意外と知らない「停止禁止部分」
誰もが間違いなく教習所で勉強しているはずですが、運転に慣れたゆえの油断かつ違反をしがちな事例があります。そのひとつが「停止禁止部分」にクルマを停めてしまうことです。教習所で教わったにもかかわらず、うっかり忘れてしまった方もいると思います。あらためて解説をします。
消防署や警察署の前は注意!
消防署や警察署の前に白線で囲まれ、かつ斜線が引かれたスペースがある。ここは緊急車両をスムーズに出庫させるために、駐車はもちろん停車すら禁止する規制であり、道路交通法では以下のように定められている。
第50条の2に「車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入ってはならない」
と書いてあり、消防署や警察署の前にある停止禁止部分は「道路標示によって区画された部分」に該当するわけだ。
さらに警察庁の「交通規制基準」の第29「停止禁止部分」でも、対象道路として、
「緊急自動車の出入口付近又はバスターミナルの出入口付近の道路で、信号待ち車列等により、緊急自動車の出動等や路線バスの正常な運行に支障がある道路の部分」
と明記してある。場所によっては白線と斜線だけじゃなく「消防車出入口」など、文字を併記して強く停止禁止をアピールしているにもかかわらず、その上に堂々と停止して信号待ちをするクルマが後を絶たない。
罰則は1点と6000円
当然ながら違反すれば罰則が科せられてしまい、内容は反則金6000円(普通車の場合)と減点1。渋滞で前のクルマが思ったより進まずに停まってしまい、道路表示を見逃すなど悪意があっての違反ではないとはいえ、その間に事故や火災で緊急車両が出動する可能性は十分ある。自分のうかつな行動が人命に影響しかねないのを理解したうえで、停止禁止部分が近付いたら前方の交通状況をしっかり確認したい。
なお停止禁止部分を空けていたら後続車にクラクションを鳴らされ、隣の車線から停止禁止部分に割り込まれた経験を持つ人もいるようだが、それだけ違反であることを知らないドライバーが多いという証拠だ。
最後に停止禁止部分と誤解されやすい道路標示について。交差点で右折レーンの手前などに白線が引かれている部分は、円滑な交通を促すための「導流帯」で停止は違反にならない。とはいえ特段の事情もなく導流帯を走り停止するのは安全運転の観点から決して望ましくないし、特殊なケースだが宮城県では「ペイントによる道路標示の上にみだりに車輪をかけて、車両を運転しないこと」と県の公安委員会で定められている。渋滞になるのを防ぐ目的とか緊急回避を除いては、なるべく立ち入らないのが好ましいと考えよう。
