サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

トヨタ「ランドクルーザー」が1260万円! なつかしのFJ45型のピックアップは米国で最も有名な日本車です

8万4000ドル(邦貨換算約1260万円)で落札されたトヨタ「FJ45 ランドクルーザー ピックアップ」(C)Courtesy of RM Sotheby's

当時の雰囲気を残しながらアップデートされている

もともとは18世紀の欧州で絵画・骨董・古文書などの美術品や書籍の分野で始まったといわれている「オークション」ですが、ご存知の通り今では古今東西の名車たちもひとつの大きなコンテンツとなっています。欧米を中心に年間を通じて数多く開催されるモーター系オークションは、同じオークションハウスが主催するものでも、その開催地によって出展されるクルマの傾向は異なります。今回紹介する1台は、いかにもアメリカのコレクターが好みそうなトヨタFJ45型「ランドクルーザー ピックアップ」です。

「アメリカで最も有名な日本車」と言われるほど人気のモデル

去る2024年1月25日、グランドキャニオンなどの壮大な自然で知られる、アメリカはアリゾナで開催されたRMサザビーズのオークション。同じRMサザビーズの主催でも、この地で開催された今回のオークション出展車のラインアップは、やはり現地で人気の高い車種が多くみられた。

その中の1台が、トヨタの誇るヘビーデューティ4WDの代名詞たるランドクルーザーだ。「どこへでも行き、生きて帰って来られる」を標榜するランドクルーザー。そのルーツが警察予備隊(現在の自衛隊)での過酷な使用条件を前提として開発されたトヨタBJ型四輪駆動トラック(通称トヨタ・ジープ)であることを思えば、歴代ランドクルーザーのタフネスぶりにも納得だ。

そんなランドクルーザー一族の中でも、特に印象深いのが1960年にデビューした、40系と呼ばれる3代目だ。この40系は1984年に後継モデルの70系がデビューするまでの約四半世紀にわたって世界中で愛用され、特徴的なフロントグリルのデザインは後のFJクルーザーにもアイコン的に採用されているほどだ。

また「アメリカで最も有名な日本車」とも言われたほど彼の地での人気も高く、今なおこの時代のランクルを愛するファナティックは多い。当然、程度の良い個体はアメリカのオークションで高い人気となるわけだ。

レストア後の走行距離は1000km未満

今回のオークションに登場したのは、1983年式のFJ45ピックアップ。FJ40の後部を荷台とした派生モデルとして1964年に登場したFJ45だが、この個体はほぼ生産終了時期に近い高年式。現車はフレームとボディを分離した徹底的なレストアが施され、もちろん駆動系や4.2Lの直6エンジンもフルリビルドされている。

レストアというと厳密には「完全に工場出荷時の新車状態に仕上げる」ことだが、そこはクルマとの付き合い方を熟知した彼の地のレストアラーの仕事。単に新車状態に仕上げるだけではなく、オールドマンエミュのサスペンションキットや新たに引き直された電気系統、バンパーマウントのフォグランプやウォーン製のウィンチなどで、クラシカルな雰囲気を損なうことなくアップデートされている。この辺の絶妙なバランス感覚とセンスの良さはさすが。室内もオリジナルの雰囲気を活かした上で、特注のタン・レザー張りとMP3プレーヤー・モジュール付きの最新サウンド・システムが採用されている。

レストア後の走行距離は1000km未満という、この1983年式ランドクルーザーFJ45ピックアップの落札価格は8万4000ドル。落札された当日の為替レートに当てはめると、日本円にして約1260万円という高額での落札となった。

日本車の実力と人気が世界的に高いことを喜びつつも、その反面「親しかったクラスの同級生がいつの間にか手の届かないアイドルになっていた」ような、少しばかりの寂しさも覚えるアリゾナのオークション会場からのトピックである。

モバイルバージョンを終了