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およそ7300万円! アストンマーティン「V12ザガート」のほぼ新車コンディションが登場。生産が61台で終了した理由とは

45万5000ユーロ(邦貨換算約7280万円)で落札されたアストンマーティン「V12ザガート」(C)Courtesy of RM Sotheby's

ショールームコレクションにピッタリの1台

2024年1月31日、RMサザビーズがフランス・パリで開催したオークションにおいてアストンマーティン「V12ザガート」が出品されました。同車は、アストンマーティン「DB4GTザガート」の生誕50周年を記念したモデルで生産台数はわずか61台しかありません。詳細をお伝えします。

DB4GTザガートの生誕50周年を記念したモデル

1919年に創立されたイタリアのカロッツェリア、ザガートは、デザインの美しさのみならず、軽量でかつエアロダイナミクスに優れた自動車のボディを設計、製作することで1950年代から1960年代にかけて全盛期を迎えたメーカーだ。

そのデザインの大きな特徴は、ドライバーとパッセンジャーのヘッドクリアランスを稼ぐために、そしてもちろん空力を意識してルーフに設けられた1対のこぶ、ダブルバブルで、ザガートが手がけたモデルの象徴として多くのマニアが知るところである。

一時は沈滞期を迎えるザガートだが、ランチアやアストンマーティン、アルファ ロメオ、あるいは日産自動車の子会社であるオーテックジャパンと共同開発したモデルなどは常に大きな話題となり、1990年代には新たにSZデザイン社として再スタートを切ると同時に、自動車メーカーの作品や、ザガート独自のワンオフ、少量生産車の製作にも積極的にかかわるようになった。

今回RMサザビーズのパリ・オークションに出品されたこのモデルは、ザガートの作でも最も有名な存在といえる、アストンマーティン「DB4GTザガート」の生誕50周年を記念するとともに、両社の永続的なパートナーシップを改めて記念して製作されたモデル、アストンマーティン「V12ザガート」だ。

2011年に5月21日にイタリアのコモ湖で開催された、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステで初公開され、2009年に同じくアストンマーティンの「One-77」が受賞した「コンセプトカーとプロトタイプのデザイン賞」を改めて受賞している。

わずか61台しかないうちの1台

ザガートは2011年にはコルサ(レース)バージョンを、翌2012年にはストラダーレ(ロード)バージョンを出品。ベースとなったモデルは、いずれもアストンマーティンの「V12ヴァンテージ」で、そのなめらかなフロントノーズの中には、「DBS」で初採用された5.9LのAM11型V12気筒エンジンが517psの最高出力、そして570Nmの最大トルクで搭載されていた。

発表時には150台とされた限定生産数だが、結局それが61台で終了したのは、アストンマーティンがOne-77の生産に集中しなければならなかったという事情があった。もっともそれによってV12ザガートは、さらなる希少価値を得ることになったわけだが。

2020年には、アストンマーティンがイギリスのR-リフォージ社と提携し、このV12ザガートのクーペとコンバーチブルを19組(合計38台)生産する、ヘリテージ・ツインの企画も発表された。センターロック式の19インチ・アロイホイールや固定式リアウイングなどを採用するとともにエンジンの出力は600psに向上。それはアストンマーティン、そしてザガートのファンにとっては、とても魅力的な組み合わせであり、また商品といえた。

パリ・オークションに出品されたアストンマーティンV12ザガートは2012年に工場から出荷され、アロロ・グリーンのボディカラーにサハラ・タンとアークティック・ブルーのハイドインテリアを組み合わせた仕様。オリジナルのオーナーから譲り受けたというこのモデルはほとんど使用されておらず、出品時の走行距離はわずかに1228km。完璧な状態で現れた、この希少かつコレクター垂涎のV12ザガートは、まさにショールーム・コレクションと呼ぶにふさわしい。

RMサザビーズもそのコンディションには十分な自信を持っていたのだろう。予想落札価格を40万~50万ユーロ(邦貨換算約6400万円~8000万円)と提示。最終的な落札価格は、ちょうどその中間に近い45万5000ユーロ(同7280万円)という結果になった。

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