エビスサーキットでのレースシーンが挑戦のきっかけに
開催15年目を迎える「東北660選手権」では、注目の若手ドライバーたちが激しいバトルを繰り広げています。その中で、竹中康平選手の成長は見逃せません。最初は軽自動車レースに乗り気ではなかった竹中選手が、エビスサーキットでのある光景に心を奪われ、エッセでの挑戦を決意しました。2021年から参戦を開始し、その後驚異的なスピードで実力を伸ばしています。
パワーに頼らず腕を競い合うレースの魅力
新たなシーズンの開幕が迫る東北660シリーズ。最も古いカテゴリーである新規格NAによるレース「東北660選手権」は早くも15年目を迎える。2024年に大きな飛躍を遂げたドライバーや、2025年の注目株をピックアップして紹介したい。
激戦区である3クラスを戦い抜き、シリーズ2位の好成績を収めた竹中康平選手は、軽自動車のレースに乗り気ではなかったという。そんな気持ちをガラリと変え、エッセを手に入れたきっかけは、行きつけのプロショップ「ガレージ・カリノ」から誘われ、観戦しに行ったエビスサーキットの西コースでのワンシーンだ。
決して広くはない1コーナーに3台のマシンが横並びで進入し、互いに接触することなくクリーンで接近戦を繰り広げ、タイトな2コーナーを立ち上がり全開で加速していく。車種こそ違えどチューニングできる範囲が狭く、パワー勝負にならず乗り手の腕を競い合える。まさしく東北660選手権を象徴する光景で、竹中は一発で虜になったと話す。
ガレージ・カリノのサポートでエッセをレースカーに仕上げ、参戦開始
すぐにガレージ・カリノの狩野代表と同じダイハツ「エッセ」を購入し、レースカーとして作り上げ2021年から参戦を開始した。当初は慣れないローパワー車に手こずることもあったが、豊富なノウハウを持つガレージ・カリノのサポートと練習の成果が表れ、着々とタイムを上げていく。
2024年はスポーツランドSUGOの開幕戦で予選3番手から優勝、第2戦ではポール・トゥ・ウィンにくわえてファステストラップも獲得。第3戦も3位と3連続で表彰台に立ち、シリーズ争いの大本命に躍り出た。最終戦は惜しくも6位でフィニッシュし王座を逃したが、実力的には2クラスでも上位を狙えるレベルに達しており、2025年は2クラスへのステップアップを宣言している。
その練習を兼ねて参加したセミ耐久の特別戦では、初のハイグリップタイヤながら2位でフィニッシュ。2025年の活躍を予感させる結果となった。マシンは2回のエンジン載せ替えを経て現在3機目だが、接触もなく何年も戦ったレースカーとは思えないほど。
レギュレーション内で徹底した軽量化を追求
レギュレーションで極端な改造はできないが、その代わりこだわったのは徹底的な軽量化だ。ボンネットとリアゲートはハートビートのFRP製に交換し、不要なパーツはすべて取り外し、バッテリーも軽量タイプに交換している。さらにエアコンのコンデンサーも1列おきに削る徹底ぶり。
空力も重視しており、定番であるリアバンパーのカットは空気の抜けだけでなく、見た目の美しさも追求している。手作業で雑に切っただけのクルマが少なくない中、穴の面積を最小限にとどめてボディ同色の網も装着し、いかにも加工した感が出ないよう工夫したという。3クラスから2クラスに上がったドライバーは、ハイグリップに慣れずタイムを落としてしまうこともあるが、そんなギャップにもすぐ順応した竹中選手。2025年は2クラスでもシリーズ争いを繰り広げる予感がする。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
