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かつてエンジンルームには神が宿っていた! いま見てもホレボレする珠玉のエンジン5選を紹介します

BMW M3(E36)

凝ったヘッドカバーは見る楽しさを与えてくれた

ひと昔前は、クルマ好きが集ると「エンジンルームを見せてもらえますか」といって、ボンネットを開けてエンジンを眺めながら、「ああでもない、こうでもない」とクルマ談義に花が咲いたものだが、いまのクルマはボンネットを開けても大きな樹脂製のエンジンカバーが見えるだけで、色気もへったくりもありゃしない……。クルマ好きを魅了してやまないエンジンの美しさは、気筒数と配列、造形、エキマニ、インマニなどの補機類、スロットルなどいろいろな要素で決まるが、一番表情があるのはカムカバー(ヘッドカバー、タペットカバー)。メーカーも気合いの入っているエンジンには、凝ったデザインのヘッドカバーを装着していた。今回は、そうしたカッコいいヘッドカバーを装着していたクルマを何台かピックアップしてみよう。

日産スカイラインGT-R

まずは日産を代表する強心臓、第2世代GT-Rの「RB26DETT」。グループAレースを制するために設計された特別なストレート6で、チューニングをすれば1000馬力オーバーも可能なタフなエンジンだった。R32とR33のカムカバーは、アルミの鋳造製のブラック仕上げ。R34になると樹脂製になり、限定車の「M-spec Nür」と「V-spec II Nür」には、ゴールドシリンダーヘッドカバーを採用していた。美しさは樹脂のゴールドかもしれないが、重厚感のある黒のアルミ鋳造タイプも捨てがたい。

M2 1001/M2 1028

マツダ直系の子会社、M2が1991年に発売した「M2 1001」は正統派チューニングのロールモデルになった重要な1台だが、そのM2 1001のカムカバーは、バフがけされてピカピカになった逸品だった。「ファミリア」から流用されたB6エンジンが、カムカバーをバフがけするだけであれだけカッコよくなるなんて、まさに目から鱗。センスの良さに脱帽した。その後に登場した「M2 1028」のカムカバーは、黒の結晶塗装でこれまた秀逸だった。

カムカバーをどう処理するかで、エンジンルームがいかに変わるかを教えてくれたクルマとして、このM2の2台が果たした役割は非常に大きい。

付け加えておくと、現行のND型「ロードスター」のエンジンのカムカバーもじつはアルミ合金製。同じ「SKYACTIV-G」エンジンを搭載する「アクセラ」や「デミオ」は樹脂製だったのに、NDでは、あえてカムカバーをアルミ合金製にしたところに、マツダの心意気を感じられる。

ホンダS2000

「エンジンのホンダ」といわれただけあって、ホンダはカムカバーデザインの重要性も理解していたメーカーのひとつ。1984年に「ワンダーシビック」と「CR-X」に搭載されたエンジン、15年ぶりのDOHCユニット「ZC」などは、ホンダのF1マシン「スピリット・ホンダ 201C」に載せられたRA-163E型エンジンのヘッドカバーを連想させるデザインだった。のちにタイプRシリーズに搭載された、赤い塗装のカムカバーも高性能ぶりをアピールするような力強いエンジンをアピールしていた。

なかでも「S2000」のF20Cのカムカバーは、シンプルで存在感があり、ボンネットを開けたとき、縦置きレイアウトだったこともカッコ良さを引き立てていた。

トヨタ スープラ(A80)

トヨタ車だと、「80スープラ」のブルーのカバーが記憶に残っている。厳密にいうとタイミングベルトカバーというか、プラグカバーがブルーで、肝心のカムシャフトの上はオーソドックスな色のカバーだったが、エンジン全体のイメージとしては、洗練されたイメージを作り上げることに成功していた。

BMW M3

輸入車でいえば、まずBMW「M3」(E36)のS50B30。M3はJTC(グループA)のディビジョン2の最強のクルマで、クラス44連勝の大記録を持っている。そのM3のエンジン、S50B30はBMW伝統の直列6気筒エンジンで、カムカバーには「BMW M Power」のロゴが太く、大きく描かれていてカッコよかった(最後のシルキー6、E46のS54B32エンジンになると「M」のロゴだけでスッキリしすぎた)。

他にはテスタロッサなども

フェラーリだと、イタリア語で「赤い頭」を意味する「テスタロッサ」の名前の通り、カムカバーが赤く塗られたテスタロッサを挙げておく。180度V12気筒なので、エンジンルームを覗いても、カムカバーが見やすいとはいえないが……。その他、TSレースで活躍したB110型日産「サニー」の「TOMEI」(東名自動車)のヘッドカバーなども別格な存在。

やっぱりカムカバーは、樹脂ではなくアルミ製で、少々ゴツい感じのものが一番だと思う。ハイブリッド車やEVは仕方がないものの、ガソリンエンジンのスポーツカーなら、カムカバーのデザインにも力を入れて、魅せるエンジンルームにもこだわってほしい。

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