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苛烈を極めるプレミアムSUV戦争のきっかけとなったクルマは? 現在までの高級ブランドの動きをまとめました

トヨタの新型センチュリー

SUVでしのぎを削る自動車業界

今や猫も杓子もSUVというような時代になってきて、スーパーカーメーカーも超高級カーブランドからもSUVが登場しています。そんなSUV全盛の時代の始まりはいったい何だったのか。その端緒と潮流を振り返ってみましょう。

プレミアムSUV市場開花の端緒

続々と魅力的なニューモデルが登場するプレミアムSUVの市場。そもそもこの市場が最初に誕生したのはアメリカで、1997年に販売が開始されたリンカーン「ナビゲーター」や、翌1998年にそのライバル車として投入されたキャデラック「エスカレード」などが、先陣を切ってプレミアムSUVの世界を現実のものとした。

初代エスカレードは、シボレー「タホ」(GMC・ユーコン・デナリ)をベースに簡単な化粧直しをした、やや高級SUVとしての魅力には乏しいモデルだった。しかし、その反省を踏まえてわずか1年後に発表された第2世代のエスカレード以降は、その品質や装備内容、専用設計のエンジンなどの採用で商品性を大幅に高め、アメリカを象徴するプレミアムSUVとして君臨したことは記憶に新しい。

そのような動きを、アメリカを巨大な輸出市場とするヨーロッパのメーカーが見逃すわけはなかった。最初にアクションを起こしたのはポルシェで、ポルシェ自身はプレミアムSUVではなく「新しいスタイルのスポーツカー」とポジショニングした「カイエン」を2002年に発表。それはやはりプレミアムSUVの市場へと進出を狙っていたVWとの両社で開発費用を分担した、きわめて戦略的なモデルでもあった。

もちろんポルシェのエンブレムを掲げるに至っては、オフロード性能に至るまでのパフォーマンスは高く確保される必要があった。じっさいカイエンのセールスはデビューから非常に好調に推移し、ポルシェの経営にも大きな追い風を生み出した。

ポルシェに続いてイギリスメーカーが出揃う

その後もプレミアムSUVの市場には、さまざまなモデルが投入されていった。ポルシェと同じVWグループからは、カイエンと同じ2002年に「トゥアレグ」が。またアウディからは2005年に「Q7」、2019年にはフラッグシップSUVとなる「Q8」といった具合に、である。

そして時間は若干前後するが、2015年にはあのベントレーからも6LのW型12気筒エンジンを搭載する(後にV型8気筒モデルも追加される)「ベンテイガ」が誕生。この時にベントレーが宣言した、「ベントレーはベンテイガによって、プレミアムSUVの世界を再定義する」というコメントは、あるいはその後さらに高級で高性能なモデルが生み出される直接の動機となったのかもしれない。

ではそれに対する各社の回答はどうだったのか。まずは同じイギリスの名門、かねてからオールパーパスの4WD車、そしてもちろんハイエンドのSUVとしての最高評価をわが物にしてきた、ランドローバーの「レンジローバー」はどうか。

レンジローバーは2012年にオールアルミニウムモノコックを採用し、重量を先代モデルから420kgも削減した4代目となる新型を発表済み。堂々とベンテイガのデビューを見守った。さらに2018年になると、ベントレーにとっては直接のライバルともいえるロールスロイスから、まさに別世界ともいえる乗り心地が演出された「カリナン」が誕生。ウェールズのセント・アサンに新設された工場で生産されることが決定した「DBX」で新たな市場開拓を狙うアストンマーティンともども、ついにイギリス・ブランドからプレミアムSUVが出揃うことになったのは嬉しいところだ。

ついにスーパーカーメーカーが参入

イタリアからも続々と魅力的なプレミアムSUVが登場している。2012年に開催された北京モーターショーでのコンセプトカーの発表から5年、2017年に待望の生産型が発表されたのは、ランボルギーニ自身はSSUV(スーパースポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)と呼ぶ「ウルス」。

デビュー時に搭載されたエンジンは、4LのV型8気筒ツインターボで、その最高出力は650psである。最高速の305km/hは当時SUVの中では最速の数字だった。ちなみにこのウルスは、2023年から「S」と「ペルフォルマンテ」の2モデル展開だが、2024年後半からはPHEV仕様のみが販売される計画となっている。

このランボルギーニにやや遅れて、2022年にフェラーリから発表されたのが、SUVならぬ「4ドアスポーツ」の「プロサングエ」だ。6.5Lの自然吸気V型12気筒エンジンを715psの最高出力で搭載する4WDモデルのプロサングエの最高速は310km/h。後部ドアを逆ヒンジとし、さらに電動開閉式とするなど4ドアモデルとしての実用性を深く追及している点も見逃せない。

2016年に「レヴァンテ」、続いて2022年には「グレカーレ」と、いずれもスタイリッシュで官能的なSUVを作り上げてきたマセラティも見逃せないイタリアン・ブランドだ。

最高峰を極めたショーファードリブンのSUVが登場

ドイツ・ブランドも、魅力的なプレミアムSUVを投じることには積極的だ。その理由は前でも書いたとおりプレミアムSUVは、最大の輸出市場であるアメリカでの成功を左右する重要な商品であるからだ。

2019年に発売された「X7」は、BMWにとって史上最大となるフラッグシップSUV。M社専売モデルの「XM」も、同社の最先端技術とそれが生み出す走りを楽しむには最適な一台だ。

BMWアルピナの「XB7」の乗り味も、まさに体験の価値あり。今後BMWに統合されるアルピナは、その将来像がいまだに見えてないだけに、純粋なアルピナ車の存在はこれからますます貴重なものになるだろう。

メルセデス・マイバッハの「GLS」も同様に、ショーファードリブンによる快適な移動空間としては、世界の最高水準を極めた一台といえる。

21世紀を迎え、続々とその勢力を伸ばしてきたプレミアムSUV。もちろんこの日本にもライバルと対等に戦えるモデルは数多く存在するのは間違いないし、今回紹介したモデルのほとんどは日本への正規輸入が行われている。ぜひ一度その世界を体験してみてほしい。

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