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BMW新型「XM」は新たなるドライビングカー! 長距離でわかった23インチを履いても「Mマジック」は健在でした

BMW XM

BMW XMで東京~京都を長距離試乗

時代に合わせてSUVスタイルで登場した、約半世紀ぶりとなるBMW M専用モデルの「XM」。現代の「ハイパフォーマンススポーツ」を日本のさまざまな道で試乗しました。大型SUV界にあって異質なフィール、その乗り心地とは?

M専用モデルがSUVである必然

キドニーグリル、XMに極まり! と思っていたらキドニーそのものがフェイスになったBEVの「ノイエクラッセ」まで登場するに及んで、なるほど一連のデカバナデザインは周到な準備だったかと今にして思う。

それはともかく、BMW M社の幹部によればXMの主なターゲット市場はアメリカと中国で、この2つで目標販売台数の半数を占めるらしい。中東や韓国がそれに続く。日本はその次か、次の次あたりらしい。

だからと言って何も「M1」以来となるM専用モデルをSUVにしなくても……。ドイツプレミアムブランドで高性能スポーツカーを持たない(「M8」はGTだ)M。ライバル(AMGには「GT」がある。アウディスポーツの「R8」はそろそろ終わるけど)たちのような高性能スポーツカーを見たかったのに。

その理由も件の幹部に聞けばじつにそっけない返事だった。「SUVが昔のセダンのように一般的なクルマになったから」。セダンが一般的な乗用車であった70~80年代にはクーペやスポーツカーといった背の低いクルマが憧れの的だった。付け加えて一言。「それにM3 CSLはどうだ? 限定モデルだけど……」。いや、まぁ、そうなんですけどね。

もっともXMも最初からM専用として開発されていたわけではなかった。当初は「X8」として企画されていたもので、超大型高級SUV市場におけるスペシャリティ=クーペモデルのニーズを考えたとき、最上級モデルに人気が集中するのは必定で、だったらハナからM専用として特別感を出し高く売った方がビジネスになるという目算だ。それゆえ、パワートレインは1種類のみ。スペック違いでスタンダードとレッドレーベルの2グレード構成としている。後者はJMSで日本発表されたばかり。

この春にアメリカはアリゾナ州で乗って以来、半年ぶりにXMと対面する。さすがに日本の道路上で見るとでかい。ハナもでかけりゃ図体もでかい。異様なオーラを放っている。注目度が凄まじい。

アリゾナでは最もスポーティな仕様の22インチモデルに試乗し、その算盤を転がしているようなソリッド感あふれる乗り心地に驚いたものだったが、日本のプレスカーはさらにその上の23インチを履いている。アメリカの道では22インチより乗り心地がいいと言われていたのだが、果たして……。

街中ではハードすぎる乗り心地だが……

やっぱりそのライドフィールはかなり硬質だった。街中から首都高くらいまでの速度域では正直、しんどい。優秀なシートのおかげで内臓にまでショックが響くことはなかったけれど、ガツンガツンと硬い乗り味であったことに変わりはない。

大型SUV界にあって異質なフィール。これもまたMの個性というべきか。もっとも、とくに硬質さを感じる速度域は30〜70km/hあたりだったから、それってドイツじゃほとんど無視していい領域だったか、とも思ってもみたり。

いつものように京都を目指す。速度を上げていくとソリッド感はなんとも言えぬフラット感へと変わっていく。巨大な車体であるにもかかわらず、右足の動きに忠実な反応をみせるあたり、さすがM最強のV8プラグインハイブリッドパワートレインを積んでいるだけのことはある。

アクセルペダルを思い切り踏み込むとまずはV8エンジンが盛大な唸りを上げる。サウンドは野太く豪快。それでいてエンジンの働く様子は極め付けに精緻でなめらか。電気モーターの助けもあって切れ目のない力強さにホレボレする。

もっとも、このクルマのスウィートスポット速度域は相当に高く、日本の高速道路では宝のもちぐされだ。否、130km/h制限の多い欧州でもそうだ。これはもうアウトバーンの、数少なくなったとはいえ、速度無制限区間をしょっちゅう使う人のためのプライベート新幹線である。

100~120km/h領域では、やや力を持て余しているように感じる。ゆっくり走りすぎているよ、とクルマがドライバーに訴えているかのよう。それでもアベレージ速度は高く、これまででも5本の指に入るほど京都へは精神的に早く着いた。高速域での乗り心地は上々だ。

京都の街中では相変わらずハード&ソリッドだ。算盤シャシーである。けれども不思議と「乗りたくない」とは思わない。こういう硬さもアリだと思わせる。Mマジックである。

ホームワインディングのドライブウェイも走ってみた。まるでスポーツカーだ。フロントスクリーン越しの景色が揺れることなく盛大な速さで流れ去る。まるで大きな画面でゲームをしている感覚。背の高さによるデメリットはもはやない。視覚の良さがかえってコーナーへの進入を勇気づける。なるほどM専用モデルだけのことはあった。これは全く新しいドライビングカーである。

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