3億円フェラーリF40の次の一手は「これなら買えるF40レプリカ」
2024年2月の大阪オートメッセ(OAM)2024でのリバティーウォーク(Liberty Walk)ブースは今年も大盛況で、代表の加藤 渉氏の素晴らしいマイクパフォーマンスで1号館は爆笑の渦! このブースの周辺はとくに弾けた愉快なムードに包まれていました。そんなブース内でひと際、異彩を放っていたのがちっちゃな「LB-WORKS LB40」です。去年は3億円オーバーのフェラーリ「F40」ワークススタイルを製作し、世界が注目する話題の1台に。今年はそれを小さくスケールダウンして「これなら買えるF40レプリカ」を完成させました。
未来を担う子どもたちにカスタムカー作りを体験してもらう
リバティーウォーク加藤代表が手がけたこの小さな「F40」については、すでに多くのメディアが取り上げているため知っている人も多いはず。だが、この車両製作に至る経緯についてはあまり知られていない。そのことについて加藤代表はAMWのインタビューにこんな話をしてくれた。
「今回のミニF40はリバティーウォークらしい悪ふざけと思っている人も多い思う。もちろん、その期待には応えたつもり……だけど、実際はもうひとつ別の意味があります。それはリバティーウォークが推し進めている“未来を担う子どもたちに夢を与える”プロジェクトの一環なんです。こういうクルマを作ることで、良い意味でカスタムカーに興味を持ってもらい、大人になったら自分でこんなクルマを実際に作って乗ってもらいたい。そんな願いを込めています。そして、このミニF40の製作に関しては、その子どもたちにも協力してもらい、製作するクルマにたくさん触れてもらい、物作りの楽しさを体験してもらいました。われわれが幼少期に感じたことを、今度は大人になったわれわれが子どもたちに伝える。そこを一番大切に考えているんです」
ベース車両にAZ-1を選んだ理由は?
いつもの悪ノリにプラスして子どもたちに対する熱い想いを形にしたミニF40は、さすが世界にその名が轟くカスタムビルダー、リバティーウォークが手がけたマシンだけに完成度がとんでもなく高かった。
ベース車両は、懐かしのマツダ「オートザムAZ-1」を使っている。そして正式名称は「LB-WORKS LB40 AZ-1」になる。このAZ-1をベースに選んだ理由は、その特殊な構成にあった。じつはAZ-1はスケルトンモノコックと呼ばれるフレーム構造を採用していて、FRP製パネルをかぶせたボディ構成になっているため、外装を取り外せばモノコックボディがむき出しとなる。そのため、専用のボディカウルを作る際にデザインの自由度が高く、ルックスを大きく変えることができるというわけだ。
この構造に目を付けた加藤代表は、このクルマをベースに作るならミニF40しかない! と、いつものひらめきを発揮。2023年に発表した3億円フェラーリF40のボディキットをモチーフにダウンサイジングなミニF40を完成させた。
ボディキットは226万6000円で購入できる
製作当初はもっと簡単に考えていたらしいが、実際にプロジェクトをスタートすると、F40らしく見せるためのバランスに苦労したという。しかも、そのルックスはリバティーウォークならではのワイドボディによる表現だったからなおさら難しかったそうだ。
ボンネット一体のフルカウルのワイドフェンダーを見ると、フロントの幅が片側50mmのワイド化、リアのブリスターフェンダーは片側70mmもワイド化させている。また、前後は60cmほど全長を伸ばして調整。とうぜん軽自動車規格からははみ出してしまうが、バランスを考えると軽規格内では無理だったため諦めたそうだ。
また、一部に本物のF40パーツも使っていて、それがテールランプとヘッドライトということだった。ここもリバティーウォークならではのこだわりで、当初は代用品も検討したが、ここは「らしさ」を大切に本物を使うことで印象をより高める効果を発揮させた。
去年のリバティウォーク・フェラーリF40は3億円という現実離れした高額マシンで買うことができなかったが、今回のAZ-1ベースのミニF40は、ボディキットという形で販売され購入が可能だ。その価格は226万6000円(消費税込)とのこと。
成りはミニでも、作り込みは超本気のリアルなルックスを追求したリバティーウォーク加藤代表の自信作。冗談のような発想をもって遊び心が加わった「LB-WORKS LB40 AZ-1」は、日本のカスタム史に刻まれる1台となることだろう。