マイナーチェンジによる仕様変更は、どんな車種にも当てはまる悩みのタネ
クルマは、一定の期間が過ぎるとマイナーチェンジが実施され、その後にフルモデルチェンジと常に進化を続けています。しかし、このサイクルが購入するユーザーにとっては、ちょっとした悩みのタネになることも。今回紹介する“uehiro”さんは、外観はそのままで、電装系も含めた中身を最新版へと、DIYで変更したマツダ「アテンザワゴン」で、サーキット走行を楽しんでいました。
1世代の間に、驚くべき進化を遂げた3代目アテンザワゴン
マツダ「アテンザ/ワゴン」は、「カペラ」の後継として2002年に登場したDセグメント=中型乗用車で、最近まで同社のフラッグシップモデルとして販売されていた。2012年に登場した3代目は、“鼓動(こどう)- Soul of Motion”デザインが採用され、また最新技術であるSKYACTIVが全面採用され、マツダの代表格となった。
2014年には外観の一部と共に、内装や装備が大幅に変更された。LEDヘッドライト、マツダコネクト、7インチ大型モニター装備など、マイナーチェンジのレベルに収まらない仕様変更に前期モデルのユーザーは戸惑いを隠せなかった。さらに2018年には再びマイナーチェンジが行われ、外観がさらに進化するとともに内装はより一層高級感が増した。8インチモニター、フレームレスミラー、オートホールド機能付きの電子パーキングなど、この後期型と前期型ではフルモデルチェンジと言っても過言ではないほどの違いがあった。そして、2019年には「マツダ6 ワゴン」へと名称が変更され、2024年12月に生産終了が決定した。
ちなみに、筆者は2013年の前期型「アテンザワゴン」のXDを仕事車として愛用している。18歳で普通免許を取得してから30年以上18台ほどの車を乗り換えてきたが、マツダ車やディーゼルエンジン車の所有経験は初めてである。大好きなステーションワゴンでもあり、“鼓動”デザインもお気に入りなので、安く販売されていた前期型を2023年10月に購入した。そのためこの車種の前期・中期・後期型への進化に非常に興味を持っており、生産終了はとても残念な出来事であった。
参加者唯一のステーションワゴンでサーキットトライアルに挑戦
筆者の話はさておき、こちらの“uehiro”さんの愛車について紹介する。“uehiro”さんは2024年11月9日〜10日に岡山県の岡山国際サーキットで開催されたMAZDA FAN FESTA 2024 IN OKAYAMAでマツダファン・サーキットトライアルに参加していた。
サーキット走行会に参加するマツダ車と言えば、ほとんどの人が歴代「ロードスター」や「RX-7」を思い浮かべるであろう。あるいは「デミオ」や「マツダ2」の15MBなら理解できるかもしれない。しかし、ステーションワゴンの「アテンザ」が、これらの車両に混じってパドックに並んでいたのである。同型車のユーザーであり、実際に購入したことでこのクルマの魅力を知った筆者が、“uehiro”さんに声をかけないはずがなかった。
「サーキットトライアルに参加するようになって3年目です。今まで十勝、スポーツランドSUGO、筑波にも参加しました。サーキット走行は難しいと感じつつも、車両の走行性能の限界を体験できることと、運転技術が上達することが楽しいですね。ちなみに、私はサーキット走行をアテンザワゴンでしか経験していません(笑)」
しかし、“uehiro”さんのアテンザワゴンに対する思いは、単なる愛車への情熱にとどまらない。
外観は中期型。でも、中身は電装系も含めて後期型へ
“uehiro”さんの愛車は2015年式のアテンザワゴンは、外観は間違いなく中期型である。しかし、内装や電装系はすべて後期型のマツダ6 ワゴン仕様に変更されている。驚くべきことにシートやドアパネルの変更にとどまらず、メーターは液晶化され、さらに欧州仕様の260km/hスケールに変更されている。シートにはベンチレーション機能も装備され、クルーズコントロールは後期型の180km/h設定になっている。また、マツダ コネクトやステアリングスイッチの操作系もすべて後期型に対応し、さらにこれらすべてをDIYで実現している。
「中期型の外観が好きだったので、そこは譲れませんでした。しかし、ほかはすべてマツダ6ワゴン仕様です。正直、新車を買うのと同じくらいの金額を投入しました(笑)。電装系に関するチューニング技術を学びたかったので、自分が考えていたことをすべて実現できて満足しています」
メーター交換も専用機器を使って車両に適合したデータを書き換える技術を“uehiro”さんは持っており、電装に関する知識を独学で学んだ。その教科書のひとつが、この愛車である。
ちなみに、サーキット走行のためにサスペンションはオートエグゼ製、ホイールはエンケイ、タイヤはブリヂストンのポテンザ71RSに変更されている。ブレーキは2ポットキャリパーを装備した「CX-8」用を流用し、ディスクも大径化。パッドはディクセルを愛用している。また、エンジンはCPUデータを書き換え、200ps仕様をベースに、吸排気系はノーマルのままでリミッターカットが施されている。
「“uehiroチューン”という名義で、電装系カスタムの請け負いもはじめました。このアテンザワゴンに投資して得た技術をこれからいろいろな方に還元していきたいです!」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
