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【車検無視!】走れるショーカーとしての割り切りが大胆カスタムを可能に! 3年かけた日産「マーチ」のリアセクションは芸術級でした

車検を取らず、ショーカーとして割り切って製作されたマーチ

公道は走らないショーカーとして製作

スーパーカー世代、あるいは、『よろしくメカドック』世代が夢見るマシンを想像して作ったという、ワイドボディのK12「マーチ」。横浜ホットロッドカスタムショーでも目立っていた、まるでポルシェ「911ターボ」級のルックスを持つマシンの製作者は、福島県いわき市のプライベートカスタムビルダー吉田ミツヒロさん、オーナーは鈴木ユウキさんだ。最初はボディリメイクを中心に、この世に1台だけのマシンとして製作をスタート。だが、次第にカスタムが進み、このままでは車検に通らないところまで到達。ならば、トコトン遊び尽くそうと割り切って、走れるショーカーに切り替えて、規格外の突き抜けたカスタムに挑んだ。

ホイールありきで作ったワイドボディ

強烈なインパクトを放つワイド&ローフォルムのK12マーチ。エクステリアはミネルバというブランドのエアロをベースにワンオフ加工。フェンダーはホイール合わせで製作した片側100mmワイド化を実現。

ボディのカスタムのアプローチが面白い。ブリスターフェンダー仕様のVIPカーに履かせるクレンツェ・ヴィシュヌ(F:9.5J×18-27/R:11J×18-36)をマーチに履かせたら、きっと面白いスタイルになると考えた。そして、ボディはこの超マイナスオフセットの18インチホイールを履かせるべく、ノリと勢いから改造を進めていくことになる。

車検の事を考えなければ、自由な改造を楽しめる。そんなショーカーとしての作り込みは凄かった。製作するにあたってビルダーの吉田さんは、オーナーである鈴木さんと話し合って方向性を決めた。それは、鈴木さんが生粋のドリフターだったこともあり、その要素を加えたマシンにすること。ドリ車と無縁のマーチがドリフトしていたら面白い。そんなノリで他にもやりたいことをどんどん挙げていった。

まず最初に検証したのが、現状のままシャコタン、鬼キャンにしてちゃんと走れるかを検証。その結論は、マーチのサスペンションではどうにもならない事が判明したので、リアセクションはサスペンションのマウント位置、構造を含めてほぼ作り変えることになった。

その構造はパイプフレームを通して、そこにサスペンションをマウントさせるという大胆な方法。モノコックを切断してクロモリ製のパイプフレームを作ってアングルを組み、そこにサスペンション取り付け位置を確保。構造はインボード式マルチリンクで、タイヤ&ホイールの位置決めをし、それに合わせてアーム類も製作した。こうして、鬼キャン、シャコタンスタイルを大前提として作り込んでいったという。

また、各パーツはすべて調整式で、走り方やスタイルに応じてアライメントのフル調整が出来るように加工も加えてある。ダンパーはバイク用別タンクサスを2本使っているのが、見た目的にもインパクトがあってユニーク。一見、プッシュロッド式かと思うが、構造はマルチリンク式ということだった。ジオメトリーのことまで考えた完全オリジナルレイアウトで乗り心地も良いそうだ。

あくまでも「魅せる」仕様にカスタム

リアハッチを開けると目に飛び込んでくるサスペンションも凄いが、その奥の運転席の作りも凄まじい。ロールケージを張りめぐらせる室内にセットしたアルミ製の見慣れないステアリングとシートは、日本では誰も装着していないだろうという理由から、インパクト重視で海外から取り寄せたメタルモデルを選択。これがコクピットをさらにスパルタンな印象に演出してくれている。

また、ドリ車というテーマなので、定番のリアラジエターに加えて油圧サイドブレーキも導入。助手席側には、カスタムペイントを施した38L安全タンクとロベルタカップ用のコンプレッサーを配置。配管も美しくレイアウトしている。

操作系のスイッチ類も自作でカッコ良くリメイク。センターパネルにイグニッションスイッチを移設、シフトノブはシーケンシャル風のゲートタイプに改造を加えた。

まさに突き抜けた魔改造を施したK12マーチ。吉田さんと鈴木さんは、この姿になるまで丸3年を費やして完成させたという。見た目はこれで完成、サスペンションについても苦労したかいあって満足なレベルということ。よって次なるプランはパワーユニットの問題だ。

非力なエンジンをどうするか? 現在、吉田さんのガレージ内にEFシビック用のB16エンジンが置いてあるので、これをターボ仕様にチューニング。ワイドボディでありながらもキビキビとよく走るカッ飛び仕様を作ろうかと検討中だ。

吉田さん、鈴木さん、このふたりの改造物語はまだまだ続く。これまでの道のりをこうして書き連ねるだけでも、我々が夢中で読んだ『よろしくメカドック』を含めた漫画の世界そのままだ。今後の仕上がりに期待したい。

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