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プアマンズ・フェラーリじゃない! こどもが夢中になったアルファ ロメオ「モントリオール」のギミックとは?

2020年10月のRMサザビーズオークションで10万6400ドル(約1110万円)で落札された1971年式アルファ ロメオ モントリオール(C)Courtesy of RM Sotheby's

ティーポ33用のV8ユニットをフロント搭載したエキゾチックカー

1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を回顧するとともに、今もし買うならいくらなのか? 最近のオークション相場をチェック。今回はアルファ ロメオが1970年に発売した「モントリオール」です。

ガンディーニが線をひいたコンセプトカーを量産化

1910年にイタリアのミラノで設立されたアルファ ロメオは、間違いなく名門ブランドのひとつだ。スポーツカーメーカーとしての印象が強いが、アルファ ロメオも1970年にエキゾチックカーの「モントリオール」をリリース。エクステリアがどことなくランボルギーニ「ミウラ」に通じるようなスタイルだったこともあり、フロントにV型8気筒エンジンを搭載し、220km/hというトップスピードを誇ったモントリオールも、スーパーカーブーム全盛時に子どもたちから注目された。

ブーム全盛時におけるスーパーカーの「三種の神器」といえば、リトラクタブルヘッドライト、ウェッジシェイプ、ミッドシップレイアウトと相場が決まっていたが、モントリオールはひとつも該当していなかった。では、なぜモントリオールも子どもたちの間でスーパーカーの仲間として語られたのかというと、元ネタとなったコンセプトカーのデザインを手がけたのがマルチェロ・ガンディーニだったからだ。

元ネタとは、カナダのモントリオールで1967年に開催された万国博覧会のイタリア館に展示されたスタイリッシュな「ベルトーネ製モントリオール」のことで、この時代のアルファ ロメオ「ジュリア」のシャシーおよびパワーユニットを使ったイタリアンGT路線のコンセプトカーであった。

個性的すぎるヘッドライトが少年たちのハートを鷲づかみ

ジュリア系の4気筒ツインカムエンジンを積んだまま登場していたら、エキゾチックなスーパーカーではなくジュリアシリーズの親玉のような立ち位置になっていたのかもしれないが、まだまだ元気いっぱいだったアルファ ロメオはモントリオールのフロントにレーシングスポーツとして名を馳せた「ティーポ33」用のV型8気筒エンジンを工夫して押し込み、ワンランク上の走りを実現。最高出力200psというハイパワーを活かし、ジュリアよりもハイスピードクルージングを楽しみやすかったこともあり、最も安価なイタリアンエキゾチックカーとして一定数のファンを獲得した。

レーシングカーに端を発するV8エンジンを積んでいた点も子どもたちを熱くさせたが、それ以上にキッズたちが「スゲェ~」と思ったのは、独自の機構を持つヘッドライトまわりであった。前照灯こそ固定式だったが、可動式の日除けのようなモノがあり、これがウイ~ンと動いてヘッドライトの下側に格納されたのだ。日除けが無くなるとボンネットに切り欠きが現れ、フロントマスクの表情が変わったので、子どもたちはガンディーニが考えたデザインを実現するために用意されたギミックにビックリしたのであった。

オークションでの落札価格は1110万円

1977年までに3925台がラインオフしたといわれているモントリオールは、「33ストラダーレ」というスーパースターと比較されてしまったこともあり、いまも昔もややマニアックなクルマという位置づけに甘んじているが、少数だが熱心なファンを獲得している。

去る2020年10月アメリカでRMサザビーズが開催した「THE ELKHART COLLECTION」オークションでは、1971年式アルファ ロメオ モントリオールが10万6400ドル(当時レートで邦貨換算約1110万円)で落札されている。

かつてアルファ ロメオの最高価格車であったにもかかわらず、フィアット「X1/9」と同様に「プアマンズ・フェラーリ」的な存在として扱われてしまったモントリオールも、今後再評価されてほしい不遇のスーパーカーだ。

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