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モテる運転とドン引きされる仕草とは? 昭和で当たり前でも令和ではセクハラと誤解される車内マナーを解説します

とくに大事なのは心構え。運転中は、つねに落ち着き、追い越されたりしてもカッとならない。冷静に前方や周囲の状況を感じながら、スムーズで余裕のある運転をする

モテるクルマの運転を解説します

昭和や平成初期の頃は、クルマを持っていて、女性をドライブデートに誘うことがモテる条件のひとつでした。けれども、そんな時代でも、女性から「あの人の運転は怖いから嫌い」などと言われ、ほぼモテなかった男性ドライバーも結構いました。しかも、今はクルマ自体がモテるアイテムとは言われなくなった時代。クルマを持っているだけで異性から好かれることは、なかなか難しいかもしれません。そんな時代のモテテクとはどんな運転のか、考察します。

今も昔も変わらないモテテクとは?

時代が変わろうとも、異性から「モテるきっかけ」となる運転は確実にあると思う。それは、「安心感のある」運転だ。クルマの運転で他人から好意を持ってもらうには、まず相手に「自分を危ない目に遭わせない運転だ」と思ってもらうことが第一歩。そして、それは例えば、付き合いたいと思っている彼女や彼氏、パートナー(妻や夫)や子ども、親などの家族、ペットなど、世代や性別を問わず、さまざまな人に通じることだと思う。

ここでは、そんな幅広い人から「モテる」ための、安心感のある運転術について考察してみる。

スムーズな運転

昭和や平成初期など、昔はスポーツタイプのクルマに乗り、急加速・急減速をする若いドライバーもかなりいた。例えば、信号待ちからの発進では、いつもアクセル全開。信号で止まる場合は、ギリギリまでブレーキを遅らせ、タイヤを鳴らしてストップ。また、コーナーでも、あまりスピードを落とさずに曲がったりして、まるで公道レーサーきどり。そして、そうした運転をするドライバーは、助手席に乗った女性などから嫌われることも多かった(中には、スリルがあると楽しむ人もいたけれど)。

当時は、F1などモータースポーツの人気が高かったこともあり、「自分はレーサー並みに走れる」とか、「誰よりも速い」といったことを、助手席に乗る異性などへ誇示したかったのだろう(かくいう筆者も若い頃はそういう傾向はあったが)。優れたドライビングテクニックを持つ自分は、異性などから尊敬されたり、好意を持たれるのだと信じていたようだ。

だがそれは、あくまでドライバー側の「勝手な思い込み」。そうした運転でモテるわけがない。ほかのクルマや自転車、歩行者などが一緒に通る公道でスピードを出すのは、危険だからだ。助手席に乗った異性などは、「自分を危ない目に遭わせる」ドライバーとして認識し、好意を持つどころか嫌いになるケースも多かったのだ。

そもそも、クルマで急加速すると、リアサスペンションが沈み込むことで車体の後方が急激に下がる。逆に、急減速時は、フロントサスペンションが沈むことで、車体の前方が急に下がる。つまり、車体の前後動が激しくなるのだ。

また、ハイスピードのコーナリングでは、車体のイン側が下がり気味、アウト側が上がり気味となるロール現象も起こる。そして、車体が前後左右に絶え間なく動くと、まるでクルマはジェットコースターのように不安定になる。助手席はもちろん、後席に乗っている人も安心して乗っていられない。まして、クルマ酔いをする人なら、気分が悪くなってしまう場合もある。

では、どうすべきか? それは、アクセルやブレーキの操作をできるだけスムーズにすることだ。加速や減速の時に、車体の前後動があまり起こらないような運転だ。また、コーナーでも、手前からしっかりと減速し、ゆっくりと回ればロールもさほど大きくはならない。こうした運転なら、同乗者も安定しやすいし、危ないと感じづらいだろう。そして、こうした運転は、今も昔も同じで、相手に安心感を与えるはずだ。

