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バブルの日本で登録されたルノー「5ターボ 2」が海外流出…新車時のオプションてんこ盛りローマイレージ車は約1670万円で落札されました!

10万3500ユーロ(邦貨換算約1670万円)で落札されたルノー「5 ターボ2」(C)Courtesy of RM Sotheby's

伝説のサンク・ターボは、普及版のターボ2であっても高値安定

クラシック/コレクターズカー・オークション業界最大手のRMサザビーズ欧州本社が2025年2月4〜5日に開催した「PARIS」オークションでは、レトロモビルに訪れる目の肥えたエンスージアストを対象とした、レアなクラシックカー/コレクターズカーたちが数多く出品されました。なかでも、最新のBEVとして約40年ぶりに復活を遂げたことでも話題となっているルノー「5(サンク)ターボ」。その普及版たる「5ターボ2」が出品されていたので、今回はそのクルマのオークションについて紹介します。

WRC制覇のためにミッドシップ化されたモンスター

1978年にデビューしたルノー「5ターボ」は、その2年前、ルノー直属のモータースポーツ部門として発足した「ルノー・スポール」が開発の中心となり、南仏ディエップのアルピーヌ工場にて生産された伝説的モデル。「FIA世界ラリー選手権(WRC)」制覇をもくろみ、前輪駆動であるサンクのモノコックを使用しつつも後席を潔く排して、パワートレインを180度展開させたミッドシップに搭載。後輪を駆動する。

このエンジンは、1970年代までルノーの高性能エンジンを一手に引き受けていた「ゴルディーニ」のあとを受け継いだルノー・スポールで開発されたもの。サンクの高性能版として1977年に登場した「5アルピーヌ」の直列4気筒1393ccOHVをベースに、ギャレット社製T3型ターボチャージャーを追加。160psもの最高出力をマークするに至った。

サスペンションは、前後とも標準型サンクとは異なるダブルウィッシュボーンに変更。ボディも、当時の常識では極太のミシュランTRXタイヤを収めるためFRP製フェンダーが張り出し、まるでグループ5シルエットフォーミュラのような怪物となった。また、ルーフやドア、テールゲートはアルミ製に置き換えられている。

いっぽう、2シーターとなったインテリアは、イタリアの工業デザインの巨匠、マリオ・ベリーニによるアヴァンギャルド的デザインのダッシュボードとレザーシートが与えられ、発売当時のルノー最高価格車に相応しい、スーパーカーさながらの設えとされた。

ところで本来の目的であるラリーには、FIA「グループ4」のホモロゲートを受けた翌年、1980年シーズンの「トゥール・ド・コルス」にてWRCデビュー。そして翌1981年のモンテカルロ・ラリーでは「曲芸師」の愛称とともに日本でも人気の高いJ.ラニョッティの操縦で、初の総合優勝を果たす。

その後4WDが中心となる「グループB」時代となると少々劣勢を強いられつつも、エヴォリューションモデルの「サンクMAXIターボ」に移行し、グループB時代の最終年である1986年シーズンまで活躍した。

群馬県に端を発し、日本で33年を過ごしたヒストリーを持つ個体

ロードゴーイングモデルとしてのサンク・ターボは、市販ロードカーとしても大きな成功を収め、グループ4ホモロゲーション取得のためにFIAが要求した400台を遥かに超える、約1800台が生産されたといわれる。

そののちボディパネルをアルミ合金製からスチール製に変更したほか、アヴァンギャルド的なインテリアを、FFの「サンク・アルピーヌ」と共通のデザインにするなどのコストダウンを図った「サンク ターボ2」へと進化。販売価格を大幅に下げたこともあり、1983年から1986年にかけて約3200台が製造されたといわれている。

ルノーの工場記録によると、このほどRMサザビーズ「PARIS 2025」オークションに出品されたのは、1984年式のルノー 5ターボ2。その年の1月30日にディエップ工場からラインオフしたときから現在のホワイト・パールで仕上げられ、オプションだった着色ガラスと電動パワーウインドウが、当初から装備されていた。

その後の経緯は不明ながら、このターボ2は1988年10月に群馬県中部地方で初めて登録され、これまでの生涯のほとんどを日本で過ごしている。初登録から33年後の2021年7月まで日本に留まり、その後イギリスに輸出。現在はドイツ人オーナーによって、オークションに出品されることになった。

コンディションから見ても実走行距離車

公式オークションカタログの作成時点で、オドメーターに刻まれた走行距離は1万468kmというローマイレージ。内外装のオリジナリティとコンディションからも、それが実走行距離であるとみなされているようだ。

RMサザビーズ欧州本社はこのルノー5ターボ2について、出品者サイドとの協議のうえ、8万ユーロ〜10万ユーロ(邦貨換算約1288万円〜1610万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。

そして迎えた2月5日の競売では、エスティメート上限をわずかながら上回る10万3500ユーロ、日本円に換算すると約1670万円までビッド(入札)が進んだところで、競売人の掌中のハンマーが高らかに鳴らされることになった。この落札価格は、近年おおむね10万ユーロ前後で推移しているサンク ターボ2としては、きわめて順当なものといえよう。

ちなみに元祖サンク ターボを手に入れたいのであれば、その1.5倍から2倍ていどの出費は覚悟しなければならないようだが、現在のコンセプトカーなどでも時おり現れる、FF小型車から変容したミッドシップモンスターの開祖、というアイコニックな歴史的モデルであることを思えば、むしろ当然の評価というべきなのかもしれない。

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