公道は走らないショーカーとして製作
スーパーカー世代、あるいは、『よろしくメカドック』世代が夢見るマシンを想像して作ったという、ワイドボディのK12「マーチ」。横浜ホットロッドカスタムショーでも目立っていた、まるでポルシェ「911ターボ」級のルックスを持つマシンの製作者は、福島県いわき市のプライベートカスタムビルダー吉田ミツヒロさん、オーナーは鈴木ユウキさんだ。最初はボディリメイクを中心に、この世に1台だけのマシンとして製作をスタート。だが、次第にカスタムが進み、このままでは車検に通らないところまで到達。ならば、トコトン遊び尽くそうと割り切って、走れるショーカーに切り替えて、規格外の突き抜けたカスタムに挑んだ。
ホイールありきで作ったワイドボディ
強烈なインパクトを放つワイド&ローフォルムのK12マーチ。エクステリアはミネルバというブランドのエアロをベースにワンオフ加工。フェンダーはホイール合わせで製作した片側100mmワイド化を実現。
ボディのカスタムのアプローチが面白い。ブリスターフェンダー仕様のVIPカーに履かせるクレンツェ・ヴィシュヌ(F:9.5J×18-27/R:11J×18-36)をマーチに履かせたら、きっと面白いスタイルになると考えた。そして、ボディはこの超マイナスオフセットの18インチホイールを履かせるべく、ノリと勢いから改造を進めていくことになる。
車検の事を考えなければ、自由な改造を楽しめる。そんなショーカーとしての作り込みは凄かった。製作するにあたってビルダーの吉田さんは、オーナーである鈴木さんと話し合って方向性を決めた。それは、鈴木さんが生粋のドリフターだったこともあり、その要素を加えたマシンにすること。ドリ車と無縁のマーチがドリフトしていたら面白い。そんなノリで他にもやりたいことをどんどん挙げていった。
まず最初に検証したのが、現状のままシャコタン、鬼キャンにしてちゃんと走れるかを検証。その結論は、マーチのサスペンションではどうにもならない事が判明したので、リアセクションはサスペンションのマウント位置、構造を含めてほぼ作り変えることになった。
その構造はパイプフレームを通して、そこにサスペンションをマウントさせるという大胆な方法。モノコックを切断してクロモリ製のパイプフレームを作ってアングルを組み、そこにサスペンション取り付け位置を確保。構造はインボード式マルチリンクで、タイヤ&ホイールの位置決めをし、それに合わせてアーム類も製作した。こうして、鬼キャン、シャコタンスタイルを大前提として作り込んでいったという。
また、各パーツはすべて調整式で、走り方やスタイルに応じてアライメントのフル調整が出来るように加工も加えてある。ダンパーはバイク用別タンクサスを2本使っているのが、見た目的にもインパクトがあってユニーク。一見、プッシュロッド式かと思うが、構造はマルチリンク式ということだった。ジオメトリーのことまで考えた完全オリジナルレイアウトで乗り心地も良いそうだ。