もちろん、交通の流れを無視して、ゆっくり走り過ぎるのも「後ろのクルマなどに迷惑をかける」など、同乗者にもストレスを与える。あくまで、スムーズに、交通の流れを意識しながら走るジェントルな走りこそが、多くの同乗者に好意を持ってもらえる、「モテる」きっかけとなる運転だといえる。

車間を空ける・むやみに車線変更しない

走行中に、先行車との車間距離をあまり開けずに走っているドライバーもいるが、これも危ないだけでなく、助手席などの同乗者に不安を与える。とくに、渋滞などが発生し、前のクルマが急停車した際は、自分のクルマも急減速しなければならない、前述のように車体前方が急激に下がり、ドライバーはもちろん、すべての同乗者は前のめりになってしまう。

また、とくに助手席に座っていると、急に先行車へ近づいたことで「追突しそう!」と不安を覚える人も多い。また、後ろのクルマに「追突されるかも!」と思う人もいる。さらに、もしドライバーのブレーキ操作が遅れれば、追突事故の原因となり、助手席や後席の同乗者に怪我をさせたり、命の危険を及ぼすケースもある。

「車間を開ける」ことは、クルマの免許を取る際に、自動車教習所などで教わった人も多いだろう。だが、実際は「なんとなく感覚でやっている」といった人も多いようだ。では、車間はどれくらいの距離を取るのがいいのだろうか? 

警視庁のHPには、交通心理学会の実験結果が掲載されている。それによると、まず運転していて走りやすい車間距離は、

・速度50km/hでは25m
・速度60km/hでは28m
・速度80km/hでは43m

なのだという。そして、車間距離を時間に換算すると全ての速度で走りやすい間隔は「約1.8秒」なのだそうだ。

また、統計的には車間時間「2秒以内」での事故は死亡事故を含む重大事故が多く、「2秒以上」離れていた時は大きな事故とはなっていないという。

そこで、同学会では、実験結果と統計的事実から「車間距離は2秒が適切」といった結論を出している。また、車間の時間をどう計るかというと、

「スピードに関係なく、前車がある地点を通過してから、自分のクルマが2秒経ってそこに行けば適切な時間を空けて走行していることになる」

のだそうだ。つまり、看板や電柱など何か目標物を決めて、そこを前車が通過後に自車が何秒で通るかを測るということだ。また、測る際は「ゆっくりと01(ゼロイチ)、02(ゼロニ)と唱える」といいそうだ。「ゼロ」を付けないと早く測ってしまうからだ。

なお、より速度が大きくなる高速道路では2秒ではなく、「3秒で測った方がいい」という。路面のジョイントや照明灯などを目標にして、「ゆっくりと01(ゼロイチ)、02(ゼロニ)、03(ゼロサン)」と数えることを推奨している。

ほかにも、走行中に車線変更を頻繁に行うのも、車体のロールが多くなり車内が安定しないし、事故の原因になることで、同乗者などに不安を与えがちだ。例えば、渋滞路などで比較的流れている車線へちょこまかと移動するドライバーも多いが、これも統計的にはあまり効果がない。場合によっては逆に遅くなることもあるという。

モテる運転をするためには、車線変更も最小限に留め、どっしりと運転する方がいい。そうした余裕を持ち、助手席に乗る人との会話を楽しんだ方が、結果的により好意を持ってもらいやすいのではないだろうか。

他のクルマや歩行者に道を譲る

渋滞時などに、自分のクルマの前に合流車線から他のクルマが入ってこようとしたときも、余裕を持って譲るほうがいい。「入れたくない」などと、車間を詰めてしまうドライバーもいるが、合流しようとするクルマと衝突しそうになったり、実際に衝突する場合もある。そいう危険性もあるため、同乗者はちょっと不安になる。

また、信号のない横断歩道を歩行者が渡るために道路脇で待っている。こんな時は、ちゃんと横断歩道の手前で停まり、歩行者に道を譲る行為もやりたいところだ。そもそも、道路交通法ではこうした場合、「必ず横断歩道の手前で一時停止し、歩行者に進路を譲らなければならない」と定められてる。守らないと「横断歩行者等妨害等」違反に該当し、捕まれば反則点数2点、普通車の場合で反則金9000円となる。

しかも法律に違反するか否かという以前に、そうした行為は同乗者に「運転中に心の余裕がない」と思われる。運転する際は、つねに周囲の流れや状況をつかみ、先読みして他のクルマや歩行者をいち早く発見し、道を譲るくらいの余裕が欲しい。きっと、そうしたジェントルさも、異性などに好意を持ってもらうきっかけになるだろう。

むかし当たり前で、今はNGの行為は?

