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SUPER GT開幕直前! 職人レースカメラマンが2025年シーズンの見どころを解説

apr LC500h GT

いよいよ国内最高峰のGTレース「スーパーGT」が開幕

長年日本のモータースポーツを撮影し、見届けているレースカメラマンたちも、間もなく開幕する「スーパーGT」2025年シーズンに合わせて本格始動です。2025年3月15日〜16日に岡山国際サーキット、3月29日〜30日に富士スピードウェイで行われたシーズンイン直前のテストを取材した佐藤正勝カメラマンが見て、聞いて、感じたことをレポートします。

名門aprには小山美姫選手がLEXUS LC500hでフル参戦

2025年も写真屋のオッサン(著者)が個人的独断と偏見に基づいて注目しているスーパーGTに参戦している方々と、無駄話の中から拾った話を書いてみました。あくまで個人的独断と偏見なのでのノークレームでお願いしますよ。

初めて会ったのはまだ彼女が10代の頃であった。よくよく聞けばオッサンの地元(神奈川県)の娘だった。レースが好きな女の子なんだなぁと思っていたのだが、蓋を開けて見たら彼女のレースに対する熱さはハンパではなく、国内外を問わず毎年ガムシャラに色んなカテゴリーにエントリー。遂にはTGR-DCドライバーに抜擢され、2024年のスーパー耐久ではLEXUS RC-Fで総合優勝を果たした。

そして2025年はaprよりLEXUS LC500hでスーパーGTフル参戦が決また事も既にご存知の方多いと思う、オッサンにとっては年齢的に娘みたいなもんだからステップアップして行く姿を見ていて嬉しく思うが、他所のオヤジとして一言。何でも1番、絶対勝つのモットーは素晴らしいが、グイグイ行くだけが人生じゃ無いからね、実るほど頭を垂れる稲穂かな。

ハイブリッド有り無し、タイヤメーカーも違うレクサスLC500に注目

その小山選手がドライブするLC500が2025年はもう1台エントリーするが、31号車にはハイブリッド搭載。60号車はハイブリッド無し、果たしてどちらのLCが速いのかは中々興味深いが31号車はブリヂストン、60号車はダンロップとタイヤメーカーの違いも興味深いところだ。

ブリヂストンVSミシュランのGR 86はどうなる!?

タイヤメーカーの違いという視点ではGR 86の3台にも注目だ。数年前は日本の3メーカーの戦いだったが、2025年はブリヂストンVSミシュランのがっぷり四つ。今期からミシュランにスイッチした30号車をドライブする織戸選手に話を聞いたら次のように話してくれた。

「まだ合わせ込み難しいかな? 一丁一短あるし」

それもそのはずで岡山、富士の両テストとも低温で雨と言うコンディションでしか走っていない状態ではハッキリとは話せないだろうな。

元ブリヂストン社員が語る今季のタイヤ評価とは

タイヤメーカーで思い出したのが、現在はNAKAJIMA Racingに在籍している浜島裕英氏と、前職を定年後にKONDO racingに転職した菅沼寿夫氏だ。ふたりとも1990年代初頭よりDTM(ドイツツーリングカー選手権)のAMGへのタイヤ供給に伴いタイヤ開発の為にヨーロッパ各地に出向いていたブリヂストンの元社員なのだ。DTMやFIA-GTでのタイヤ開発がその後のF1タイヤ開発の礎になったのは間違いないであろう。

そんなふたりが今いるところは、浜島氏はダンロップワークス、菅沼氏はヨコハマワークス。悪天候のテストの中で目に見えて古巣ブリヂストンとの格差が歴然となっているなか話を聞いてみた。

「当時は出来て当たり前だって思っていた事が、外に出てみたら出来ないんだよね。でもね、少しずつ、いや大分良くなって来てるから」(浜島氏)

「やっぱり強いよねBSは、でも頑張ってるから」(菅沼氏)

タイヤって化学だなと感じた寒い富士の午後だった。

ゲイナーのフェアレディZに動きあり?

ピットを徘徊していたらゲイナーの福田洋介氏と遭遇。何の気無しにクルマ良くなった? って聞いてみた。

「いやーちょっと他の事やってて空力関係何も手が付いてないの」

え? 大丈夫なの?

「うーん去年(2024年)、空力だとダウンホースがあまり得られなかったからメカニカルグリップの方向にしたら良くなったから。でもこの天気じゃテストにならないよね」(福田氏)

何やら社長からのゲキも飛んでいる様で、レーシングカーコンストラクターとして2025年のゲイナーは何かしらやってくれるような気がする。

平木ブラザーズが4年ぶりに帰ってきた

2024年ロニー選手の引退を受け日産陣営の人事異動が行われた結果、なんと4年ぶりに帰ってきたコンビが平木ブラザーズだ。栃木県茂木町にある元ル・ボーセのガレージを買い取り、自前のメンテナンスガレージHELMを発足。2022年にはスーパー耐久Xクラスでチャンピオン、2024年からはスーパーGTにGT-R GT3で参戦、あれよあれよ立派なチームを作ってしまった、若いのにたいしたもんだ。

アップガレージがメルセデス・ベンツAMG GT3にスイッチ

2024年までホンダ NSX-GT3で参戦していたアップガレージ。2025年は車両をメルセデス・ベンツAMG GT3にスイッチしたことにより、今シーズン5台のAMG GT GT3がエントリーする。GT300の中のGT3車両の一大精力となった。

このクルマに変更した印象を石田 誠会長に聞いてみた。

「まず楽なんだよね。ウチの今まで使ってきたクルマって良い意味でレーシングかーだったじゃないですか。だからめんどくさかったの。でもこのクルマにしてみたらなんか楽なんですよね。こんな事なら早めに変えておけば良かった」

正直な感想ありがとうございました。

2024年までドライブしていた小出峻選手がGT500にステップアップした事により、2024年のFIA-F4チャンピオンの野村勇斗選手が加入、小林崇選手とコンビを組む。

2025年の小出峻選手にも激しく期待

その小出選手だが2022年にFIA-F4チャンピオン。2024年SFLチャンピオン。GTには2023年よりTeam UP Garageより参戦しているホンダの育成選手だ。SF第1戦鈴鹿の予選で見せた走りは彼の評価を上げたと思うのだが、また今回の富士テストでやってくれた。

雨の土曜セッション2、雨足が多少弱まったとはいえ低温の路面状況の中、セッション終了間際の予選さながらのタイムアタックは中々見ものだった。チェッカーと同時にモニターの中の17号車が1番上にヒョイと上がった。2024年REAL Racingに在籍していた太田格之進選手も良いドライバーだったが、2025年の小出選手にも激しく期待してしまう。

2025年もチャンピオンを取りに行きます!

2024年チャンピオンのTom’s、その中で同い年の山田純総監督と久しぶりに話を聞いてみた。

「今年(2025年)も取りに行く行くよ、勿論! でも始まってみないとわからないけどね」

でもドライバーコンビはもうテッパンじゃない?

「あのふたりがねぇ。でも今は総監督の立場なので1号車の坪井、山下はもちろんの事だけど、37号車の笹原、ジュリアーノにも勝ってもらわないといけないのよね」

この世界に入ってお互いに約40年、何だか純が立派な人に見えた。

ということで2025年シーズンの第1戦は4月12〜13日に岡山国際サーキットで行われる。どんなドラマが生まれるのか今から楽しみだ。

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