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マイチェンしたランボルギーニ「ウルス」乗り比べ! オススメ「S」か「ペルフォルマンテ」かジャッジします

マイナーチェンジしたウルスの「スタンダード仕様」となるS

上を目指すならペルフォルマンテを選びたい

ランボルギーニの大黒柱となる「ウルス」が2017年の登場以来初のマイナーチェンジ。スタンダードなウルスSに加え、オンロードに特化した高性能なペルフォルマンテをラインナップしている。ランボルギーニ創立60周年を記念したイベントの一つ「GIROジャパン」で2台に試乗、その違いをリポートする。

オンロードに特化したペルフォルマンテを追加

ポルシェが「カイエン」(のちに「マカン」も加わる)で生み出した高級SUVのビジネスモデルは今やグループ(VWアウディ)のみならず、他のメーカーにも波及している。アストンマーティンやフェラーリ、マセラティ、ジャガー、成功したかどうかは別にして多くのブランドが「真似をした」。

SUVで得た利益(SUVの収益性は高い)をもとに投資を増やし、ブランドアイコンであるスポーツカー(ポルシェでいえば「911」)の開発を進め、イメージを高めてまたSUVで儲ける。SUVカテゴリーが世界の主要な乗用車マーケットにおいて主流になっていることが背景にあるといっていい。

ランボルギーニもそうだ。2017年にウルスを市場へと投入して以来、サンタアガタの躍進には目を見張る。会社規模が全ての面(組織・生産・売上など)で倍増した。ウルス人気も止まるところを知らず。今やビジネスの大黒柱というべきウルスがデビュー以来初となるマイナーチェンジを受けたのは2022年夏のことだった。

モントレーカーウィークにおいて披露されたウルスのマイナーチェンジ版。スタンダード仕様というべきウルスの後継モデルがウルスSであり、新たに高性能版としてウルス ペルフォルマンテを設定したことがニュースだった。ペルフォルマンテというサブネームはファンにはお馴染みだ。「ガヤルドスパイダー」や「ウラカン」といったV10スーパーカーの高性能版として過去に存在した。

マイチェンのポイントはフェイスリフトに加えて、いずれのグレードとも4L V8ツインターボの最高出力が650psから666psへと向上したことだ。なかでもペルフォルマンテは47kgの軽量化も手伝って、パワーウェイトレシオ3.2を実現する。

ペルフォルマンテはオンロードに特化したモデルだ。STO由来のエアロデバイスの追加やワイドトレッド化、新サスペンションシステム(固定スプリングと電子制御ダンパーにより車高20mmダウン)に専用ピレリPゼロタイヤの装着などにより、スタンダードモデルを大幅に上回るオンロード性能を手に入れた。ドライブモード「タンブーロ」もまた専用品で、コンフォート・スポルト・コルサに加えて新たにラリーを設定した。ウルスSには従来通り、6つのタンブーロモードが用意される。組み合わされるトランスミッションは従来同様、いずれも8AT。

ペルフォルマンテとSの最大の違いはアシの差

今年はランボルギーニの創立60周年という節目の年で、世界中でさまざまなイベントが企画されているが、その第1弾というべき祝祭がまずは日本で開催された。鈴鹿に集まって京都と奈良をドライブツアーで巡る「GIROジャパン」だ。そこで新型ウルスSと同ペルフォルマンテを同時に試すことができたので、まずはその違いを中心にリポートしよう。

ペルフォルマンテとS、最大の違いはやはりアシの差に起因するものだった。結論から言うと、Sは従来モデルとさほど変わらないと思っていい。モード次第では扱いやすいラグジュアリーGTとなって、街中から長距離ドライブまでオールマイティにこなす。

対するペルフォルマンテの乗り味は(当然ながら)Sよりスポーティでスパルタンだ。前アシはかなりニンブル、よく動く(感覚がある)。フロントセクションをSよりひと回り小さく感じるほど。とくに一般道でのラリーモードが面白い。コルサやスポルトに比べて乗り心地がよく、それでいて足さばきは機敏だ。砂利道を気にせず走ってみたいもの。

両グレードとも、正直にいって、加速パフォーマンスそのものは前期モデルとさほど違わない。最大トルクは以前と同じ850Nmで、最高出力が上がったと言っても650psからわずかに16psアップしただけ。車重2tを超えるスーパーSUVにとってそれは誤差だ。

よく売れた人気モデルだけあって全体としての完成度は2017年当時よりかなり上がっている。とくに街乗りでのライドクオリティは確実に向上していると思う。車体全体の動きもまた随分となめらかになっていた。

毎日乗れるランボルギーニ。それがウルスの魅力だ。そう考えると、前輪が忙しく動くペルフォルマンテよりSの方が当然ながら乗りやすく実用性は高い。とくに良かったのが高速クルージング。無敵のグラントゥーリズモだ。姉妹車の「カイエンターボGT」や「ベンテイガV8」がそうであったように、ウルスSもまたドライバーをしっかりと包み込み、道路と車体が粘度のある液体で一体となったかのような安定感ある高速走行をみせる。

踏めばその加速は相変わらずスーパーカー級の爆速。恐怖感を覚えるほど、とてもスリリング。とはいえそんなことは一度か二度試せば十分というもので、普段は快適安楽なGTとして使った方がいろんな意味(免許証の行方など)でいいだろう。そういう意味でもウルスSの方がオススメ、だけど、ランボマニアはきっと「上」を目指さなければ気が済まないことだろう!

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