クルマの装備も進化に伴って、むかしは当たり前のように行われていたエチケットなども、現在ではまったく無用ということもある。ここでではそうした、今やってしまうとドン引きされる行為を解説しよう。

急ブレーキで助手席を押さえる仕草は?

昔から急ブレーキの時に、「左手を助手席に座る女性の前に出す」仕草がモテるという都市伝説がある。急減速で体が前のめりになるのを気遣う行為だ。ただ、これはSNSなどの投稿を見てみると、人によるようだ。「キュンとくる」といった書き込みもあれば、逆に「シートベルトをしているから危ないわけがない。胸を触るため?」と勘ぐる人もいるらしい。

また、もしこうした行為をやるとしても、頻繁にやるのはよろしくないと思う。前述したように、スムーズな運転をしなかったり、車間をあまり取っていないため、急減速を何度も繰り返している証拠だからだ。同乗者に安心感を与える運転を心掛けていれば、そもそも急ブレーキを何度もやる必要はない。もちろん、スムーズで、車間を十分に取って、スムーズに走っても、急ブレーキをかけなければいけない場合はあるだろう。でも、頻繁に急ブレーキを行い、その度に左手を助手席へ出すのは、「なにか下心がある」と勘ぐられてもしかたないといえる。

バック時に助手席に手を掛ける仕草

駐車などでバックする際に、後方を見るために「助手席の背もたれに手をかける」行為も、昔からモテる仕草のひとつだといわれている。おそらく、助手席に乗る異性などにとっては、ドライバーの手が自分の体後方へ回り、顔も近づくため、まるでハグされているような感覚となり、「ドキッ」とする人もいるからだろう。

ただし最近の新型車では、バックモニターが義務化されたこともあり、こうした仕草は減ったといわれる。バックモニターとは、ギヤをバックに入れると、センターディスプレイが後方の様子を映し出す機能。最近のバックモニターは、後方のかなり広範囲を映し出すのでとても便利だ。

バックモニターが装備され始めた数十年前のクルマでは、「バックモニターだけを見ていたら、リアバンパーを壁にぶつけた」といったケースもあったが、最近はそういった話もあまり聞かない。また、これも最近のクルマには、バックセンサーを備える車種も増えており、後方の障害物とぶつかりそうになると警報を鳴らし知らせてくれる。

だが、こうした機能はあくまで補助的なものだ。クルマをバックさせる際には、ドライバーが目視で後方や周囲の状況を確認しなければならないのは変わらない。あくまでバックモニターなどは、そうした際に死角にいる人や障害物の発見をサポートするものだ。

バックモニターだけを見て後退をすると、例えば、後方の壁などとの距離感がつかみづらいために衝突しそうになることもある。また、雨や雪など悪天候時には、バックカメラに水滴などが付いて、モニターにきちんと後方を写さない場合もある。あくまで、後方確認はドライバーが自分の眼で確認することが大前提。バックモニターなどの機能は、それを補助するものだと考えたい。

大事なのは心構え

ここで紹介した運転術は、どれも特別なことではない。むしろ公道でクルマを運転するための基本中の基本だ。とくに、大事なのは心構えだろう。運転中はつねに落ち着き、追い越されたりしてもカッとならない。冷静に前方や周囲の状況を感じながら、スムーズで余裕のある運転をする。そうしたドライビングが、結果的に、助手席や後席の同乗者に安心感を与え、好感度も上がる。これこそが、モテる運転術の神髄ではないだろうか。

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