5kg/mmのスプリングを採用し、バネレートが大幅に引き上げられた。

それに合わせて減衰力ももちろん変更。大きな違いはアッパーマウントにもある。これまでのモデルはキャンバー調整可能なピロアッパーマウントだったが、VITTSサスペンションRではさらにキャスター調整機構も追加した2WAYピロアッパーマウントを専用開発。ピロボールによる支持でダイレクト感のアップと、アライメント変化を防止する。アライメントについてはフロントのピロアッパーマウントが、キャンバー角だけでなくキャスター角も可変式になっており、より細かい足まわりのセッティングが可能になっている。

ハイスピードレンジになるほど光る安定感!

ワインディングと高速道路で乗ってみると、スポーティなキャラクターが窺える。バネレートが高められているので、それなりの硬さはあるが突き上げ自体は丸くまとめられている。ブレーキング時はノーズダイブが少ない。

アバルト595はフロントに重さがあるクルマで、ノーズダイブがとても大きくなりがちだ。それによってリアタイヤが浮き気味になり、電子制御が介入しやすい点もある。そこへフロントのバネレートをアップして支えることで極端な姿勢変化を抑えているのだ。

ステアリングを切り込むと吸い込まれるように曲がる。フロントが高いバネレートでしっかりと反応して、タイヤを路面にコンタクトしていることが伝わってくる。そして、大きくステアリングを切る領域になってもグイグイ曲がってくれるので、安心感が高い。

高速道路の速度域になると乗り心地はしなやかさが出てくる。ある程度速度が高まることでサスペンションへの入力が増え、しなやかにストロークするようになる。

エンジンパワーについてはマフラーの電子制御バルブが、ちょうどタービンが回って過給が始まる回転数とシンクロしてある。低回転ではレコードモンツァと呼ばれるマフラーよりも静かながら、3000rpmから音がレーシーになるのと同時にパワーが炸裂する。このシンクロ感がなんとも快感なのだ。

現時点でもかなり刺激的に仕上げられているが、これから登場するパーツによってさらに刺激は高められるハズ。今後よりパワー系チューンが進むとどうなるのか、ぜひまた乗ってみたいと思わせる仕上がりだ。

■「デモカー試乗」連載記事一覧はこちら

モバイルバージョンを終了