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軽自動車でドリフトができる? スズキ「カプチーノ」で華麗にドリフト競技を楽しんでいるオーナーにカスタム方法を教えてもらいました

スズキ カプチーノ:速度も角度もマシンコントロールも申し分ナシ。まだ5年目とは思えない走りだ

カプチーノでドリフト競技に挑む

軽自動車でドリフトは難しいと考える人は多いかもしれません。しかし、「東北660シリーズ」のドリフト走行会では、小排気量&軽量ボディならではの楽しさを求めるドライバーが挑戦しています。棟方弘樹さんが選んだのは、スズキ「カプチーノ」。FRという利点はあるものの、短いホイールベースや限られた積載スペースといった弱点も抱えています。果たして、どのような工夫を凝らしてこのクルマでドリフトを楽しんでいるのでしょうか?

サイドブレーキを使わずに高い車速と回転数をキープ

「軽自動車でもドリフトしたい!」と、そんな声を受けて「東北660シリーズ」に追加されたのが、エビスサーキットの西コースで開催されるドリフト走行会だ。参加台数を考えれば、まだまだ浸透したとは言い難いが、一定の需要はあり、マシンを自在に操る楽しさは普通車でも軽自動車でも変わらない。

そんなカテゴリーに初回から参戦しているのが、コンパクトなFRのスズキ「カプチーノ」を駆る棟方弘樹さんだ。カプチーノは2名乗車のうえに荷物を積むスペースは皆無に等しく、本来なら工具やスペアタイヤが必須となるドリフト競技にはお世辞にも向いているとは言えないベース車両だろう。さらに、短いホイールベースと狭いトレッドはクイックな反面、コントロールが難しいはずだ。果たして、どのようなクルマ作りをしているのだろうか?

ほとんどスピンしない安定した走りからは想像できないが、棟方さんがドリフトをはじめたのはわずか5年前。昔からFRのスポーツカーを乗り継いできたものの、ドリフト経験はほとんどなかったという。購入当初のカプチーノはグリップ走行仕様だったが、ステアリングの切れ角をアップするナックルに交換したところ、キャンバーが付けにくくなりドリフト仕様へと方向転換することになった。

とはいえ、ナックル交換だけで急にドリフトがしやすくなるわけではない。一定のパワーも必要だ。タービンはモンスタースポーツ製を使用しているが、エンジン本体はノーマルのままでブーストは1.4kgf/cm2と高め。そのため低回転域のパワーとトルクが不足し、高回転域を維持する必要がある。そこで流す際にはできるだけサイドブレーキを使わず、高い車速と回転数をキープするのが棟方さん流のドリフトスタイルだ。

アフターパーツ不足も乗り越える

タイヤは前後14インチで、フロントにはハイグリップで知られるナンカン製NS-2Rを装着している。リアは多くの軽自動車ドリフターが低グリップのスタッドレスタイヤを選択するなか、棟方さんはエコタイヤを採用。空気圧を高めることで、ドリフト走行時でもトレッド面が剥がれにくいという。積載車を使わずサーキットまで自走しているため、使用したタイヤのまま帰路につくことが前提となるので、スペアタイヤを積めないカプチーノならではの工夫といえる。

古いクルマゆえに、アフターパーツの選択肢も限られる。ドリフトには欠かせないLSDはクスコの2ウェイのみ。ナックルもプロショップがワンオフで製作したものを使用している。さらに、F6A型エンジンは純正パーツの入手すら難しく、メンテナンスには苦労がつきものだ。しかし、棟方さんはそうした不便さをあまり気にしていない様子で、乗り換える予定もないという。

軽自動車で楽しむドリフトのメリット

大会を目指すのではなく、「エンジョイ」が目的であれば、車種は関係なく、乗りこなすまでのプロセスも含めて楽しめる。唯一の悩みは、軽自動車でドリフトする仲間が少ないことだという。台数が減少し、価格も高騰したカプチーノを使うのは難しいかもしれないが、4WDをFR化したダイハツ「ミラ」など、リーズナブルに作れる素材はまだまだある。

ローパワー&軽量ボディだからこそ、タイヤの消耗も少なく、コストを抑えて楽しめるのが軽自動車の魅力だ。ドリフトを始めるなら、軽自動車という選択もアリではないだろうか?

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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