サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

20歳女子レーサーが日産「ハコスカGT-R」に乗ってみた! 最初は運転しにくさに戸惑うも…「加速していくとすごく気持ちいいです!」【令和女子旧車に乗る】

日産 スカイライン 2000GT-R:ハコスカ専門店のVICTORY50が管理するこの個体は1970年式の2ドアハードトップ

国産スポーツカーの伝説、KPGC10型スカイライン 2000GT-R

旧車好きな20歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に、さまざまな旧車に試乗してもらって今どきの若者目線の素直なインプレをお届けする企画。今回はハコスカ専門店「VICTORY50」の協力のもと、1970年式の日産KPGC10型「スカイライン 2000GT-R」に乗ってみました。

ハコスカ専門店VICTORY50から「ほぼノーマル」仕様を借りて試乗

2004年生まれの佐々木藍咲さんは、2023年に女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」でレースデビューした女性ドライバー。ランエボオーナーのお父様とAE86オーナーのお母様の英才教育(?)を受け、すっかりクルマ好きに育った佐々木さん。とくに好きなのが旧車とのことで、プライベートで旧車イベントに参加しているほどだ。

今回は東京のハコスカ専門店「VICTORY50」の協力により、「ハコスカ」の愛称で知られる1970年式の日産KPGC10型「スカイライン 2000GT-R」に試乗が叶うこととなった。

純正からの変更点としては、ショップオリジナルのサスペンションとマフラーに換装され、当時スポーツオプションであったMK63キャリパーに、ゴッティのホイールなどを装着している。VICTORY50代表の内田さんいわく「ほぼノーマル」な仕様とのことだ。

シルエットも足元も「凄いクルマ」感!

「横からの全体的なシルエットが好き」

とハコスカの第一印象を語っていた佐々木さん。スカイラインGT-Rの初代モデルとなるハコスカGT-Rにはセダンとハードトップの2種類がラインアップされていたが、撮影車両は後から追加となったハードトップ。運動性能を高めるためにホイールベースがセダンより70mm短縮された、よりレース志向のハコスカGT-Rと言える。レーシングドライバーの佐々木さんには、機能美を求めたハードトップのシルエットが刺さったのだろう。

「やっぱりオーバーフェンダーがあると速そうな感じがしてカッコイイですよね! あとタイヤとホイールもなんだか時代を考えたら太い感じがして、“凄いクルマだぞ!”って雰囲気が出てます!」

撮影車両のオーバーフェンダーは社外品。ホイールはモータースポーツ界で当時人気のあったゴッティ製。フロント8Jの205、リア9.5Jの225というタイヤ&ホイールの組み合わせで、現代の水準でボディサイズを考えれば極太感がある。なお、装着されているタイヤはブリヂストン ポテンザRE-71RS。最新のスポーツラジアルが装着されているあたり、サーキットで現役バリバリのクルマだと思わせてくれる。

シートも本気のバケットタイプ

ドアを開けて室内を見てみると佐々木さんはシートに驚かされたようであった

「あれ、このシート背もたれが動かなそうな形ですけど、もしかしてバケット形状になっているんですか? あとステアリングが大きくて、気を付けないと足に当たってしまうかも……」

ハコスカGT-Rはレースのために生まれたモデルであり、走りを強く意識していた。そのため、シートも当時としては珍しく純正で背もたれが固定なバケットタイプとなっていたのだ。

操作系の重さに初めはタジタジ……

実際にハコスカGT-Rの試乗を開始した佐々木さんの第一印象は、

「これ本当にほぼノーマルですか!?」

だった。

「アクセルレスポンスが良すぎて街乗りだとスロットル操作がシビアだし、下のトルクもあまりなくて普通に乗るのが難しいです……。あとミッションやブレーキの操作系も重たくて、“ほぼノーマル”なのが嘘みたい。乗っている雰囲気もチューニングカーって感じがして、以前乗せてもらったエスコートさんのS30Zを思い出す感じです」

シビアと感じたスロットルはワイヤーでなくリンク式、そのためパーシャルの調整が難しいのだ。ミッションはポルシェシンクロでサーキット走行を強く意識したものだ。また、重たいステアリングにも悩まされていた様子であった。

これまでもこの企画を通して重ステのクルマは何台か乗ってきたが、このハコスカGT-Rは「とびきり重たい」とのこと。VICTORY50の内田さんから「日産のワークスドライバーの高橋国光さんたちは当時これでカウンターを当てながら走ってたんだよ」と言われると、「この重さでカウンターを正確に当てるんですか! 信じられない!」と驚いていた様子であった。

「すごく回したくなるエンジンです!」

低速域での扱いにくさに苦労している様子だった佐々木さん。しかし、高回転域まで回すとそんなネガなイメージは吹っ飛んだようで、“S20エンジンは回してナンボ”というのを実感している様子だった。

S20エンジンって回転を高めるほどパワーが出てきて、すごく回したくなるエンジンです! 7500rpmから音が変わってさらに上がある感じがたまらないですね! ギアのつながりも良くて、加速していくと、ものすごく気持ちいいです。

あと、加速してフロントが浮いてもちゃんと4輪が接地している感触に驚きました。高速域だとブレーキもカッチリしていてリニアな感じが安心感ありますし、これならすぐにサーキット行けそうな感じです! ほぼノーマルでこれは凄い! サーキットで走らせたくなりますし、本当にレースを考えたクルマなんだなっておもいました!」

ハコスカGT-R本来の生息地はサーキットであることを実感した佐々木さん。レース由来の高性能にすっかりと魅了されていたのだった。

佐々木藍咲選手の日産 スカイライン 2000GT-R  〇と×

好きなポイントは?

「高回転で回して気持ちいいエンジン! パワーの出かたがレーシングエンジンみたいです!」

変えたいポイントはある?

「重たいので仕方ないかもしれませんが、大きなハンドルは正直変えたいかも……でもハンドル小さくしたら駐車場とかで回せるかなぁ……」

佐々木藍咲選手とは

佐々木藍咲さんは富士スピードウェイで開催されている女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」で2023年シーズンに4輪レースデビューした、2004年生まれの若手女性レーシングドライバー。

2025年シーズンからKYOJO CUPはフォーミュラマシンへとマシンチェンジし、よりハイスピードでテクニックが求められるカテゴリーへと進化する。マシンチェンジしたKYOJO CUPに佐々木選手はKids com Team KCMGから参戦する。開幕戦は5月11日に富士スピードウェイで開催予定。フォーミュラマシンでの佐々木選手の走りにも注目だ。

さらに昨年に引き続き、GR86/BRZ Cupにも参戦予定で、JCCA筑波ミーティングにもダットさん「フェアレディ」で走ることが決まっている。

■「令和女子旧車に乗る」連載記事一覧はこちら

■取材協力:VICTORY50
http://victory50.net

モバイルバージョンを終了