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ついに4000万円オーバー! メルセデス・ベンツ「190E 2.5−16 エボリューションII」は値上がりの一途です

28万ドル(邦貨換算約4170万円)落札されたメルセデス・ベンツ「190E 2.5−16 エボリューションII」(C)Courtesy of RM Sotheby's

コンディションや希少性を考えれば適正価格

2024年3月1日〜2日、RMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにおいてメルセデス・ベンツ「190E 2.5−16 エボリューションII」が出品されました。502台が生産されたうち、226台目に製作された1台となり、現在までの走行距離は5万4770km。気になるハンマープライスをお届けします。

戦うために登場したエボリューションモデル

モータースポーツの頂点にあるのはF1やWECといったシリーズであるのかもしれないが、人気という点でそれらに匹敵する存在といえるのはツーリングカー・レースだろう。それは市販車をベースに選手権が競われるもので、ヒストリーの始まりは1950年代。ここからさまざまな人気の選手権が誕生していくが、やはりその頂点を極めたシリーズとして、1984年にスタートしたDTMの存在は忘れられない。

DTMには多くのメーカーが参戦するが、その理由に戦績が実際の新車販売に大きく影響することが理由としては大きかった。ここで最初に専用マシンを開発し選手権を獲得したのはBMW。この時にレースに投じられたモデルはE30型の「M3」にほかならなかった。

ライバル・メーカーは、当然その動きを黙って見ているわけにはいかなかった。特に新車販売でも直接のライバル関係にあるメルセデス・ベンツにとってそれは重要な問題で、1984年にデビューした190Eの販売に加速度をつけるためにDTMへの参戦を決意したのは自然な成り行きだった。

彼らが用意したツーリングカー・レース用のホモロゲーションモデルは、1986年に誕生した「190E 2.3-16」。これはコスワース製の2.3L直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載したもので、控えめなデザインのオーバーフェンダーやスポイラーを装着したものの、M3に対して車重が重いことなどを理由に、結局1986年から1988年までのシーズンでタイトルを得ることはできなかった。

この190E 2.3-16の後継車として、次にメルセデス・ベンツが投入したのが、エンジン排気量を2.5Lにまで拡大した190E 2.5-16だったが、それでもメルセデス・ベンツは選手権を獲得することができず、1990年になって190EをベースとしたDTMモデルとしては最終進化型となった、190E 2.5-16エボリューションIIを発表した。

のちにエボリューション I と呼ばれることになった前作よりも、さらに過激なエアロパーツを採用し、前後のオーバーフェンダーやリアスポイラーなど、まさに戦うマシンそのものといった印象に仕上げられたエボリューションIIは、メルセデス・ベンツの念願であったDTMを、1991年と1992年の2年連続で制覇することに成功したのである。ちなみにエボリューションIIは502台が限定生産されたとされる。

今回マイアミ・オークションに出品されたモデルは、その貴重なエボリューションIIの中で226台目に製作されたもの。現在までの走行距離は5万4770kmで、2023年にはディーラーによる5000ドル(約74万5000円)相当のサービスも受けている。

注目の落札価格は28万ドル(邦貨換算約4170万円)。そのコンディションや希少性を考えれば、それはほぼ適切な評価だと、27万5000~32万5000ドルのエスティメートを提示したRMサザビーズも納得していることだろう。ちなみに以前開催された同社のオンライン・オークションでのエボリューションIIの落札価格は、ほぼ同コンディションで23万1000ドルという結果だった。その値上がり傾向はまだ続くのだろうか。

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