30代で購入しカーナンバー18を忠実に再現
1967年に登場したマツダ「コスモスポーツ」は、世界初となる2ローターのロータリーエンジン搭載車でした。未来的なプロポーションを持つボディに、なめらかな回転と高出力がポイントです。今回は箱車の祭典2024にエントリーしていたマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レース仕様車を製作したオーナーを紹介します。
78歳と思えない熱い走りを披露
御年78歳(取材時年齢)になる井出 満さんが箱車の祭典2024で走らせたコスモスポーツは、1968年にニュルブルクリンクで開催されたマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースで、82時間まで上位を走っていたカーナンバー18を忠実に再現した車両だ。
ベテランドライバーの井出さんは、30代のときに日本車初のロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツを購入。それ以来、走り続けているのだという。
「2000年ぐらいからJCCA(日本クラシックカー協会)のイベントに参戦するようになって、10数年前にマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースにチャレンジしたカーナンバー18仕様にモディファイしました。別のコスモスポーツ・オーナーがカーナンバー19を再現しており、そちらが先にデ・ラ・ルート仕様になっていました」
マラソン・デ・ラ・ルート84時間は、ドイツにある1周28kmのニュルブルクリンクサーキットを文字通り3日半にわたって走り続けるというもので、マツダは耐久性と高性能を両立したロータリーエンジンの威力をアピールするために世界一過酷と評された耐久レースにコスモスポーツを送り込んだ。
マツダはコスモスポーツでマラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レースに挑戦し、ファミリアR100ロータリークーペで1970年のスパ・フランコルシャン24時間レースに参戦して大健闘。世界にロータリーエンジンの優位性を伝えたわけである。
アルファ ロメオ「セブリングスパイダー」も所有し、このクルマでもJCCAに参戦してきたという井出さんは78歳と思えない熱い走りを箱車の祭典2024においても披露したが、どうやらコスモスポーツが本調子ではなかったらしい。
「以前、富士スピードウェイを走ったときよりも最高速度が10km/hぐらい落ちているんですよ。5速の伸びが悪いですね。2023年4月に筑波サーキットでJCCAに参戦し、第1ヘアピンでダートに飛び出してしまってからトップスピードが落ちてしまったような気がしています。ベストは195km/hなのですが、いまは180km/h前後しかマークできません。そろそろエンジンをオーバーホールしないとダメですかね?」
そのように話してくれた井出さんは2023年シーズンでレース活動を引退したそうだが、きっとコスモスポーツのエンジンをオーバーホールし、箱車の祭典2025にもエントリーしてくれるだろう。
