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激レア「Gクラス」3選。前澤友作氏が購入したというマイバッハモデルなど、現在の中古車市場での相場は?

メルセデス・ベンツの「Gクラス」特別仕様車3選

NATO軍の軍用車両が始祖となる「ゲレンデヴァーゲン」。その後、一般向けに販売されるようになった「Gクラス」は、日本でも絶大な人気を誇り、今も愛され続ける車種となっています。そんなGクラスには、伝説と化している超希少な3台の「特別なGクラス」が存在しました。どんなGクラスだったのでしょうか。

お目にかかることはほとんどない激レアな伝説級Gクラス

もともとはNATO軍への採用を目指した軍用車両「ゲレンデヴァーゲンTyp-461」として開発され、1981年には民生用「W460」も一般向けに販売されるようになったGクラスだが、民生用進化版W463系(初代)としてのモデル末期となる2010年代中盤には、驚くべき進化を遂げた派生モデルが製作されていた。

今回は、誕生から10年に満たずとも、早くも伝説と化している3台の「特別なGクラス」について解説させていただくとともに、Gクラスについては国内有数の知見を有するスペシャリスト「アルティメット・モーターカーズ(千葉県浦安市)」高梨慎太郎代表のアドバイスを受けつつ、現在の国内マーケットにおける市況についてもお話ししたい。

G 63 AMG 6×6

2013年3月に、生産化前提のコンセプトカーとして発表されたG 63 AMG 6×6。そのボディサイズは全長5875mm、全幅2110mm、全高2280mm、車重3850kgと、一般ユーザーに販売される乗用車両としては破格のサイズで、同じメルセデスでも多目的車「UNIMOG(ウニモグ)」に匹敵するほどの威容を誇る。

3本の車軸に、フロント/センター/リアにロックも可能な5つの機械式ディファレンシャルを持つとともに、「ポータルアクスル(ハブリダクション機構)」を採用したことによって、フロア下の突起物を可能な限り取り除き、オフロードで障害物を乗り越えられる性能を大幅に高めている。

オフロードにおける走破性を示すスペックは圧倒的なもので、最低地上高460mm、渡河深度1000mm、アプローチアングル約50度、デパーチャーアングル約45度など、異次元の高いパフォーマンスを誇った。

パワートレインは、同時代のG 63 AMGと同様の最高出力544ps、最大トルク760NmのAMG製5.5L V8ツインターボエンジンを搭載。パワーを31:42:27の駆動トルク配分で各車輪へ伝達する。トランスミッションは、7速AT「AMG SPEED SHIFT PLUS」が組み合わされる。

また、乗用車としては世界で初めて「タイヤ空気圧調整システム」が搭載され、運転席からスイッチ操作で6輪すべてのタイヤ空気圧を調整することが可能。砂漠など柔らかい路面を走行する際は空気圧を減圧して接地面積を増やすことにより、車輪の沈み込みやスタックに対抗できるとされた。

当初の計画では、生産期間は2年間。中東を中心に世界で100台を販売する予定だったそうだが、オーダーが殺到したことから最終的には約170台が製造されたとのこと。

日本国内では2014年4月25日から8月31日までの期間限定で受注したものの、もとより割り当て台数は5台という狭き門。それゆえ当時8000万円~(詳細は未公表)とされた新車価格に対して、現在ではもし一般マーケットに出ることがあってもプライスは「時価」。1億円オーバーは当たり前と見なされているようだ。

G 500 4×4スクエアード

2015年2月にデビューしたメルセデス・ベンツ「G 500 4×4スクエアード」は、その前年にあたる2014年に発表された6輪モデル「G 63 AMG 6×6」に続くスーパーオフロードヴィークルだ。同じGクラスでも「AMG 6×6」では、さすがにオーバースペック。もう少しだけ、実用に振ったモデルを求めるリクエストに応じて開発されたという。

その結果、G 63 AMG 6×6の4輪バージョンというべきモデルとなったG 500 4×4スクエアードは、ポータルアクスルをG 63 AMG 6×6から継承したうえに、325/55-22という巨大なタイヤを採用したことによって、最低地上高を450mm(スタンダードG 500は210mm)まで大幅アップ。また渡河性能は1000mmと、スタンダード版G500に比べて400mmアップとなったという。

エクステリアは、モンスターそのものともいうべきG 63 AMG 6×6と比べれば若干穏当なものとなったとはいえ、そのサイズは「メルセデスAMG」ではなく「メルセデス・ベンツ」の初代W463系Gクラスとしては史上最大。スタンダード版G500より全高で270mm、全幅も240mm拡大され、周囲を睥睨(へいげい)するかのような威容を誇る。

パワーユニットに選ばれたのは、このモデルのデビュー時にはAMG専用だったツインターボチャージャー付きアルミニウム合金製ブロックのV型8気筒エンジン。クロスカントリー性能の向上を期してトルク重視のディチューンが施されてはいたものの、422psのパワーをマークし、7速オートマチックのトランスミッションが組み合わされた。

日本国内では、2015年2月から同年5月末までオーダー受付。新車価格は3510万円という「メルセデス・ベンツ」ブランドのGクラスとしては史上最高額モデルとなった。

ただし限定生産というかたちをとらず、一定数が日本国内でも販売されたことから、現在の国内マーケットにおける販売価格は、2000万円代中盤から3000万円弱あたりで推移しているようだ。

マイバッハ G 650ランドレー

2017年3月のジュネーヴ・ショーにおいてワールドプレミアに供されたメルセデス-マイバッハ G 650 ランドレーは、「メルセデス・ベンツ」および「メルセデスAMG」のGクラスから大幅にホイールベースが延長され、2軸4輪ながら全長5345mm、全高2235mmという堂々たるサイズを誇る。

また、最高出力630psを発生する6L V12ツインターボユニットに組み合わされる7速トルクコンバーター式ATには、本格的クロスカントリー4×4らしく3つのティファレンシャル・ロック機構が搭載されているほか、ロードクリアランスはポータルアクスルの採用によりG 500 4×4スクエアードと同じ450mmとされ、オフロードでも最上級の走破性が与えられることになったようだ。

いっぽう、ドライバーの乗るキャビン前部はクローズドルーフで、独立した2座分のリアコンパートメントを覆うのは電動のソフトトップ。ボタン操作で、オープンエアが気軽に満喫できる。ショーファードリブン用のリムジンのカテゴリーにも入るランドレーゆえ、ボタン操作で昇降できるだけでなく、透明と不透明を切り替えることもできるというガラス製の電動パーティションによって、前席と後席は仕切られているという。

もちろんキャビンは、シートのレザーハイドやウッドキャッピングは「マイバッハ基準」の、より豪壮なマテリアル&フィニッシュが与えられ、カラースキームもマイバッハ独自のものがビスポークとして選べることになっていた。

とくにリアコンパートメントには、専用のエアコンディショナーやインフォテイメントシステムを備え、快適な移動を楽しめるようになっている。

本格オフローダーでありながら、同時に本格的なリムジン/ランドレーに仕上がったと謳われたメルセデス マイバッハ G 650 ランドレーは、2017年下半期より世界限定99台のみが生産されたといわれる。

日本では、あの前澤友作氏が購入したといわれる個体を含めて3台が割り当てられ、当時の販売価格は未公表ながら、1億円越えだったと噂されている。

それゆえ、こちらも現在では「相場」というものが発生しないほどに希少ながら、もしもユーズドカー市場に現れたとしても新車価格を遥かに上回るプライスとなるのは間違いのないところであろう。

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